フジテレビの新人アナ「いじり」動画がハラスメントではないか、といった理由で炎上しているらしい。ただ、これに対して「いじめかどうかなんて本人たちにしかわからない」といった反論もパラパラ見かけるので、ここで最も本質的に重要で、かつ論争の余地のないポイントを指摘しておきたい。
まず、こういった内輪のやり取りを収めた動画をわざわざ一般に公開する目的は何だろうか?それはそこでのやり取りが「ウケる」ことで、登場人物たち、ひいてはフジテレビの好感度が上がると思っていたからと予測される(まさか、利益にはならなくても公にとってニュースバリューがあるなどと妄想していたわけではあるまい)。
今回の動画を公開した最大の問題点は、反応の予測を外し、むしろ好感度減少に貢献してしまったこと。そして、それを予測できなかったことにより、自分たちの「世間」「世論」との感覚のズレ、及びそれを認知できていない自らの愚昧さを露呈してしまったことである。
そもそも、内輪ネタがしばしば興醒めや拒絶といった反応を呼び起こすのは、芸能人同士のそれに対するネットなどのリアクションを見ても十分に予測できたはずだ。加えて、ジャニーズ問題や宝塚のいじめ、あるいはビッグモーターの一件などで、閉鎖空間のハラスメントが暴露・問題視されることが繰り返し起きているのもよく知られている通りだ。
かかる情勢を冷静に見ていれば、ハラスメントと境界線があいまいな「いじり」の様子を公開するなど、百害あって一利なしと、まともなメタ認知能力をもっていれば、気付いて当然である(仮にこの動画を公開するに足る社会的意義がありうるとすれば「このようなやり取りがハラスメントにあたるかどうかを社会に問う」ぐらいではないだろうか)。
まして、その特権性や隠蔽体質などにより、最も叩かれやすい組織の一つなっているマスメディアに身を置いている以上は、仮にもう少しマイルドなやり取りであったとしても、リスクマネジメント上公開を避けるくらいが至極当然の判断ではないだろうか。
今回の件を通じて、「いじり」を行った側への袋叩きに乗じるのは行き過ぎ・性急すぎという印象を受けるが、一方でこのような愚にもつかない失態を犯してさらにヘイトを醸成するマスメディアの脇の甘さと世間ずれを見れば、やはりこの組織構造のままでは未来はないと確信させるに足る愚昧な行いだったと評価できるのではないだろうか。
以上。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます