遠目でヤナギランを見る機会は多いのですが、あまり目の前で観る機会が多くなかった気がします。先が十字に割れているのは雌しべ。両性花ですが雄性先熟の様で雄しべはうなだれ気味。花序の下側から上に向かって咲いていきます。花の時期ももうすぐ終わりです。
恥じてたものがないか探しましたが、まだそこまでは熟したものがありません。花の印象とは異なり果実はかなりの長大なもの。これが割れると中には綿毛を持った細かな種子が出てきます。風に乗って周辺に散布されるため高原の開かれた場所に真っ先に根を下ろし繁茂する典型的な先駆植物とされます。草原の遷移が進むにつれ消滅する運命にあります。
シオガマの仲間の花は変わった花が多いですね。左右非対称の花は時々ありますが、この形にはどんなメリットがあるのか説明ができません。虫媒花だとは思うのですがどのような昆虫がこの花に来て花粉を運ぶのでしょうか?この時も昆虫が飛来したということにはなかったように思います。
かつて蔵王の山に行ったときにまだ花がない季節のこと、この葉が何の種かが分からず悩んだ経験がありました。正体が分かってからはそういうことはないのですが、日本に自生する種を葉で判断できる水準に達したいとは思いつつ遥か彼方ですね。忘れることも多くなってきた現在、新しいことを積み重ねるのはかなり苦労します。しかし、人は年と共に肉体は衰えても精神は発達するということを信じて日々努力していきます。
ツリガネニンジンもたくさん見らえます。車道脇の草むらの個体はほとんど丈が低く花も大きめ。タカネツリガネニンジン(ハクサンシャジン)にしたいくらいです。しかし、ほっそりした花の個体も交じり、また隣接する高茎草原にも生育していて草丈はかなり高め。タカネツリガネニンジンにするには気が引けます。この種はこの地ではかなりの変異幅があるという認識で、新潟の里山で普段見慣れているツリガネニンジンとは顔が違いますが同じものという判断です。
昨年、八方尾根で見たタカネツリガネニンジン(ハクサンシャジン)に匹敵する花の大きな個体。こういうものがかなり生育しています。草丈が低い個体に目立った気もするのですが・・。この時は花の最盛期でなくやや遅めの季節でしたから、かなり感覚的な判断になります。
ハクサンフウロもたくさん見られます。こちらは日当たりがより良い場所に多くの花をつけていました。車が行きかう反対側にちょっとした塊がありましたが、左右の安全を確認しながらの横断、そういう行為をして鑑賞したい花ではないのですが・・・。野反湖周辺は多くの高山植物が見られるところとして近年人気化。山登りもしないで見られますから訪れる人も多いのでしょう。
花を覗いて雄しべを観察。まだ裂開していない葯がみられます。薄紫色の葯の中には黄色い花粉が詰まっているはずです。この葯は明日にも割れそう・・。雌しべと雄しべの熟すタイミングが異なるはずですから、この花は雌性先熟なのかな?