産卵日の翌日、産卵状態を確認に池まで行った。水の中に動かぬ個体がいる。取り上げたら既に死んでいた。
一匹は頸部、腹部が破れている。もう一匹は無傷だった。二個体ともメスの様で、腹部はゲッソリと萎んでいた。卵塊を輩出してしまった結果だが、大仕事だったろうと十分推測できる状態だ。傷の無い個体の胴体のゲッソリ感は尋常ではなかったから、これは衰弱死だったのだろうか…。
堤の上には食べ荒らされた残渣が残っている。新しい鳥の糞があったから、おおかたアオサギにでも捕食されたのだろう。「かわいそう」と言うより「ご苦労様でした」か「ありがとう、さようなら」の方が心情に合う。自然界は「弱肉強食」と言われるが、小生はそうは思っていない。
全ての生物は「生きとし生きるもののために生き、そして死ぬ」。次の世代を残し、命の糧になったのなら、それはまさしく「ありがとう、さようなら」でしかない。
例年、夜間に産卵し、朝には姿を消していた産卵行動なのだが、今年はどうしたことなのだろうか…。、ヤマザクラでさえようやく葉が萌え出た時期だというのに、桜の開花宣言が立春より前に出たし、自然の何かおかしいのかも。
羽根散らしカラスは天に初詣
入れ替わりミカンついばむメジロかな
フキノトウ一夜で頭部失くしたり
採り人も啓蟄となりそぞろ来る
萌え萌えと親父つぶやく春来たり
今回は「千歳一隅」ではなく「千載一隅」が実態に近い。泥水地の水が濁っていて、上部で作業もしていないから不審に思い辿ってみたら出くわしたのである。10年、このフイールドで活動していて初めての出会いだ。小父さんにだって、恋路の出会いはあるのだ。
1は水路脇で初めてであった個体で、後退しながら枯葉の中に潜ってしまった。上部の池には十数体のヒキガエルが群れていた。卵塊も確認できたし交尾中のカップルもいる。オスメスとも体色も体の大きさも異なり、初めて見る身には「壮観」の一言だ。
4,5,6とも別のカップル。オスのほうが体色は単純に見えた。メスの体色と模様は複雑で形容しがたい。雄を乗せて陸に上がったメスの後ろにはゼラチン質の卵の紐が水中まで連なっていた。雄から逃げようとしていたのか産卵途中なのかは不明だが、陸の卵は乾燥する運命になってしまった。
残念なことは、泥水地やトンボ池で産卵が無かった事。昨年は産卵してくれて「今年も!」と期待していたのだが…。でも、この現場を見れば、残念は帳消し。今日はコジュケイも初鳴き、タゴガエルも鳴き始めた。アオガエルは数日前から大合唱の水辺である。暦を見れば、はや春分なのだ。
動機は、棚田跡のV字浸食を防ぐために設えた丸太ダムと分水路だったのだが、危険な浸食溝を埋め戻したら棚田跡の活用も容易になったので、水辺を拡幅しつつ泥水地が完成したのだった。ここまでは成り行きみたいなものである。
「これで終わり」と一旦は思ったものの、今春、棚田の拡幅と泥水地の最終段の改修もしてしまった。改修を終わり3日目、久しぶりの降雨量があったので按配を確認しに寄った。棚田からの落とし口のゴム膜は法面を守っている。最終段の三段の段差工は水位の保持と緩やかな流れを見せている。
最終的な放流口も、丸太とゴム膜で大量の出水にも対応してくれた。今までは三面丸太張りで、丸太と土の接触面から漏水度々だった。これで今季は安心だろう。小さな流れでも「水を治める」のは手間がかかるし、これが出来ないと生態系も育たないが、小生も育まれている。
里山は緑に水玉散らしたりミカン山さえ草間彌生が
柚子は落ち夏のみかんは色づきて温州ミカンの数は減りゆく
樹下見ればミカン喰われて敷き詰めて樹上は皆無園主赤鬼
ハクビシンアライグマ来てアナグマも防ぐすべ無き山里の果樹
沢筋の最奥端部でチェーンソーの講習会が開かれていた。さる企業の支援で受講料無料なのだ。参加者は10人くらいか…。
主催者側と講師もその程度の人数だ。意外と人数が少なく、駐車スペースが無くなると思い、早めに到着して長い午前になってしまった。
参加者の顔ぶれも知っている顔が多く、新規参加者は少ないように見受けられた。きっと動員をかけられたのであろう。無料の講習会は有難いけれど、行政側もボランティア養成講座などを推し進めてほしい。どのグループも新規入会など皆無に近いのだ。
マスコミに取り上げられる会の活動等は、イベントとしての参加人数は大きいけれど、小さなグループは一般参加を企画実施するだけの余力はない。蟻のように営みを続けるだけである。植樹用の苗を調達する資力はないし、支援事業の多くは、イベント実施が条件で、それだけで見送ってしまう。
寒明けどミノムシになる卯の刻ぞ
泥浚い水辺に戻る雨水なり
止まぬ雨見上げて嬉し雨水の日
柿八年今日植えて実は古希を過ぐ
小包のクルミを五つ植えし沢