ヤナギランはパイオニア植物として知られています。森を開発しスキー場にするとしばらくするとヤナギランが発生します。草刈りなど人為的な作業が加わるとかなり長い間ヤナギランの群落は維持されるのではないでしょうか。しかし、草地もそのまま何もしないで放置し遷移をさせていくとやがて消えていきます。今までヤナギランの景勝地として名を売っていた場所に出かけてみて保護という名のもと放置されるがため衰退して見る影もない場所をいくつか目にしました。花景観を作る場合はその種に合わせた人為作用をする必要があります。
入笠山の湿原辺りは亜高山帯になるようです。シラビソやカラマツなどの針葉樹が見られましたが、ジンヨウイチヤクソウはそれらの生育する林床に見られた小さな種です。北方系の種という位置づけになりますが、新潟の亜高山帯では報告がないようです。もっとも県内は湿った積雪の影響でしょうか針葉樹林帯があまり発達していません。針葉樹林帯に好んで生育する種は見られないようです。
マイナーなイネ科植物もたまには載せます。入笠湿原を抜けて入笠山への登りに入るカラマツの林の小径の脇にちょっとした群落があり目に止まりました。カモジグサという名前が付いていますがカモジグサとは異なる属です。葉が広く感じる種で葉に特徴があります。
新潟県内では出会ったことのない種がもう一種あります。ミヤマタニソバというタデ科イヌタデ属の1年草です。入笠湿原の縁に繁茂していて、一瞬ミゾソバと思ったのですがどうも全体の雰囲気特に花がおかしい・・・。帰ってじっくり調べて私にとっては新しいミヤマタニソバという種であることが分かりました。
入笠湿原を中心にワレモコウもたくさん見られました。湿原の木道脇にはかなりの個体数があるのですが、有名な割には地味な花ですからたくさんあってもあまり目立ちません。全国の明るい草原に見られることになっていますが新潟県内ではなかなか見られません。低地ではほぼ見られないようで県境の草原に採集記録が散見されました。低地での自生もあったようですが環境の変化についてこれなっかったのでしょうか。
秋の風情を持つ種です。「秋の七草」の仲間に入れておきたい種ですが、そうすると「秋の八草」になってしまいます。あまりバラ科のイメージがしない花ですが細かく見ると納得できます。地域によって花の色が違うようで入笠山のものは色の濃い花が多く見られました。
入笠湿原はすり鉢状のような地形をしています。湖みたいな溜まりの水は見当たりませんでした。季節がらでしょうか小川があり少量の水が流れていたようです。それも生い茂る草も覆われていてはっきりしませんでした。緩い斜面に木道が設置されています。青い花はエゾリンドウです。
入笠山ではの草地を中心にノアザミとノハラアザミが混在していました。ノアザミの名板はありましたがノハラアザミのものはありませんでしたから多くの方はすべてがノアザミと思い違いをしていいるのだろうなぁと余計な心配をしてしまいました。