フジテレビの件で「憶測」が広がってるのが問題だって?だったら背景を分析しなけりゃ、何の意味もねーんだわ

2025-01-26 11:27:11 | 感想など

 

 

 

 

いやはや、フジテレビ問題がえらいスピードで展開しておりますなあ。まあこの期に及んでも外圧でしか変われない・動けないのはもはやギャグだわ~という感じでワイは哄笑しながら見ておりマスが(・∀・)

 

ちなみに、相変わらず「憶測」がどーのこーのというアホな言説が散見されるので、ここでもう一回整理しておきたい。

 

【前提】

・確定してもいない情報であれこれ妄想を拡大させるのは愚かなことである

・まして、それで誹謗中傷するなど愚行の極みと言ってよい

・だから、憶測が広がっていくことへの歯止めは必要である

 

まず、これは確かにその通り。というのも、私がフジテレビ問題のきっかけとなった中居正広絡みについて、被害者の名前やらプレイの内容云々に一切言及していないのは、「結局よくわからんから(詳細が一方的な情報でしかわからない)」である。とはいえ、この件について「憶測」がやたら肥大・拡大している必然性は理解できる。

 

というのも、「カウンターとなるまともな情報が、相手側=中居やフジテレビからほとんど出てこなかったため」だ。これは中居正広にしても、フジテレビにしても同様である。発表されたのはせいぜい、フジテレビが速攻で出した「俺たちは一切関係ねえ」という今となっては軽率の極みの声明と、「まだ芸能活動できるわ~」という謎の自信に満ちた中居正広の声明くらいだったことを思い出したい。

 

いやいや、何も具体的な調査すらしてないのに、どうして「全く無関係」とか、まして「問題なく活動できる」と言い切れるのか?仮に自己認識としてはそうだったとしても、当該の場面で前述のような声明を出すことでどんな効果が予測されるのか、想像すらできなかったのだろうか?

 

…とまあこの辺まではよくある話。とはいえ、反論は当然あるだろう。例えば、誤報や飛ばし記事もあるイエロージャーナリズムに対し、毎回毎回一々反論やら調査をせにゃならんのか、と(ビートたけしのフライデー襲撃事件を取り上げ、その背景となった取材方法の問題点は以前指摘した通りだ)。

 

よってこれまでなら、ダンマリを決め込んで鎮静化を図るか、強烈な不満を表明して、いざとなったら訴訟をするというムーブが行われてきた。もう少し言うと、ネットの普及度が今より低く、テレビの力が強かった2000年代までであれば、なるほどテレビが王道的存在であり(もちろん坂本弁護士事件のように瑕疵がゼロという話ではない)、週刊誌はイエロージャーナリズム=傍流と言ってよかったかもしれない。その状況であれば、今回のような報道があり、それに同調した違和感の表明が多少なされたとしても、いつの間にか立ち消えとなり忘却されていた可能性は十分ある。

 

しかし、今や状況は全く異なっている。SNSはもちろん、ネットフリックスやアマプラなど多様な娯楽があり、テレビの相対的地位は下降の一途を辿っている。これはテレビに触れる機会を当然減らすため、単純接触効果などから考えてもわかるように、好感度や信頼度はどんどん低下するのはある種の必然である。

 

とはいえこれだけなら、一応「フラット」な評価になっただけと言えたかもしれない。しかし、そこに激震が走ったのが2023年から始まる一連の事件である。すなわち、ジャニーズ問題や「セクシー田中さん」問題、兵庫県都知事選の報道などがそれにあたる訳だが、ジャニーズ問題はテレビ局と芸能事務所の腐敗した関係が長年続いてきたことを示すとともに、むしろそこでは文春が孤軍奮闘するような存在であったことが明らかにされた(もちろん状況はずっと遥かに複雑だが、大まかな構造としては前述の通りである)。

 

そしてセクシー田中さん問題では、日テレがクリエイターを大事にせず、その作品をただの「製品」としか扱わないばかりか、閉じたコミュニケーション(暗黙知・伝言ゲーム)によってむしろクリエイターを死に追いやりさえした構造が明らかになった(そしてこういった案件について、佐藤秀峰らが同様な声を上げている点も指摘しておきたい)。そして兵庫県都知事選においては、その切り取り方と横並びの報道から、齋藤知事のイメージ形成をメディアスクラム的に行ったことが問題視された(ただ、この辺の実態については現時点で色々留保が必要だと考えており、あくまで今回は「テレビ局への大衆のイメージ形成」という観点でのみ言及しておきたい)。

 

こういった巨大なスキャンダルと信頼感の低下の連続から形成されたイメージは次の通りだ。すなわち「テレビ局というのは特権を持った癒着と腐敗の組織であり、それは過去はもちろん今現在も続いている。しかしそれにもかかわず、自らを『公器』などとのたまいながら、自らの積極的改革を行うこともなく、相変わらず高慢にも他者批判を続けている連中の巣窟である」と。

