トロルお爺の”Satoyaman”林住記

生物生産緑地にて里山栗栄太が記す尻まくりワールド戯作帳

頭骨玩具を作ってみるⅡー(2)

2020-11-04 | 何よりの楽しみ
 さて頭骨の大雑把な形は整ったものの、材がギリギリだったから開口させるための蝶番を削り出すのに苦労した。これも材の大きさに合わせて製図をして、ブロック内に収まる寸法を決めていないせいもある。要は「成り行き」状態で、これは毎度!なのだ。
 上顎に歯を植え込む間隔は歯の大きさで決まる。当初は10φのマホガニー丸棒を使うつもりだったのだが大きすぎる感じで、8φのマホガニー丸棒にした。100均で竹の箸を購入すれば安いし、着色すれば遜色はないのだろうが木材本来の色合いで作りたかったのだ。試作品の反省を踏まえ、コンパスで等間隔に印をつけ植え込み孔を開けた。ここに差し込む歯の形状は同心円状に尖らせてみたけれど、どうも不格好この上なく違和感が酷い。そこで三日月形にこそ削らなかったものの先端部を片方に偏して尖らせてみた。これなら見た目も違和感が無く鑑賞に堪えそうだ。

 下顎の植歯は上顎の歯を下顎に落として中心点を採り、その中間の奥側に植え込み孔を開けた。最初に全ての穴を開けてしまうと誤差の修正が不可能になって下顎を再度製作しなくてはならない。そこで安全のために上の歯の左右に位置する下の歯の位置を確認してから穴開けし仮り植えを繰り返した。これで試作品より噛み合わせの状態が自然になった。
 歯の高さも写真の歯並びを参考にして高低差を付けたけれど、実物の26本程度まで取り付ける余裕はなかった。試作品は歯の大きさがやや小さかったから実物の本数に近くなったけれど、これは板材が薄くて結果オーライだったに過ぎない。

 歯のインプラントが済めば荏胡麻油を塗布して乾燥させる。頭骨なので白色系塗料でもいい様に思えるが、樹種がヤナギなので柔らかく、2年ほど水に浮かべておいた材でもあり、パサパサ感がある材質になっている。そこで荏胡麻油を塗料として使い乾燥硬化性を活かして軟らかさをカバーする。
 2作目も背骨が取りつく位置に取手をねじ込んである。これで口の開閉が容易になって遊べるだろう。歯の先端は鋭利にしては無いけれど子どもでも大人でも「取扱注意」なのは変わらない。

 2作目なので歯の植え込みは要領が判り修正できた。しかし眼底骨の突起が、そうとは理解できず外側に出してしまった。本来ならば眼球の奥にあり支える役目の突起なのだが、哀しいかな理解していなかった。その上眼窩の突起が材の関係で張り出せなくで悔やまれる結果になっている。
 それともう一カ所の修正部は後頭部の幅を口幅より大きくできなかった事で肉食恐竜の骨格というより上面から見ると草食恐竜に見えてしまう。これらの不満足修正点を正して3作目で大団円にしたいのだが、もう材が無い。ヒノキやクワノキの幹材から切り出す事は出来るけれど、彫り込みに難渋してしまうのは目に見えている。

 この一番難渋する作業を解消する手立ては無い物かと考えたらビビビッと来たのだった。それは集成材の厚板を糸のこ盤でくり抜いて接着してしまう案である。もう案であるアイデアルそのものだ。この方式なら内部の空洞をくりぬく手間は不要で外形だけに集中できる。削るのは電動サンダーなので集成材なら訳もない。歯の植え込み穴も上顎下顎の噛み合わせだけ削り穴開けすれば下側が平らだから安定して正確な穴開けが出来るはずだ。こうなると「第三作目着手モード」になってしまった。いつもの悪い癖がでて「どこまで続く泥濘ぞ・・・」てなもんや三度笠。

 あーあ、餓鬼道に陥っている恍惚爺、いいえ好々爺を救う手立てはないものか・・・まあ、とどのつまりまで行くしか、無い!。というより名人達人の道は自分にも作品にも厳しいのである。「無い」のは妥協と未熟品なのであった。でも未熟品であることは誰にも言わない。年の功は品性を賢くする。まあ、永田町や霞が関には遠ーく及ばないとしてもだ。

      奥が試作品、手前が2作目
 材に余裕があった試作品はおおらかな出来栄えだが下顎の歯列が安易だった。芸能品は歯が命。これでは芸No品じゃぁ。