一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

徒歩日本縦断(1995年)の思い出・第13回「石狩平野」 …最も長く歩いた一日…

2012年06月07日 | 徒歩日本縦断(1995年)の思い出
石狩湾沿いの道を歩いた日(8月18日)は、
朝から夜まで、一日中、雨が降っていた。
前にも書いたことがあるが、雨の日は、距離を稼ぐことができる。
脇目もふらず、黙々と歩くからだ。
歩くことに集中するからだ。
その日、私は、早朝4時から歩き始め、
休憩さえほとんどとらずに歩いていた。
途中からとても気持ちよくなり、
どこまでも歩いて行けそうな気がした。




途中、石狩川を渡った。
長い橋であった。


降りしきる雨の中を歩いていたので、
何台かの車が駐まり、乗るように私を急かした。
「歩き旅をしているので……」
と断ると、
〈こんな雨の中を……信じられない!〉
といった表情で、去って行くのだった。
キャンピングカーで旅をしていた老夫婦に、
車に乗るように声をかけられたときには、
断ると、助手席にいた奥さんの方が、
「何をバカなこと言ってるの!」
と怒り出し、
車から飛び出してきて、
力ずくで私を乗せようとするので、大いに困った。(笑)


そんなこんなで、小樽に着いたときには、夜になっていた。
ザックを背負って歩く場合、
1時間で4kmほど進む。
普通は、1日10時間ほど歩くので、歩行距離は40kmほど。
この日は15時間以上歩いたので、
少なくとも60kmは歩いたことになる。
この徒歩日本縦断の旅で、最も長く歩いた一日だった。
……そういうこともあってか、とても思い出に残っている一日なのである。

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