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もぎりよ今夜も有難う(片桐はいり著)(2010 キネマ旬報社) 80点

2014-04-25 14:46:17 | 読書遍歴

久々に映画エッセイを読む。「みずからの出自を問われたら、「映画館の出身です!」と胸張ってこたえたい。」この言葉がこのエッセーのすべてを物語っている。

やはり映画好きが映画館に勤めているという先入観は本当だったんだ。何げなく映画館に勤めている人を観察しているが、映画好きなのかどうかは見てくれだけでは分からない。でもこの本を読んでみてやはりそうなんだと思ってしまう。

 

本当に昔と違ってモギリ専門的な人は今はどこの映画館でもいない。昔は銭湯の番台みたいに確かに箱に入っていた。現代のように入れ替え制ではないので必要だったのだろう。

片桐さんは銀座文化劇場にお勤めだったという。先月東京に行ったとき、ちょうど僕もシネスイッチ銀座で一本映画を見た。映画は「あなたを抱きしめる日まで」という普通の作品であったが、映画が始まる前確か「おせんにキャラメル」という感じで若い女性が観客席にまで物売りに来ていた。ユニークな映画館だなあと思っていた。

本の方もまさにそんな銀座文化劇場が紹介される。考えたら僕は東京生活も長いのだが、何回も銀座文化に行っているのだ。名画座でもとびきり一流というイメージが強い映画館であったように思う。何しろ銀座のど真ん中に位置しているのだ。掛かる映画も厳選していたように思う。

7年もここでモギリ嬢をしていた片桐さん。彼女の素敵で幸せそうな青春時代が目に浮かぶようだ。確かに実益を兼ねた仕事が一番ですよね。うらやましい限り。現代でも映画館で働いている人って、ただで映画を見れるのかしら?ね。それだったら僕も働きたいよ。「え、そんな爺はお払い箱だって。」まあ、仕方ないか。

結構古き良き時代を求めてか、日本全国映画館を求めて旅をなさっている。映画よりむしろ映画館の方が好きではないか、と思われるぐらい、、。

いい女優さんである。何よりいい人である。こんな人といろいろ映画の、または演劇の話をしてみたい、、。


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