トロルお爺の”Satoyaman”林住記

生物生産緑地にて里山栗栄太が記す尻まくりワールド戯作帳

苔への細根で巨木に育つ

2018-06-23 | 感じるままの回り道
 本邦でも青木ヶ原の樹海や八ヶ岳の山腹に苔層に育まれた樹林を観る事が出来るが、あっちの国では規模が異なり、どだい国そのものが岩盤であるからほとんどが苔類・地衣類に支えられた植生、と言ってよいだろう。

 林内で倒木の根張りも見たが、それは大木の割には薄く「よくこれで立っていたな…」と思ったほどだ。小生等のフイールドでの事、台風で径60㎝を超えるテーダ松の倒木が発生したおり、根張りの厚さが直径程度しか無くて驚いた事があった。地盤は粘板岩で火成岩とは異なるけれど根の侵入を許さない点では同じである。

 岩盤上の厚い苔層でも常時湛水しているようだと苔だけに見え、その下は泥炭層が多かった。写真の樹木は崖の小さな岩棚に芽生えた幼木が大樹となったのだが、横に張りだし体を支える幹とも根ともつかぬ部分に力コブの様な逞しさを感じた。

 まあ、どこでも同じような環境であれば同様なものは何時でも観察できる対象であろうけれど、フイールドにおける苔類の盗掘被害が目立ってきたこの頃、どうしても思い出してしまうのである。

 近寄ると➡          湿地帯は水苔、下は泥炭層が多かった

苔まで剥がすか山荒氏…

2018-06-23 | 小人閑居して憮然
 この頃、林道擁壁の苔が剥がされる。それも絞り水で潤い厚く苔むした部分である。通る人のほとんどは気にも留めない事柄なのだろうが、横目で見るたびに胸中穏やかでない。絞り水が涸れない部分はトンボが産卵もする場所でもあるのだ。

 通りすがりにむしり盗るだけで済むし、直ちに手提げにでも突っ込めば知られる事も無い。たかだか苔なので咎める人さえいないだろう。道路わきの潤沢の苔層だから狙われたのか、容易だからなのか、どちらにしても林内の被害もあるはずだ。

 先日の事、林内の苔場を案内し写真を撮らせたのだが、写真より実物が欲しい人は流行らしいから増えており、それを喜んでいるのだとか。まあ、だっこちゃんやカッチンなんてものも大流行りしたから「世は人につれ、人は世につれ」ではある。かくいう小生の若き時代、満員夜行列車で山行していたのであるから、あまり当節の事も言えんが言いたい。

 環境を虚仮にするとは腹立たしい限りではあるけれど、世の流行り物に右往左往・右顧左眄する連中は「苔通に入らずんば虚仮に同じ」とでも思っているのだろうか、それとも乗り遅れるのは「沽券にかかわる」事項なのか…。

 これでは「神さびたてる宮の森…」と歌う中山晋平作詞の校歌の宮の森さえ、どうなっている事やら。ブームとは恐ろしいものである。
 あっちの国で岩盤の上に厚い苔層があり、そこに草本・木本、多くの植生と生物が頼って環境を構成しているのを連日歩いてみてきただけに腹立たしさよりため息になる。