灰羽連盟覚書4:私はレキのことを忘れない

2011-01-31 18:41:31 | 灰羽連盟

灰羽連盟覚書3:灰羽を愛でる存在の異化」に続く最後の覚書となる。とはいえ、現段階で書けることはほとんど全て提示したので、細かい説明はリンクを膨大に張ることでその代わりとした。最初に全体を読んでもらい、その上でリンク先の記事にあたってもらうのがよいだろう(凡例については「灰羽連盟覚書0」を参照のこと)。なお、これをもって一連の灰羽連盟再考の記事の締めとしたい。

 

<第11話>

〇ミドリ「あなたはレキのことをわかっていない」→ラッカはまだ他人の心の闇(屈折)が見えていない→第13話へ

〇廃工場の灰羽たち=カジュアル、タフ→「清らかな」イメージと正反対[敬虔なるキャラの不在]

〇「父」に反発し、「」を求めるレキ

〇「なんか辛気臭いけど、やっぱ働いてこそ一人前の灰羽だからね」→[「労働」と「自立」。灰羽の実存が「青臭い」と思われない一因]

〇古代文字の内容も一部暗示される→全体としては解決されないまま(考えたい人は考えられる)

〇部屋が精神世界(わかりやすいアナロジー) (ex)ハサミ男 →13話へ

〇仕事に行く途中でいきなり泣き出すのはどうなんだろう(演技過剰)

 

<第12話>

〇鈴の実の意味→アニメ中解説なし[確かDVD付属の小冊子で解説されていたような・・・]

〇自分の弱さをさらけ堕して誰かを頼るとその人を傷つけ、みんなに嫌われてしまう→いつも笑顔をふりまき、心の闇を見せなくなった(ハリネズミのジレンマ)。この手の苦悩は特に今日ありふれたもの。親しい人にこそ心の闇は見せられない。「いい人」の問題→人当たりがいいだけの人・・・「調和と地雷」。もっとも、レキは具体的に身体を張って行動しているのでこれには当てはまらないが[とはいえ、それさえもクラモリ的あり方の模倣という点で完全には内発的なものではないし、またそのことがおそらくレキ自身を傷つけてもいるのだが→ラッカに対する露悪的態度へ]。

〇手文字の解明と真の名(謎解きの欲求をかき立てる)→[灰羽と「真の名」2覚書0寺院訪問アラカルト]。話師は真の名をラッカに伝える。[ラッカへの]信頼、[レキを救うのは]自分にはムリと理解、[そこまでレキを]気にかけている

〇レキは「もうすぐお別れ」ということを度々ほのめかす→本当は気にしてほしい(視聴者への印象付け+クウとの対比。レキの態度はむしろこの世界への未練を感じさせる) クラモリの絵を見つつ「自分もいつか忘れられてしまう」と言う→クウに対するラッカの感じ方と同じ

〇ミドリの抱きつき方(=ひざまずいたまま)・・・子供or妹が母or姉にしている印象を強く与える

〇黄色の花火・・・「これが私とヒョウコの答え」=「愛しています」の意味は単に恋愛感情を指すのではない。

 

<第13話> 自殺サークル「あなたは、あなたの関係者ですか?」、レキとラッカのやり取りについてはクラモ理論編2で詳述済み

〇誰かを信じるたびに必ず裏切られた。だから信じるのをやめた。傷つかないですみように。私はただの石ころになった。皮肉なものだね。心を閉ざして親切に振舞えばみんな私をよい灰羽だという。私の心の中はこんなにも暗く、汚れているのに・・・

〇「クウを妬む自分を心底軽蔑していた」、先を行くラッカへの「妬み」

上記の二つからすれば、おそらくレキの悲劇とは、「罪憑き」という名のスティグマを背負って生まれてきたことだけでなく、自分の負の感情を自覚できてしまうほどに聡明で、そしてそれを許せないほどに潔癖[前述の「露悪」の精神性を参照]であったことに求められるだろう。

〇心から助けを求めて、誰も応えてくれなかったら・・・本当に一人ぼっちだと知るのが怖かった[ニヒリズムも参照]

〇たとえその人の暗部を知ってもなお受け入れる→条件付きでない受容=クラモリ[覚書3]

〇別にラッカでなくても誰でもよかった→ラッカの性質と拒絶反応の必然性[交換可能性とアイデンティティの揺らぎ]

〇一人祈るネム[距離感、条件付きでしか受容できなかった過去、クラモリになれないことの自覚]

〇双子の芽吹き(スィルスィラ)…クウとレキの「生まれ変わり」のような印象も受ける[あくまで印象論だが]

〇「私はレキのこと忘れない」≠悟りの言葉(論理によらず納得を生み出す作品の最後の言葉として、これ以上相応しいものはない)

[過剰流動性、共同体、ブルックスここにありき]


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