ペットショップでペットを買うのは・・・

2019-03-20 13:18:04 | 感想など

「ビースターズ」の次はどういう方向の記事でいこうか迷っていたが、結局ペットショップの話をすることにした。

 

さて、西村博之(いわゆる「ひろゆき」)が、「ペットショップでペットを買う人間はクズ」という発言をして一部話題になっている(それに関する紹介記事の例はこちら)。

 

どういうことか。
ペットショップはオンデマンドではないので、ある程度の「量」を仕入れることになる。すると当然、売れ残りが生じるわけだが、年齢が上がるほどペットは売れにくくなる(だから安くもなるのだが)。そして、ある段階で処分せざるを得なくなる。それが全国の店舗で行われるため、大量殺処分という結果が生じるわけだ(この点は、特定の日のために作られた大量の恵方巻とその破棄を連想してもいいだろう)。で、ペットショップでペットを買う人間は(あえてそう呼ぶが)この大量殺戮サイクルに加担している以上、いくらペットを好きだとか言おうとも、そういうシステムを許容しているクズ野郎だ、というロジックである。

 

私がこの時思ったのは、珍しくストレートな喋り方をしてるな~ということである(まあ某You Tuberの例とかは出してたけど)。いつもなら、例を出しながらどうしてその理屈になるのかを積み上げていくことが多い彼だが、今回は割と直線的に結論を語っていたので意外だった(まあ酔いが回っていた、てのもあるだろうがw)。ペットについては、「以前は北海道の牧場にいて周りに動物も多く、またペットを飼ってもいたがそのペットが死んで以来飼わなくなった。何で死ぬと悲しいのにまた飼おうと思うのかね?」みたいなことを喋ってもいたので、割とこの辺の発言は思っていることをそのままストレートに話したのだろうと予測している。

 

ただ個人的には、今回は話の持っていき方をもうちょっと工夫した方がよかったんじゃないかな、と思う。まずおそらく、ペットショップでペットを飼う人間は、自分のその行為がクズに類するものだなんて思ったことはないだろう。むしろ自分は動物好きだと思っているのではないか(まあわざわざ金払って飼うんだしね)。だから、ここで言うべき正確な表現は、「動物好きかもしれないけど、背後でそういうシステムが動いていることに目を向けない無知なバカか、あるいはそれを薄々知っているのに加担して、しかも自分はまだ動物好きだと思っている偽善者」というのが正確なところだろう(システムへの無知に関する例を一つ挙げると、途上国の森林伐採を批判する先進国の少年を例に考えてみよう。少年は途上国の首相にこう送る。「地球環境に大きな影響が出ているので、森林の伐採をやめてもらえませんか?」と。これに対し、首相はこう答えるかもしれない。「ここで伐採された木材は、あなたの国でも大量に使われています。そのことについてまず調べてみてはいかがですか?」と。)。

 

まあ普通は今書いたような言い回しをする人なので、そうならなかったのは酔いが回っていた(しつこいw)のと、素でそう思っててそれがストレートに出たがゆえか?だから、いつもなら「あなた自身には動物に対する悪意はないけど、ペットショップでペットを買うという行動を通じてペットを大量に虐殺している状況を成立させていることについて、あなたはどう考えますか?」なんて、ちょっと皮肉が効きすぎだけど、こういう言い回しするんじゃねーかな?なんて思ってみたり。

 

で、こういう話を書いたのは、問題の本質(人のマインドセット)はペットショップに限らないと思うからだ。今回ひろゆきは「起業するならコンビニは避けた方が・・・」という表題の動画で喋っている。これもほんの少し前に話題となった、「コンビニオーナーの過酷な労働環境と、24時間営業の是非」に絡むものであるが、コンビニの24時間営業についても「その方が便利だからええやん」という主張が散見されたらしい(もちろん、全店24時間営業、選択制、全店24時間営業しないで違ってくるが)。こう主張している人たちが、「コンビニで働く人間の労働環境がどうなろうと知ったこっちゃない。俺がいかに快適に生きるか、それが問題だ」とハムレット先生もびっくりの意見を持っているわけではおそらくないだろう。しかしそれは、結果として「便利さの追求>過酷な労働環境の改善」ということを主張しているのと同じなのだ。そしてこう考えるなら、日本の医学部入試における男女差別で再びスポットが当たっている医療現場の過酷さ(なぜそのような差別をする動きが生まれるかの背景)と、高度な医療サービスを要求するマインドの相克、あるいはそれを両立させるための新たなシステム構築の遅れといった問題にも繋がってくる。

 

要するに、ペットショップの話の本質はシステムへの無知にあり、言い換えれば「便利さや快楽の追求が人を犠牲にしうるし、自分も犠牲になりうる」という社会的視点が欠落していることに連なるものと言えるのではないだろうか(これ「中国人に日本移住を勧めない中国人」て記事を読んでスゲー納得いったのだが、要するに他者への要求度が高い余り、みんなで首絞め合ってるみたいな状況なんだよね。だから旅人の時はいいけど、住んだ途端に忖度インフェルノへこんにちわな状態となるわけだ)。こうすると、ペットショップの話題は、動画の表題になっているコンビニの運営状況と通底する問題であることが理解され、単に「ペットショップでペット飼うヤツまじ偽善者」みたいな、発言に乗っかりはするがリフレクションはしない残念な意見の防遏につながるし、またより広い視野で考えるきっかけになったと思うんだろうがどうだろうか?

 

え、無料で見てるだけのクセに、40代の酔っ払いオヤジにそんな戦略的発言求めんなって?すんません、ホントスンマセン(とマネてみるw)。というわけで今回は終わりにしたい。この後は蛇足なんでまー暇な人はどうぞ。

 

ちなみに元動画に興味がある人はこちら。

 

 

 

【蛇の脚にも劣るナニか】

ペットショップでペットを買う行為は、悪意がないんだから別にその結果がどうなろうといいじゃねーかと言うのなら、結局その人はどれだけ動物を可愛がろうが、ただのエゴイストであることがわかる。まあもちろん、「家畜化という行為自体が人間のエゴイズム以外の何であるのか」という突っ込みが来たらそれは全くのところ正しいのだが(・∀・)そもそも農業だって人間にとって都合の良い作物を大量に作ってるという意味で変わらんしね。

それにしても、恵方巻の件(あるいは大きく言うと安全基準と製品破棄)とかを考えると、「モノを大切にする日本人www」ですわな。そしてペットショップに関して言うなら、「自然を愛する日本人www」ですわな。

じゃあ何でペットショップというシステムを放置してんの?あるいは知ろうとすらしないの??なんか発想が、「自然保護のために割りばし使うのをやめましょう」から一歩も出てないんだよね。仮にも情報にアクセスしやすくなったこのご時世に、ある程度関わっているシステムについての無知はもはや罪でしょ・・・なーんて言うと、「どうせ変えられないものなら、それを知って憤ったり絶望したりするより、何も知らない方がよかった」とかなる人が出てくるんだなや。じゃあそのまま快楽の海に溺れて死ぬよろし。マトリックス世界はそんなに遠くない未来だぜい(・∀・)


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