吸血鬼かりん:途中経過

2009-01-21 20:05:37 | レビュー系
吸血鬼ならぬ「増血鬼」を主人公にしたアニメ、それが「吸血鬼かりん」である。今までは「吸血鬼におねがい」や「この道、わが旅…」でネタにしただけだったので、ここに途中(第七巻)までの感想を記しておく。


この作品に興味を持ったのは、作者の影崎由那を昔からよく知っていたからだ。話は小学6年に遡る。当時は小学五年から始めたメガストアの副産物としてエロゲーの知識を無駄に蓄えていたが、いくつか印象に残るゲームの中に「セ・ラ・ヴィ」なるものがあった。別にゲーム内容はどーでもよかったので、絵が気に入ったのだと思われる。まあそれがきっかけで、一時はMay-Beソフトの原画集(「霧島診療所の午後」と聞いて何人わかるのやらw)まで買う程であった。まあPCがないからその代用ってのが大きいのだが…それはともかく、その他影崎が原画を担当した作品としては高校時代の「ハイスクールデイズ」、大学の「ココロ2」と、まあ要するに長ーいお付き合いがあるわけだ。


そんなわけで「かりん」が出たことも一応認識はしていたが、それで終わっていた。しかし最近になり、何か新しいアニメはないもんかと探していた際に手を出した。まあ影崎繋がりで見るだけだから外しても別にいいし…という具合に。しかし…なんじゃこの冒頭のシリアス&ホラーな感じは?イメージと違うなあ……なるほど、これは意表をつくための演出なのか。そんなリードブローを楽しみつつ見ていく。


さて本題に入るが、第七巻まで見て一番印象に残ったのは、吸血・増血が人間にとってマイナスのものではないように描かれていることだ。にんにくなどはネタにされているだけだが、これは扱い方次第でいくらでも話がおもしろくなるだろう。まず考えるのは、「ストレスなんかを取り除いてくれるんなら、ガンガン血を吸えばいいじゃん」というもの。でもそれって単純だなあ。さてどう応える?と見ていると、明るくなったはずの母親に息子がむしろ違和感を覚えている描写が繰り返される。


なるほど、つまり吸血・増血をうまく利用すればOKって話にはしないってことか。とするなら、それがダメな理由をきちんと構築しないといけないね。さあどう出るか……と期待していたら、ヴァンパイアハンターが出てきてドタバタ…まあこういう展開を取り入れるのはわかる。しかしどーーも中途半端やなあ。一体どこに着地したいんか?


そう考えていたら、かりんの兄の吸血行為をかりんが止める展開になった。これは非常におもしろい。というのは、さっきも書いたように吸血は相手のマイナス(例えばストレス)を吸収してしまう行為として描かれているが、もしそれだけなら吸血を否定する理由がそもそもないからだ。にもかかわらず、かりんは兄の行為を止めようとする。相手の息子が自分達の秘密を守っているという理由でだ。ん~でもちょっと待てよ。それは説得力に乏しいなあ。それは「ストレスをなくしてやるんだから相手にとって困ることはない」みたいに言い返されたアウトじゃねーの?少なくとも現時点で提示されているロジックではレンの行為を否定する理由が見つからない(もしかりんが単純に「クラスメートの母親だから」という理由で嫌がるのなら理解できるのだけど)。しかしそれにもかかわらず、レンは反論をしない。これはレンの苦味を含んだ自己否定と関係がありそうだが、あるいは未だ視聴者の知らされていない内実があって、それゆえレンは自己欺瞞にしかならない上記のような行為の正当化をやらないということなのだろうか?


とはいえなあ。友達の母親のストレスをなくすことに論理的な問題があるようには思えないのだが(というかそもそも吸血という行為に罪悪感を抱くのもよくわからないが)。むしろ「母親のストレスが減れば息子のストレスも減る(=かりんの望む通りになる)のであり、ゆえに俺の行為を止めるのは不合理だ」ぐらいの話で丸め込むんじゃないか?あるいは「お前はあいつの不幸が軽減されて自分の血の嗜好に反する結果になるのが嫌なだけだろ」というような揺さぶりもできる。あるいはそういう物言いをしないという点で、レンは本質的には「良い人」ってことなのかしらね。まあ単にそこまでやるとレンが悪役になってしまうとか色々事情があるのだろうけどwそんな疑問を抱えながら見ているとレンは増血について調べ始めた。さて第八巻ではどうなるのやら…


かりんが単に設定のおもしろいラブコメになるか傑作になるかは、この問題をどう処理するかにかかっているように思える。まあでも紹介文とか見る限りあんまし期待しないほうがいいんだろうなあ…

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