入笠山の植物は他にもたくさん見てきましたが多くは新潟でも見てきたものです。かなり季節もずれてきましたからそろそろ最近のものに切り替えていきたいと思います。その前に、高等植物以外に比較的取り上げていないものをいくつか拾って観たいと思います。
サルオガセは亜高山針葉樹林帯に行くと出てくる地衣植物で新潟県内ではもともと針葉樹林帯が発達していませんからあまりおなじみではありませんが、長野県内はみごとなサルオガセの個体群を目にすることができます、入笠山の山頂直下の針葉樹林帯でみたサルオガセです。実は地衣類は門外漢ですから的外れなことを言う可能性もありますが大目に見ていただいて綴っていきたいと思います。
目の高さのサルオガセを探している最中にいろいろな地衣類が目に止まりました。その中でサルオガセに似た地衣類がカラマツの幹に着生していました。手持ちの資料で調べてみるとヤマヒコノリという種に辿り着きました。脇にある丸い茶色の傘状のものと白い這う形状の地衣は同じ種でナメラカラクサゴケという種です。
入笠山の山頂直下の岩肌にコケ植物と思われる個体が見られました。該当する種にピタッと行き当たらないのですがオオバチョウチンゴケという種に近いものではないかと考えました。詳細な図鑑などが手元にありません。ネットを駆使してもなかなか正確なところには行き当たらないものだとつくづく思います。自然界にある種は実に奥が深いものです。
新潟では見られない種がもう一種あります。可愛いハナイカリというリンドウ科ハナイカリ属の一年草です。普通亜高山帯近くで見る花で県境を超すと長野県内では普通に見かけるのになぜ新潟にはないのでしょうか。少なくとも県内では私は一度も出会ったことがありません。
花は数個の舌状花からなり頭花は1cmくらいでしょうか。総状花序に付き花数はあまり多くなくパラパラと咲いています。じつは小さなつぼみは沢山あり次々と成長し開花するという仕組みで、その時に開花している花数が少ないだけなのです。
未熟な果実は細長くアブラナの実を連想させますが、熟すと中から綿毛をみにつけた小さな種子がモコモコと出てきます。もっとも種子は小さすぎてどこについているのかわからないくらいです。風が吹くとかなり遠くまで飛んで行ってしまいます。