地元最高( 。∀ ゜)!!

2024-08-27 11:13:58 | 本関係

 

 

 

 

 

 

 

『地元最高』読んでみたけどういい感じに狂ってんな~😅なんつーか、狂ってるのにそれに気づかず「え、これのどこがおかしいの?」とぶっ壊れたまんまなのが、リアルというか何というか・・・そしてそういうネジが外れているキャラでさえドン引きする出来事の数々が展開していくわけだが、それに関しても、イカれた言行をしているように見えて、そこかしこに独特の論理(マイルール)や合理性があるところも良き(・∀・)

 

これをもうちょい抽象化・図式化すると、皮肉のこもった書名も含め、「異化効果が非常に巧みな作品」と言えるのではないか。つまり、

1.キャラクターの可愛さと残虐さ

2.その日暮らしの享楽主義に見えて、犯罪の手口は凶悪かつ具体的

3.可愛さにより生々しさを脱色しているかと思いきや、臭いまで感じられそうなキャラの佇まい

といった具合に。

 

1は以前『ポプテピピック』や『リスボックリ』の特徴として言及したことがあるが、本作に関してはもう少しその異化効果のレンジが広い。例えば1・2の要素はそれぞれギャップを形成しているが、個別に独立しておらず、相互にシナジーがある。というのも、単に可愛いだけでは迫力がないし、かと言ってただただリアルなのではキツ過ぎて読む人を選んでしまうし、単に心の中でシャットアウトするような反応も出てくるだろう。

 

しかし、「可愛いと同時に残虐である」ことにより、確かに強いフレーバーはするのだが、それを緩和する別の味もするため、強烈に印象に残りながら飽きることがないし、ゆえになかなか食べるのを止められない中毒性のあるテイストとなっている(この辺りのバランスを意識した描写は、最近アニメ化された『逃げ上手の若君』などを想起させる。あれも極めて凄惨な出来事を数多く扱いながら、ジャンプで連載するため万人受けを意識したギャグパートのギャップを巧みに入れているからこそ、非常に強い印象を残しながら読み続けられる作品になっているのではないだろうか)。

 

あるいは3に関して言うと、編集の草下シンヤによるアングラ社会の取材で明らかにされた犯罪の手口や荒んだ日常が出オチ的に繰り返されるだけかと思いきや、食事のシーンでは箸やスプーン、茶碗の持ち方の異常さにより、そのキャラクターがまともな教育を受けてきていないことが伺えるようにするなど(もちろん直接的にネグレクトのシーンも描かれるのだが)、キャラ造形がもの凄いちゃんとしている点も大きいだろう。このあたりは、食事シーンをもってそのキャラクター性や殺伐とした空間・世界観を巧みに描いている、という点で『闇金ウシジマくん』や「冷たい熱帯魚」などが思い出されるところだ。そして3のようにキャラ造形がしっかりしているからこそ、計算高い紅霊亞(冒頭の動画の黒ギャル)が本気で相手にするのを嫌がっているキャラが出てくると、具体的な描写がなくてもガチでヤバい人物なんだろうなと予測(戦慄)できたりする、といったような効果もあるというわけだ。

 

これらの特徴を見るにつけ、本作が人気を博しているのは極めて当然のことだなと思った。

 

なお、「地元」(地方)の閉塞感と(奇妙な)連帯感という点では、以前何度か言及した映画「サウダージ」も思い出される。

 

 

 

 

まあ空洞化が進む甲府を舞台にした「サウダージ」と違い、『地元最高!』は具体的にどこの町という設定はなく、いくつかの退廃的な街の様子がモザイク的にはめ込まれているためそこは意図的にぼかされてはいるが、空洞化が進む地方の一つのリアリティという点では、むしろ色々な人から普遍的なるものとして受け入れられているのではないか、と思う。


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