先日、BSフジ「プライム・ミュース」に加藤徹・明治大学教授(中国文学)が出演し、尖閣事件に関連して、中国人の思考様式を話していた。
興味深かったのは、次のエピソード。何故、中国が尖閣諸島の領有を主張するのか分かったような気がした。こういう中国人の国民性を知らないと、とんでもない話になるのではないか。そう、「無私物の範囲」というエピソードだ。
「筆者が中国で、中距離列車のセミコンパートメント(四人向かい合わせの座席)に座ったときのこと。窓のところの小さなテーブルの上に、駅の売店で買った雑誌を置いておいた。すると、向かい側の席にすわっていた見知らぬ婦人が、ついと手を伸ばし、その雑誌を手に取り、黙って読み始めた。筆者に「読んでいいですか」と一言たずねることもなく、著者の顔を一瞥すらしなかった。まるで、病院や理髪店の待合室(の雑誌を読むかのような態度だった。彼女は、小一時間ほど雑誌を読んだあと、それを黙って元の位置に戻した。雑誌を戻すときも、筆者の顔をちらりと見ることさえなかった。ただ、さすがに、この雑誌が自分のものではない、という意識はあるらしく、彼女は筆者の雑誌を勝手に持ち去ることはしなかった。」
「近年の、東シナ海の日中中間線におけるガス田開発をめぐるニュースを見ると、ふと、列車の雑誌の体験を思い出す。こちらが黙っていれば、相手は当然のように、中間にある雑誌に手を伸ばしてくる。それが中国人のなわばり感覚である。」(p.63-65)
「法匪」の仙石、外交音痴の菅首相には、ぜひ読んでもらいたい本だ。
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貝と羊の中国人 (新潮新書) 加藤 徹 新潮社 このアイテムの詳細を見る |