何気なく見た映画だったが、これは力作。映画に一つの芯が貫かれている。アメリカンドリームを幻想に追いやる哀しき現実がそこにある。
韓国からアメリカへと養子縁組が盛んだとは聞いていたが、ここまでその中身がいい加減で、過酷だとは思わなかった。主人公の青年は3歳で捨てられアメリカに渡るのだが、ただただ苦しき人生を背負い込まなければならなかった人生が、重く我々観客にのしかかる。
チョンの視点はまっすぐだ。彼の視点はすなわち観客の視点に重なるのだが、まぶしいぐらい直球だ。彼の生い立ちは母親から殺害されそうになるという暗い記憶を宿してはいるが、それが解消されるのも、自分と同じ立場の義理の娘の心情を思うからであろう。
養子縁組と並行して、難民としてアメリカに生きるベトナムの父娘の生き方も、シンメトリーとして描かられるが、この親子の泰然と人生への流れに身を任せる描写もずんと身に染みる。違う船に乗った身内は難破して死んでいるのだが、くよくよしてはいない。そこには深淵なる仏教観を感じる。
ラストの家族の絆を確かめるシーンは、そりゃあ泣かされるでしょう。あの、実の父親が人間の原初的な愛に気づく部分も感動的だ。
アメリカで生きるということ、様々な矛盾と闘いながらも、人はファミリーを憩いに、紡いてゆくことで日常を生きてゆくのだろうなあ。いい映画でした。
記事とは無関係のコメントで申し訳ありません。
もしかするとTwitterでご覧いただいているかもしれないのですが、この度芝居を辞めることに致しました。
セントさんには学生の頃からずっと芝居を見ていただいてきてほんとに嬉しかったです。その度に記事で僕を取り上げてくださることもほんとに励みになっていました。
ここ何年かはコロナのこともあり、なかなか見てもらえないままとなってしまいましたが、本当に今まで応援してくださり感謝しています。
ここまでやってこれたのは応援していただいたお声の一つ一つのおかげだなとひしひしと感じています。
今までありがとうございました。またどこかで。
偶然、ツイターで知りました。名前をカタカナにされたので、また一皮むけてと勝手に期待しておりました。残念ですが、劇団の方は、年齢的、仕事的にもターニングポイントなんですね。
ネルマさんの演劇を初めて見たのは「We are lucky friends」で、その声量、掛け合いのすばらしさに超驚き、俄然ファンになってしまいました。
その後ほとんど、見に行ったと思います。
いまから思えば、冷凍ウサギの演劇で、一言しかセリフをしゃべれなかったり、冷凍ウサギの演劇なのに、受付をやらされていたり、いろいろあったんでしょうね。
それでも、PAMの立ち上げ芝居・ネルマさんの一人芝居から、二人芝居、3人以上芝居まであった3時間ほどのワンマンショーのようなあの演劇は圧巻でした。
ファンとしてはもうあの演劇を見ただけでもありがたいと思わざるを得ないです。
松屋橋近くでのPAMの演劇では珍しくギターソロを披露していただき、甘い、いい声でした。ありがとうございました。
今はすべて思い出ですが、また演劇に戻ることがあったら、教えてください。
その日を本当にに楽しみにしています。
それでは、また。お元気で。
セント