我が家にチドリノキがあります。若い頃群馬のある沢にあった実生をつれてたものが育って今では直径20cm位のちょっとした樹に育っています。なんとなく名前が気に入って連れてきたのですが、新葉の瑞々しさは一級品ですがそれを覗けば概して控え目なカエデです。葉は単葉で切れ込みはありません。秋は黄葉に色ずくものの、土地柄でしょうか鮮やかな色彩とはいきません。株は雌株で今の時期は雌花が目立ちます。雌しべの基部には将来翼になる部分がすでにはっきりしていています。秋には沢山の種子ができます。しかし、できた種子が発芽したことはありません。当然といえば当然ですね。雄株は付近にはないと思いますし、もともとチドリノキは県内に自生はないと思いますから受粉ということにはならないのです。見た目は立派な種子ですが、胚は育っていないのでしょう。
イカリソウと異なりトキワイカリソウは間違いなく越年葉があります。新葉が展開し機能を十分果たしてくると、旧葉は次第に消失していきます。このトキハイカリソウは白い花が一般的ですが赤紫色のものもあるという話を聞いたことがあるのですが、この目で確認したことはありません。魚沼地域にはそういうのがあるのかもしれません。
魚沼には赤紫色のイカリソウがあります。サクラの季節が終わるとイカリソウの花が咲きます。今年は種によって花期が早かったり遅かったりでどことなくちぐはぐな感じがしますが、ようやく花の季節が来たとい印象です。イカリソウは花の形がユニークで愛好家も多い山野草で県内には数種のじせいがあります。このイカリソウは私は魚沼地域でしか観察していませんが、詳しい分布はわかりません。長岡などに多いトキワイカリソウと比べると越年葉がありません。
花の形はとてもユニークです。基本は4数性で、がく・花弁・雄しべは4、雌しべが1の構成。しかし、花弁が外側に飛出しそして内側に著しく湾曲する形。この花のポリネーターは何か知りませんが、この構造が有利に働くのでしょうか?興味深い問題です。
山手の空き地などで時々見かけますが、長岡当たりでは西山にはなく東山で出会います。分布の詳細はデーターがなくわかりませんが特徴のある分布形態があるかもしれません。葉の裏を見ると紫色になっていることから名づけられてはいますが、同じ性質を持つスミレもいくつかあってここだけで特定はできません。もっともスミレは身近な花ではあっても交雑種も多々あって、少し首を突っ込むともう収拾がつかないくらいの世界が広がっています。わたしは、あまり細かな差異を取り上げないスタンスでいようとおもいますからよく理解されている方には「問題あり!」と指摘されるかもしれません。
最も基本に置く図鑑ではシハイスミレの花の色は「赤紫」です。この青い花をシハイスミレとするにはそれなりの抵抗はあるのですが、花の色という形質は時にあまり重要な差異ではありませんから、他の形質からシハイスミレだとおもいます。また、花だけ見ていても他のスミレ類とも区別しにくい厄介な一群ですね。東山の休耕田跡地にかなりの個体群がありました。
先日、よく山野の散策にご一緒するRさんに「これはなに?」と聞かれてその場では思い出せない種がありました。ある程度は理解しているつもりの種でしたが、ほとんど蚊帳の外にあったものでした。自然散策のガイドをしているときはイネ科やシダ植物など地味な存在は完全に無視していて解説しようなどという気にはなっていません。もっとも難しいというのもあって無意識に敬遠しているという面はあるのですが・・・。で、その時の対象は「ヌカボシソウ」(イグサ科)だったのですが、以来反省して葉の長いものも積極的に取り上げていこうかと考えるようになっています。かれらも重要な自然の構成員ですからね。そういう「苦手」なグループを再度調べなおすと脳が活性化されてボケないような気がします。
これは、ヌカボシソウと同じ科のスズメノヤリです。ネーミングが面白くて印象深い種です。かなり地味ですが、どこにでもあります。「槍」に見立てる感性はどこにあるのでしょうか、それも「雀の」です。愉快ですね。(「やり」は大名行列の毛槍なのだそうです)
これは、ヌカボシソウと同じ科のスズメノヤリです。ネーミングが面白くて印象深い種です。かなり地味ですが、どこにでもあります。「槍」に見立てる感性はどこにあるのでしょうか、それも「雀の」です。愉快ですね。(「やり」は大名行列の毛槍なのだそうです)
イグサやイネ科などの種の花を一つ一つ見るのは至難の業で、専門家でもない限り必要としませんか。私もそういう域には好んで入ろうとは思っていませんから最低限の知識(それもあやしいですが・・・)しかありません。雌雄同株ので、雌花の時期と雄花の時期がタイムラグがあるとされています。この絵では雌しべの花柱がめだっていますから雌花の時期となります。雄花はこの花が終わったあとに出てきます。
長岡近辺で普通にみられるネコノメソウの仲間にホクリクネコノメがあります。花期はネコノメソウ比べやや遅く、大きな群落をつくることなく点々と小群落を形成しながら生育しています。密度もまばらで折り重なるようなことはなく地に伏したような広がりを見せます。休耕田のヨシ原の中を歩くとよく見かけますね。ヨシ原はこの季節しか歩けなくなり、やがて生い茂るとその下はとても他の植物が生活することができるようなかんきょうではありません。ヨシが枯れている間のわずかな期間に活路を見出している・・そんな光景です。(ヨシのない日陰の湿地にも点在しています)
花そのものは見栄えのするものではありません。苞葉が黄色に色ずくことで全体を引き立たせています。花は4数性。花の季節を見る限りでは「猫の目」は意味不明ですが、果期に観察するとなるほどと思います。この仲間は日本海側に分布の中心がありとても変異が多い種といても知られていて、うかつなことが言えないグループの一つなのです。ネットの情報をときどき見ることがありますが、結構権威のありそうなサイトでも「怪しい・・」というのがよくあります。何事も「言い切る」ことの難しさを最近強く感じてきています。
ミツバアケビの花を拡大してみました。なかなか造形としては面白いですね。雌花というよりめしべの方が絵としては合っています。上手く受粉し結実すればこのそれぞれが青いアケビの果実になっていきます。この雌しべすべてが結実することはなく多くて3つくらいでしょうか。全く実のできないときの方が多いのです。
これは雄花、紫色の葯が見えていますがまだ花粉を出していません。アケビは雄花と雌花が同じ花軸に付く性質があります。基部に雌花、先端部に雄花が多数付きます。アケビの花を採って三杯酢で仕上げるとなんと美しい酢の物ができるのですが、新芽を摘んで木の芽としていただく以外に春を楽しむ食べ方があることを教えられました。
里山の湿地に普通にみられる柔らかいやや大型の種。時に大きな群落を見ますが、これを丘陵公園の里山で再現させようと手を尽くしています。休耕田のヨシ原をヨシのみを除去できれば再現は簡単とは思いますが、このヨシが難物で費用と労力を使わないでやる方法がないか思案中というところ。今あるのは重機で湿地の土砂をヨシごと取り除いた荒れ地です。いくら湿地の植物とはいえ水があるだけの赤土ではそう簡単にうまくいきません。それでも、何とかこの程度には生育させられるようになりました。適した土になるにはどれくらいの時間がかかることか・・・。そうすると、再びヨシとの戦いになるのですが・・・。