『サナギさん』はやはりおもしろい

2006-12-25 01:08:21 | 本関係
こないだ『サナギさん』の三巻を買った。といっても待ちわびていたわけではなく、最近チャンピオンで読んでいてもピリっと来ないのに、半ば惰性で買ったようなもんだ。


というわけで期待もせずに(むしろこれを機会にキッパリ訣別するくらいの感じで)読み返してみると、これが不思議なくらいおもしろい。この手の、読者を巻き込むようなノリでもないギャグは、テンションによって感想がかなり左右されるのは自分でも意識しているが、それでも全く予想しないくらいツボにはまったのだった。


イソヤマ、ハルナさん、山田さんと三人のキャラが新しく登場し、(イソヤマは消えてしまったが)ハルナさんと山田さんは「踏みキャラ」マナミさんに負けず個性的に動き回っている。だが何より重要なのは、キャラと見た目のギャップによって萌えることだ。マナミさんと同じ路線で上手く成功していると思う。また、そのキャラの個性を生かしたネタもよい。ハルナさんの哲学的思考とマヌケな行動のギャップもおもしろくて愛らしいが、山田さんの「未来予想図 心電図」は秀逸だった(一本の棒があるだけ。そして読者は「死んでんじゃん!!」と突っ込むわけだ)。


サナギさん&フユちゃんのコンビも負けてはいない。例えば6Pのネタ…

フユ「太陽め…今思えば12時の頃がピークだったな」
フユ「オマエのアダ名は太陽の太を取って太(フトシ)だ!フトシ!フトシ!」
フユ「丸々とした体型でテカテカ光りやがって…フトシめ!」
サナギ「バチ当たりそうだからやめようよ…(汗)」

とか、8Pの

サナギ「でも初対面って刺激的だよね」

フユ「生まれたばかりの赤ちゃんが泣いているのもきっと初対面だからだろうね」
赤ん坊「ギャー ギャー」(初対面だ!初対面だ!)
サナギ「そうだね。でも両親も赤ちゃんとは初対面だよ」

フユ「夫婦が顔なじみだから心強いんだよ」
サナギ「赤ちゃんからしたらフェアじゃないね」

フユ「もし全員初対面だったら全員バランスよく泣き出すと思う」

サナギ「そんな社会になったら私も泣き出すよ(汗)」

など、のっけからいきなり秀逸なネタを披露してくれる。


ともかくも、発売の待ち遠しい本がまた増えたのは嬉しいことだ(今でも新品で買ってる単行本はこれとブギーポップくらい)。後書きの哲学的な背景がこれからどのように展開していくのかも含め、施川ユウキには注目したいと思う。

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