トロルお爺の”Satoyaman”林住記

生物生産緑地にて里山栗栄太が記す尻まくりワールド戯作帳

立ち呆け、返す踵よ・・・

2019-11-21 | 感じるままの回り道
 水見回りの途中、足を止めた。目の前8尺ほどのところにアオサギがいたのだ。普段は遠くからでも人影を知れば飛び立ってしまうほど警戒しているサギなのに今日は動かずにとどまっていた。気が付かなかったのはミソハギの塀で視認し難かったのだが、アオサギも詐欺に遭ったような茫然自失感があったような無かったような・・・。

 こういう場合、一枚撮影して退散するのがルールとは言えないルールで、そのまま踵を返したのだったが、林道から見やると何事も無かったように採餌行動を見せていた。今日のアオサギはどうしたのだろうと詐欺にでもあった気分だ。まあ小生が折れ折れサギにあったのは間違いない。
 この日、どういうわけかトンボ池でもコガモに遭遇した。こちらも飛び立たず小島の後ろに泳いで隠れた。こうなるとここでも踵を返す羽目になった。ストーカではないし、かといってすごすごと帰る義理も無いのだがそうなってしまう気性の弱さだ。すべては無難に波風立てずの処世訓・・・村社会の掟。この亡霊から逃げられずにいる。

 それでも逃げなくても良い時もやってくる。かつらへの客土のため採土中、つるはしをふるうにくたびれ立っていたら突然頭上が賑やかになった。「ジュビジュビ」とエナガの群れが大挙してやってきたのだった。近い個体は手が届きそうな2mばかり先の垂れ枝にまで降りて採餌している。30匹はいただろうか。
 カメラを取りに動けば逃げるだろうから動かずに眺めていた。群れの中にはメジロもいたしコゲラも混じっている。シジュウカラもみえたが数は少ない。群れが去って次に来たのはヤマガラのカップルだった。姥捨て山孤高の高齢者に見せつけてはいけない。
 
 こんな近くに大群が来るなど稀だ。樹上を群れて移動しているのはまま見るけれど羽毛の模様や色まで手に取るように見たのは初めてで、意外にお洒落な装いだった。こんな事に遭遇するのも森が育ったことの証だろうと報われた思いがした。活動を始めたころの一帯は孟宗竹の藪だったのだから。