森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

シロバナヘビイチゴ

2008年06月19日 | 自然観察日記
 知人が「ワイルドイチゴ」といって鉢植えにしていたものを持ち込んだのがきっかけで、庭の片隅からじわじわと生息範囲を拡大しています。外来の園芸植物という話もあるのですが、私には深山にあるシロバナヘビイチゴと全く同じように見えます。イチゴの味も変わりがない気がするのですが・・。結論はもう少し付き合ってからにします。
 ヘビイチゴといっても食用のイチゴと同属のオランダイチゴ属です。まぁ原種の一つですね。

シャラの樹 2種

2008年06月18日 | 自然観察日記
 両種を比較すると、その違いが分かります。左がシャラノキ、右がヒメシャラ。いずれも落葉性のツバキです。ヒメシャラの方が花、葉ともに小ぶりです。シャラノキは新潟にも自生しますがヒメシャラは関東以西の太平洋側に分布する種です。ヒメシャラは少しパイオニア的な性質があるようで、荒れ地で幼木を見かけます。

ヒメシャラ

2008年06月18日 | 自然観察日記
 私の家にはヒメシャラという種もあります。若い頃、奈良の沢を歩いていたときに川原にあった20cmくらいの幼木を持ち帰って育てています。もう7~8m位に成長し、径10cmくらいの樹になりました。シャラノキと違って幹が赤くなります。
 静岡の奥山でヒメシャの林に出会ったことがあります。巨木はなかったものの赤い幹の林の幻想に感激した事があります。屋久島では曲がりくねった巨木がたくさんあってそれはそれは圧巻、凄い光景でした。でも、どうしてでしょうね。ヒメシャラはあまり庭木などには使われていません。幹の特性を楽しむには大きな樹にしなければならないからでしょうか。

シャラノキ

2008年06月18日 | 自然観察日記
 もうシャラノキ(ナツツバキ)が咲く時期なんですね。梢のほうには咲ききった花もあるのですが、手の届く範囲ではまだ半開状態です。最近人気の樹木で庭木、公園木あるいは街路樹に良く使われています。

アサツキ

2008年06月17日 | 自然観察日記
 トノサマガエルやメダカ同様、20年くらい前までは近くの土手や農道脇にごく普通に沢山ありました。野菜として栽培しているところがあるそうですが、野生のものは本当に見なくなりましたね。まだ山里に行けば生えているところはそれなりにありますが、かなり除草剤の餌食になってしまっています。
 庭の片隅に植えておけば、花も綺麗ですし蕎麦の薬味などとして重宝します。激減している野草はむしろ民家の庭に保護したほうが自然保護にはプラスかもしれません。


クリの虫こぶ

2008年06月16日 | 自然観察日記
クリの花が盛りになりました。白い穂状の雄花が樹の冠部に沢山つけていて遠くからでもその存在が分かります。臭いがありますから虫を引き付けるための虫媒花と考えられますが、風による受粉も可能ですから両刀使いというところ。
 ところで、葉の付け根に丸いものが沢山ついています。いわゆる虫こぶでクリタマバチによって出来たものです。割ってみると幼虫が出てきます。昨年の夏頃、今年の芽が出来かけた頃に卵が生みつけられるのだそうです。クリタマバチのメリットは分かりますが、クリにとってのメリットは何もないようですから、両者の関係は「寄生」ということになります。
 植物は昆虫を抜きにしては語れない存在ですが、両者の関係を見ていくのもまた興味の尽きないテーマですね。

モミジイチゴ

2008年06月15日 | 自然観察日記
 モミジイチゴは浅い山の日当たりの良い場所にごく普通に出てきます。道路沿いの斜面に垂れ下がっているのを良く見かけますね。かっては山の子のおやつでした。もっと利用されても良いと思うのですが、棘が嫌われる原因なのでしょう。実を採ろうとすると引っかき傷がいくつも出来ます。次第に忘れ去られていくのが少し寂しい気がします。改良してトゲナシモミジイチゴを作ればきっと注目を浴びますね。でも、あまり広がらないで独り占めできるほうがいいかな・・。

