畑に見かけない蠅がいるなとカメラを向けた。
翅の模様が珍しいうえに、デルタ型でかっこいい「アブ」だった。
その黒い体を染物屋に見立てて「紺屋」、ホバリングして吸密する様子が「吊られている虻」ということで、「コウヤツリアブ」と命名されたという。
足の関節や翅の先端が黒い「ツマグロバッタ」もゴーヤの葉の上にいた。
オスの体色は黄緑色で、メスは茶褐色というが、似たような模様や形の仲間がいっぱいいるのでじつにまぎらわしい。
バッタとイナゴの違いを聞いてもどうしてもわからない。
久し振りに翅が退化している「フキバッタ」を発見。
翅がないので移動範囲が狭いことで地域固有種が多くなったが、地域によっては絶滅危惧種に指定されている。
観光地もない、名所旧跡もない、有名人もいない、商店もない、山と川だけが取り柄のこの地域にはまだまだ貴重な昆虫や植物が息づいている。
そんな地球の片隅に貧しくもつつましく生きている人間がまだまだいる過疎地、「アナザージャパン」がそこにいる。