MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『命みじかし、恋せよ乙女』

2019-09-02 23:20:29 | goo映画レビュー

原題:『Kirschblüten & Dämonen』
監督:ドーリス・デリエ
脚本:ドーリス・デリエ
撮影:ハンノ・レンツ
出演:ゴロ・オイラー/入月絢/ハンネローレ・エルスナー/エルマー・ウェッパー/樹木希林
2019年/ドイツ

不可解な主人公の葛藤について

 前作『HANAMI』(2008年)で主人公のカールは父親のルディを亡くしてから10年経つのであるが、アルコール依存症で妻のアニータと娘のミアと離れて暮らしており、決められた日にしか面会できないのだが、酔った勢いでミアの誕生日会に無断で訪れて顰蹙を買ってしまう。
 そんな時、ルディの看病をしていた日本人女性のユウがカールを訪ねてきて、2人でカールの実家を訪れるのだが、ノイシュバンシュタイン城の近辺で行なわれている奇祭でバケモノに化けた男たちにカールは襲われる。
 近所には義理の妹のエマが家族と住んでいるのだが、エマの夫のクラウスと息子のロバートの関係は拗れていてロバートは引きこもりの状態で、カールはそんなロバートの気持ちが理解できた。
 事前に察してロバートの自殺を防いだ帰りに泥酔して森の中で眠ってしまったカールは凍傷で重篤な状態だったのだが、姉のカロラインやクラウスたちが駆け付ける中で生命維持装置を切る直前に奇跡的に息を吹き返すものの、凍傷のせいで男性器を失ってしまう。
 やがてカールは日本の「茅ヶ崎館」を訪れユウの祖母に会い、ユウは既に亡くなっていることを知るのであるが、茅ヶ崎市堤、八坂神社、鎮座壱百五十周年、今上陛下御在位三十年記念渡御発輿祭が行なわれた2019年4月にカールはユウに海の中に連れ込まれたのであるが、生きる決心をしたカールは辛うじて逃げることができた。
 カールはアルコール依存症を患っている原因は、おそらく自身のセクシュアリティに悩んでいるらしい。確かに幼少の頃はカロラインやクラウスにいじめられており、凍傷を患う前にユウに誘われてもカールはユウとの性交を拒絶するのだから、カールに男らしさはないとしても、カールは結婚して娘もいるのだから、「ゴーストストーリー」という雰囲気だけが先行していて主人公の葛藤が至って分かりにくいと思う。


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