ホナガクマヤナギ

2008年06月14日 | 自然観察日記
 クマヤナギというクロウメモドキ科の仲間で日本海側に生息する種です。この写真は先月撮ったもので、まだ春もほどない頃のものです。すでに実ができていますね。「そんなに急いで開花し結実しなくともいいものを・・」と思いがちですが、実はこれは昨年の初夏に開花して結実したものです。今年の花はまだないのです。花より先に実があるなんて不思議ですね。ゆっくりゆっくり実が熟し、やがて赤くなって最後は黒くなります。
 この2年越しの成熟にもきっと意味があるのだろうと考えています。食する動物とのかかわりを調べると答えが見えるかもしれません。
 (クロウメモドキ科の代表としてナツメがあります。)

猛禽

2008年06月13日 | 自然観察日記
 コミスジの舞う林の上空に鳥の影が横切ります。見上げると形は猛禽です。何度か旋回するのですが、木々の隙間からではなかなかカメラのピントを合わせられません。こんなピンボケの写真を撮るのが精一杯でした。ハヤブサよりは大きいようですが、種名は特定できません。
 しかし、一瞬でも猛禽に会えるなんて凄い事です。とても嬉しい気分になります。豊かな自然の象徴ですから、そんな中にいられることに感謝です。


コミスジ

2008年06月13日 | 自然観察日記
 ツクバネウツギが咲く山道は蝶も舞っています。上手くカメラに収められたのはコミスジというタテハチョウの仲間。滑空するような飛び方をします。先回苦労したヒラヒラ舞うウスバシロチョウと違い、よく葉の上に留まります。
 コミスジは浅い山の林などによく出現します。奥深い山には見かけない、まさに里山の蝶。人の暮らしと深く関わって生きてきたのでしょう。食草がマメ科の植物なのだそうで、林縁にはフジとかノササゲなどが沢山あります。

ウゴユクバネウツギ

2008年06月12日 | 自然観察日記
 過去にも紹介した気もしますが、山の小路を散策していて今年も出会いましたから再びの登場です。派手さはないけれどホッと和ませてくれる野草です。
 がく片と実の部分が「つくばね」に似ています。花が落ちた跡もっとそれが強調されて、納得の名前ですね。花は対になって付くので、仲むつまじさの象徴にもいいかもしれません。
 日本海側の多雪地に適応したタイプで、太平洋側のツクバネウツギと毛の多さなどで異なります。でも、そんな細かな事は気にしない事にしましょう。この仲間は温帯の低山帯、比較的日当たりの良い尾根などに出てくる潅木です。里山の植物ですね。自然度の高いところは苦手です。

路傍のエーデルワイス  チチコグサ 2

2008年06月11日 | 自然観察日記
 黄色の花のハハコグサに比べるとやっぱり質素。
 この仲間、白いクモ毛が沢山あります。キク科の植物は合弁花類の進化の先端を行くグループで、様々な環境に多くの種が暮らしています。適応進化の流れの中で、この毛は低温や乾燥などの厳しい環境にも適応しようとする試みとして生まれてきたと考える事ができますね。チチコグサは少し荒地に良く出ます。

路傍のエーデルワイス  チチコグサ 1

2008年06月11日 | 自然観察日記
 近縁のハハコグサは春の七草(ごぎょう)として注目を浴びる事があっても、チチコグサはその引立て役になることがせいぜいではないでしょうか。しかし、これほど群生していると立派な主役になっています。名づけて「路傍のエーデルワイス」。存在価値があるとおもいませんか。むやみに除草薬を撒かないでほしいですね。下田の山郷で見かけた風景です。

アオハダ

2008年06月10日 | 自然観察日記
 小さなうす緑色の正体はモチノキ科のアオハダの花です。見上げればアオハダの樹が枝を張っています。花もところどころに・・。
 長岡の東山丘陵にはごく普通の落葉樹で、幹の皮を剥ぐと緑色をしていますから「青肌」です。地味な花ですから、この時期にアオハダを見て喜ぶのはかなりの「オタク」でしょうか。でも、秋には赤い実を鈴なりにつけますから、なかなか素敵な樹ですね。