イスラエル映画、言語はなんとヘブライ語、老人ホームでの死と向き合う話であります。でも彼らはゴージャス層なんでしょう、気持ちも豊かです。それでも、一律に死は訪れます。
いろいろコミカルに明るく描かれてはいるが、やはり主題は尊厳死。すなわち自死をどう捉えるかということなので重い。突き詰めれば、がんなどでのモルヒネも効かない患者にとっての安楽死と、痴呆症でそのうち自分が自分でなくなることを恐れ、そうならないうちに自死を選ぶという二つの死がテーマとして挙げられている。
今でもモルヒネが効かない痛みというものがあるのかどうか僕は知らないが、そうだったら本当に考えないといけないだろうと思う。安楽死である。
でも、痴呆症での将来を悲観しての自死は安楽死ではないであろう。立派な自殺(自死)であろうと思う。
だからこの映画は、この二つの死をテーマにしているが、悪くすると混同される恐れがあるような気がしてならない。そして僕らがショッキングなのは自死の方なのである。キリスト教もユダヤ教も自死を強く禁じている。恐らくこのラストは日本なんかより本国ではもっと強いセンセーションを起こしているのではないか。
映画の本筋のことはあまり書きませんでした。年齢的にも、人生的にも、この問題は僕は若い時からずっと考えてきたことです。
この映画はこういう風にいろんな人にいろいろな死を考えてほしいと思って作ったのではないでしょうか。極度の生と死の経験を積んできたイスラエルだからこそテーマとして掲げるに値する映画だとも思いました。しばらくは忘れられない映画となりそうです。
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