これはノハラアザミです。ノアザミと混在していました。触ると粘りません。8月の下旬はノアザミとノハラアザミは両方開花していますからちょっと見ただけでは区別はつきません。触らなくても分かるポイントがあります。総苞片が外側にピンピンと開いているものがノハラアザミでぺたっと頭花にくっついているのがノアザミです。
日当たりの良い草地にダイコンソウが沢山の球果をつけていました。普段見慣れているダイコンソウに比べ球果が大きく感じましたので異なる種と判断し持ち帰って調べたところオオダイコンソウに辿り着きました。中部以北に自生する種だそうですが私は新潟県内ではまだ見ていない種でした。県内の採集記録などを見てみると弥彦周辺、妙高、糸魚川地区の長野県境や粟島などでわずかに記録があります。調査した先人の眼力と努力に敬意を払うところです。
コウモリソウ属の種がありました。東北南部を含め中部日本に自生する種とされます。資料によっては日本海側に偏って分布するという記述が見られましたが経験的に新潟県内では出会っていませんから長野や群馬などの内陸の雪のあまり多くない地域が中心ではないでしょうか。入笠山は分布の中心部になると考えています。幾分湿り気のある林の縁などにまとまった形で見られました。
トリカブトの仲間は全国的に分布していて各地域で細かく変異しています。目立つ花でもあり研究が進んでいるということもあり大変種類が多く名前が沢山付けられています。違いがあるのですから名前が異なるのは当然のことなのですが理解するのが大変です。花の形も種により異なるのですが基本は同じ形質でその違いを見極めるのは訓練を重ねないとできません。私はよく見るヤマトリカブトとホソバトリカブトは花ではいまだに識別できません。
葉は全裂まではしていませんが裂片は細い印象です。オクトリカブトはかなり広めではっきり分かるのですが、ヤマトリカブトでも細めに感ずるものもあり迷うところです。あとは分布域がどうかで考えることにしています。
秋の花のエゾリンドウが盛りで最も目立つ群落を作っていました。入笠湿原では全体が青くなるような高密度ではありませんが、点々と青い花が見られました。これから開花してくる個体もあるようですからまずまずの個体数があるようです。
8月の下旬でしたが、入笠山で感じたことはすでに終わっていなければならな花も個体数は多いとは言えないまでも至る所で見られたり秋の花も普通に見られ実に賑やかな場所であるということです。花の山として名高いのも頷けました。シモツケソウも花としては後半のものと思われますがまだまだ色彩が鮮やかな個体も見られました。興味深いことがあります。シモツケソウは新潟県内では魚沼地域の県境の平標山などの高山帯に自生していて他にはほぼ見られません。さらに、新潟には近縁種のコシジシモツケが佐渡など島しょを除き全県的に沢山自生しています。魚沼地域でも両種が見られるのですが微妙に重ならずシモツケソウは高山帯にコシジシモツケは山地帯に見られ棲み分けのような現象が起きているように感じます。