原題:『Everything Everywhere All at Once』
監督:ダニエル・クワン/ダニエル・シャイナート
脚本:ダニエル・クワン/ダニエル・シャイナート
撮影:ラ―キン・サイプル
出演:ミシェル・ヨー/ステファニー・スー/キー・ホイ・クァン/ジェニー・スレイト/ジェームズ・ホン/ジェイミー・リー・カーティス
2022年/アメリカ
映画館でしか体感できない「目まぐるしさ」について
古くは『スローターハウス5』(ジョージ・ロイ・ヒル監督 1972年)から新しいところではウォシャウスキー姉妹による「マトリックス」シリーズまで主人公が時空を飛び抜ける作品は多々あるものの、テレンス・マリック監督作品を観賞する時のような心配も、その目まぐるしさによる難解なところもほとんど無く、映像と同時に編集も上手いと思った。
主人公でコインランドリーを経営するエブリン・ワンが「正義」を体現する夫のウェイモンド・ワンと「悪」を体現する娘のジョイ・ワン(ジョブ・トゥパキ)に挟まれながら何とかして解決策を見つけるという分かりやすいベーシック・ストーリーがあるために映像の目まぐるしさに翻弄されずに済むのだと思う。それにしても『スイス・アーミー・マン』(2016年)の次が本作というのはダニエルズの「振り幅」もなかなかだと思った。
個人的に不幸だったのは、『フェイブルマンズ』(スティーヴン・スピルバーグ監督 2022年)と続けて観賞したためにジョブ・トゥパキの頭頂部についているベーグルがどうしても「Jew Hole」にしか見えなかったことで、これに関しては気をつけようにも気をつけようがない。
エンドクレジットで流れていた「This Is A Life」を和訳しておきたい。因みにこの曲には日系アメリカ人のミツキ・ミヤワキが関わっている。
「This Is A Life」 Son Lux & Mitski & David Byrne 日本語訳
これぞ人生
運命から解き放たれた
私たちが蒔いた種からだけではなく
私たちが示すものからだけではなく
これぞ人生(あらゆる可能性)
運命から解き放たれた(私があなたを選び、あなたが私を選ぶ)
私たちが蒔いた種からだけではなく(全ての時空)
私たちが示すものからだけではなく(私たちが知っているもの)
これぞ光
可能性のある多くの生命体(エントロピーからの解放)
永久不変のもののためにもつれる(手からつま先だけではなく)
(私たちが知っているものだけではなく)どういう訳か私たちはこの人生を見つけた
これぞ人生
ゆっくりで唐突な奇跡
他の世界からの視点
私たちの窓の下枠からの
永遠の重みと共に
光速で
これぞ人生
これぞ私たちの人生
Son Lux, Mitski, David Byrne - This Is A Life (Official Audio) | Everything Everywhere All at Once
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