一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

『欧米に寝たきり老人はいない - 自分で決める人生最後の医療』(宮本顕二・礼子)

2024年12月21日 | 読書
私が両親の介護をしていたとき、 幾度となく病院や施設を訪問したが、 〈なんと多くの寝たきり老人がいることか……〉 と、驚いたことを憶えている。 TVなどでは、元気そうなスーパー老人ばかりを紹介し、 「人生100年時代」が今そこに来ているかのような演出をしているが、 その実態は(日本は)「寝たきり老人」大国で、 世界の平均寿命ランキング(2022年)で第1位(84.3歳。数値は男女合わせて)なの . . . 本文を読む

『精神科医だから知っている「老後うつ」とは無縁の暮らし方』(保坂隆)

2024年11月07日 | 読書
私が利用している図書館では、 1回につき10冊借りられるようになっている。 毎回10冊借りるようにしているのだが、 あと1冊……となったときの「あと1冊」がなかなか決まらない。 早く帰りたいときは、近くにあった1冊を掴んで、カウンターへ行く。 今回、その最後の1冊だったのが、 本書『精神科医だから知っている「老後うつ」とは無縁の暮らし方』だったのだ。 正式なタイトルはもっと長くて、 『60 . . . 本文を読む

『こんにちは! ひとり暮らし』(みつはしちかこ) ……小さな恋のものがたり……

2024年11月03日 | 読書
背の低い女の子チッチが、 ハンサムで長身の男の子サリーに抱く一途な恋心を描いた4コマ漫画、 『小さな恋のものがたり』をご存じだろうか? 1972年7月8日から9月30日まで、 岡崎友紀、沖雅也のW主演で、日本テレビ系列でドラマ化もされているので、 私と同年代くらいの方々はご存じのことと思う。 私には、かつて、若き頃、 大学時代の4年間つき合った彼女がいたのだが、(コラコラ) 社会人 . . . 本文を読む

『6days 遭難者たち』(安田夏菜)……女子高校生3人の遭難を描いた児童文学……

2024年11月01日 | 読書
  先日、図書館に行った折、 新着図書コーナーで、“ジャケ買い”ならぬ“ジャケ借り”をした。 装幀が、遭難事故の新聞記事のようだったので、 中身を確かめもせずに、表紙だけを見て、 〈山での遭難事故を扱ったドキュメントだろう……〉 と、勝手に思った次第。 日頃、羽根田治さんの「ドキュメント山岳遭難シリーズ」などを愛読していたので、 同じ類いの本だと思ったのだ。 帰宅して、読もうとしたら、 それ . . . 本文を読む

垣添忠生『妻を看取る日:国立がんセンター名誉総長の喪失と再生の記録』

2024年10月08日 | 読書
※PCでご覧の方で、文字が小さく感じられる方は、左サイドバーの「文字サイズ変更」の「大」をクリックしてお読み下さい。 先日(2024年9月22日)、NHK・Eテレで、 「こころの時代~宗教・人生~ 医師と禅僧 生と死をめぐる対話」 という番組を観た。(2023年9月に放送した番組のアンコール放送)(コチラを参照) 医師の垣添忠生さんと、 禅僧のネルケ無方さんの対談であったのだが、 . . . 本文を読む

西加奈子『くもをさがす』 ……病気の先にある何かを探そうとする冒険譚……

2024年09月26日 | 読書
※PCでご覧の方で、文字が小さく感じられる方は、左サイドバーの「文字サイズ変更」の「大」をクリックしてお読み下さい。 本書『くもをさがす』は、 2023年4月18日に刊行された、 西加奈子の初のノンフィクション作品で、 2021年コロナ禍の最中、 滞在先のカナダで浸潤性乳管がんを宣告された著者が、 乳がん発覚から治療を終えるまでの約8ヶ月間を克明に描いたものである。 刊行後、 NHK「 . . . 本文を読む

『寿命が尽きる2年前』(久坂部羊) ……「敬老の日」に考えたこと……

2024年09月16日 | 読書
※PCでご覧の方で、文字が小さく感じられる方は、左サイドバーの「文字サイズ変更」の「大」をクリックしてお読み下さい。 今日は「敬老の日」。 総務省が15日に発表した人口推計によると、 65歳以上の高齢者は前年比2万人増の3625万人と過去最高を更新したとか。 総人口に占める割合も、過去最高の29.3%。 2023年の日本人の平均寿命は、男性81.09歳、女性87.14歳で、 世界の国や地域 . . . 本文を読む

『老年の読書』(前田速夫) ……「読まずに死ねない本」がこんなにあるとは……

2024年09月08日 | 読書
『老年の読書』(前田速夫)という本は、 ネット検索しているときに、偶然見つけた。 『老年の読書』というタイトルに、 「読書好き」の「老人」である私は、興味をそそられたのだ。 ただ、前田速夫という著者は知らなかったし、 (老人をターゲットにしたような)“いかにも”なタイトルだ……とは思った。 〈はたして読む価値のある本なのか……〉 本の画像を見てみると、 本の帯に、私の尊敬する川本三郎の推薦 . . . 本文を読む

『バリ山行』(松永K三蔵) ……六甲山系での圧巻のバリエーション山行描写……

2024年08月29日 | 読書
『バリ山行』(松永K三蔵)は、第171回芥川賞受賞作である。 もうひとつの受賞作『サンショウウオの四十九日』(朝比奈秋)の方には興味なかったが、 『バリ山行』は「バリエーション山行」のことだと知り、こちらには興味を持った。 私自身、「バリ山行」という言葉は使ったことはないし、馴染みがなかったのだが、 同じような意味の「バリエーションハイキング」という言葉はしばしば使っており、 近く . . . 本文を読む

『80歳。いよいよこれから私の人生』(多良久美子) ……1日1日を楽しむ……

2024年08月13日 | 読書
※PCでご覧の方で、文字が小さく感じられる方は、左サイドバーの「文字サイズ変更」の「大」をクリックしてお読み下さい。 結果的に、12万部のベストセラーとなった、 『87歳、古い団地で愉しむ ひとりの暮らし』(多良美智子/すばる舎)。 2022年6月に、 ……老後の極意…… とのサブタイトルを付してレビューを書いたのだが、(コチラを参照) この本は、(今でも)寝る前などに何度も読み返していて . . . 本文を読む