同じような種にミツバツチグリというのがあります。どちらもやや普通にありますから紛らわしいことこの上もありません。花だけ見ていてもほとんど区別がつきません。どちらかといえば里山のごく身近にあるのがミツバツチグリでやや奥山の岩場などで見るのがエチゴキジムシロでしょうか。とはいっても生息場所では明確に区別できません。この花は坂戸山の山麓で見たものですが、一応場所的にはエチゴキジムシロです。
ミツバツチグリとエチゴキジムシロを区別するには掘り出してみて根茎が太っているかどうかが確実なのですが、なかなか掘ることはできませんね。やっぱり葉が決め手になります。小葉が3枚であればミツバツチグリ、それ以上のものであればエチゴキジムシロとします。3枚であっても葉軸をよく点検し小さな葉が付いてることがありますから要注意ですね。この個体は小さな葉が認められますから明らかにエチゴキジムシロということになります。
坂戸山の山麓にはミチノクエンゴサクがたくさん自生していて、目下花盛りといったところ。この種はエゾエンゴサクの花の大きさに比べ1/3位しかありません。小さな花が沢山房状に付きます。反日陰の杉林などの林床に良く見かけます。花色はエゾエンゴサクに多い青系の色。
県内に点々と自生を見ますが、この樹もすっかり自生は少なくなりました。ミツバツツジの仲間は各地に素晴らしい種が自生しています。そのままで庭園樹になり、身近なところで花を見ることはあります。全国的にいろいろなミツバツツジがあるのですが、きちんと分類するとなるとかなりやっかいな種であるように思います。まず花では区別することは容易ではありません。その筋の書物には葉の毛の有無や毛のある場所などが結構重要な決め手になっているようで、もう少しわかりのいい区別点がないものか以前から思っています。ひところサイコクミツバツツジという種として教えられたことがありますが、その後ユキグニミツバツツジと訂正されました。両種はともに存在するものですがその明確な違いは判りません。ただ、太平洋側のトウゴクミツバツツジとの違いは花の時期がこれより遅いということと幾分花の色が薄いということは両種を比較栽培している関係で理解しています。
坂戸山のエゾエンゴサクの色が濃紫色であることも驚きです。各地でエゾエンゴサクを見てきましたが、ここのエゾエンゴサクの色は特異な気がします。角田や福島の山都で見た瑠璃色がエンゴサクのイメージなのですが、少々これを変えなければなりません。それにしてもここは暗紫色の花が多いのでしょうか。エゾエンゴサクは多くはありませんが、イカリソウといいエゾエンゴサクといい、その色調の共通性が偶然なのかどうか・・・。もう少し各地を見て歩きをする必要がありそうです。
多くの方が驚かれるのではないでしょうか。濃紫色のエゾエンゴサクの花です。そういえば、昔静岡で見たジロボウエンゴサクは赤紫色のようでしたから、ここのエゾエンゴサクはこういう種と共通の色素遺伝子を持っているのでしょうね。
先日イカリソウの話題を取り上げました。その後、この坂戸山に入ったのですが、カタクリはピークを過ぎてイカリソウが盛りでした。その量の多さに圧倒されて、同行した人も大きな歓声をあげていました。実はここのイカリソウは花の色の変化がかなりあって、赤紫色の基調は変わらないまでも、濃淡がとても面白いものでした。薄い白に近いものから暗紫色のものまで多様です。この個体は、薄い紫色の個体です。周囲にはトキハイカリソウは見られません。また、キバナイカリソウも見かけませんでした。
この個体は、赤みが強い個体で明るい感じがします。
この地にトキワイカリソウがないのはなぜか?長岡にはその逆でイカリソウは見当たりません。同じ雪国でそれほど離れているとも思えない場所で、2種のイカリソウがすみわけをしているようなのです。不思議ですね。察するに、雪国と言っても雪の量とその消え方にヒントがありそうな気がします。長岡は雪が消え高木がまだ葉を展開するまでにはそれなりの時間があるので、トキワイカリソウの昨年の葉の意味はありそうです。気温が低くても光合成という生産はできるのではないでしょうか。魚沼地域は雪解けが遅くブナなど高木は林床の雪が消えるのがまどろこしくて早々と葉を展開させてしまいます。林床の雪が消える頃にはもうすでに高木は熱く葉を茂らせている・・・。これでは、トキハイカリソウの戦略は通用しませんね。もっと違った能力の持ち主のイカリソウに占拠されている・・・。見当違いの推理かもしれませんが、あれこれ考えるのが楽しいですね。
この地にトキワイカリソウがないのはなぜか?長岡にはその逆でイカリソウは見当たりません。同じ雪国でそれほど離れているとも思えない場所で、2種のイカリソウがすみわけをしているようなのです。不思議ですね。察するに、雪国と言っても雪の量とその消え方にヒントがありそうな気がします。長岡は雪が消え高木がまだ葉を展開するまでにはそれなりの時間があるので、トキワイカリソウの昨年の葉の意味はありそうです。気温が低くても光合成という生産はできるのではないでしょうか。魚沼地域は雪解けが遅くブナなど高木は林床の雪が消えるのがまどろこしくて早々と葉を展開させてしまいます。林床の雪が消える頃にはもうすでに高木は熱く葉を茂らせている・・・。これでは、トキハイカリソウの戦略は通用しませんね。もっと違った能力の持ち主のイカリソウに占拠されている・・・。見当違いの推理かもしれませんが、あれこれ考えるのが楽しいですね。
越後に「花の山」とされる低山がいくつかあります。南魚沼の坂戸山もそのうちの一つで、カタクリの大きな群落があることでも知られています。5月の中旬、もう多くの花の山ではカタクリの季節は過ぎているのですが、坂戸山の山頂直下の桃の木平はご覧のとおりまだ見頃の状態でした。残雪もあって、その周辺はこれから咲きだそうとする個体も散見されます。ところでこの場所がなぜ「桃の木平」なのか気になっていましたが、ここに来てその理由がわかった気がします。このカタクリ群落の脇に大きな李(すもも)の樹がありました。径40cm以上はある樹高10m位の樹です。「桃」の樹ではなくて「李」の樹がこの地名と関係があるような気がします。坂戸山は昔の山城の跡。いつ頃からこの場所がこうよばれていたのか定かではありませんが、兼続が活躍していたころにはもう「李」はあったのかもしれません。桃の木を置くには少々高所すぎます。
すばらしい好天で熱いくらいの日でしたが、風がさわやかでまさに薫風の山旅でした。山頂からは雪を頂く越後三山(駒ケ岳は見えません)が、そして眼下には六日町の街並みが手に取るよう・・。頂上で美味しいおにぎりを頂きました。