 

おいおいそんな悪の枢軸みたいなwと笑うかもしれないし、その反応もある程度は正しいが、しかしこうして形成された巨大なヘイトに関し、「逃走中」なる番組の製作スタッフが「一般人とは違うんです」とのたまったという報道があるなど、日々マスイメージが悪化する事案が報告・拡散されている状況がであることを理解した方がいい。まあ早い話、「何かアコギな事を組織的にやり続け、それを特権で隠蔽している集団」として強烈なヘイトを受ける存在に今や成り下がっている、ということである。

 

さて、私としてはここまで述べれば十分理解できるかと考えるが、そうでない御仁もいるかもしれないのでもう少し踏み込むと、要するに「テレビ局(大手メディア)は日々ヘイトを増長し続ける特権階級」とみなされており、世間からの遊離・嫌悪感という点においては反社会的組織とみなされる暴力団に近似していっている、と言っていいだろう。

 

さて、こういったテレビ局への巨大な不信感と嫌悪感が膨張し続けている状況が、文春など週刊誌報道に大きな影響力を与えてしまっているという構造(現状)を正しく理解すべきである。そして仮にこれが理解できているなら、今回の中居正広の報道が出た時、世間の風向きがフジテレビ批判に傾くことを予測し、青ざめて「社内の調査に尽力していく」と発表するのが当然の動きだったのではないだろうか(言質を取られないようにしつつ、時間稼ぎにはなる)。とはいえまあ、社長らが不祥事の報告を受けた時点で続投を決めるような組織だった時点で、こういう危機感もなければそれに付随した危機管理対応がなされるはずもなく、というのは今のフジテレビの体たらくを見れば火を見るより明らかだろう。

 

まあそういう訳で、松本人志への文春報道における吉本興業の初動ミスにも学ばない愚昧の極みとも言える声明を発表した上、後から出てくる文春の報道でどんどん矛盾を暴露され、それに付随してSNSでは「憶測」が広がっていく(ここまでのテレビ局に対するヘイトと不信感の高まりを考えれば、この流れで憶測が広がらない方がおかしいとすら言える)。で、そのヘイトが膨張する中で大株主の叱責と圧力に屈して保身のためのグダグダ会見を行い、そのせいでCM引き上げラッシュを引き起こして「会見やり直しまーす(©松本人志)」とかのうのうと言ってるわけだから、メタ認知能力はもちろん、企業としてまともな判断力を持っていないことは火を見るより明らかである。

 

そもそも、前述のような大手メディアへの度重なる信頼の失墜、そして常日頃から(ワイドショーが典型だが)報道という形で批判も憶測もやっている自身の立場とその見られ方を理解していれば、一般企業以上にコンプライスを厳しくする体制に変化して、ようやく「トントン」のレベルである。まして、「性接待」や「性上納」など、「社会的に抹殺される覚悟を持った自殺志願者が行う自爆テロ行為」くらいの理解で厳しく排除して然るべきとさえ言えるだろう(端的に言ってフジテレビ擁護が全く功を奏さないのは、大谷翔平に関する報道が典型だが、普段テレビ局が特にワイドショーを典型に他人のプライバシーに首を突っ込んで、賢しらに憶測を垂れ流しているからである。正直今のヘイトを買った状況でこれをやるのは、暴力団が俺はヤクザだと吹聴して脅して回る程度には危機管理能力の欠如した自殺行為であるように思われる)。

 

という訳で、今のテレビ局が置かれているのは、自らへの疑惑の目に対し、積極的に潔白をアピールしていかなければ隠蔽と受け止められてしまい、さらに批判やヘイトが加速していく状況と言えるのだ。しかし、フジテレビが行ったことは全く逆で、およそまともに情報公開をしないどころか、調査する素振りすら見せず、かつ情報公開も極めてクローズドな環境で行ったため、かえって不信感を増幅させることとなった。これが、今回の件で「憶測」が広がる必然性である(念のため繰り返すが、無責任な憶測そのものを全面的に肯定するつもりはない)。

 

で、(中居正広の件を把握したにもかかわらず放置して使い続け事からも伺えるように)今述べたことを理解できないような連中が会社の上層部を占めている訳だから、そりゃおかしな組織になるのは当然だし、その人間たちを刷新でもしない限りスタート地点にすら立てないわな、というのが現在のフジテレビの状況と言える。

 

そして、テレビ局の置かれた前述の状態を理解できていないのであれば、仮にフジテレビを擁護するような発言をしても、効果がないばかりか自身の思考力欠如と人格への重大な疑義を相手に植えつけるだけなので、百害あって一利なしとさえ言えるのである。

 

以上。


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