澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

何コレ!の「安堂ロイド」

2013年10月15日 00時03分38秒 | マスメディア
 滅多にTVドラマなど見ることはないのだが、「半沢直樹」の人気ぶりを伝え聞いて、その後続番組だという「安堂ロイド」をちょっと見してしまった。

 木村拓哉主演の番組だというので、内容は多少荒唐無稽でも視聴者は見てくれると踏んだのだろうか? 私が見た限りでは、小学校高学年の児童でも、少し賢い子供なら、こんな番組を最後まで見ないだろうなと思った。

 どんな役をやっても、いつも同じ台詞回ししかできない木村拓哉。これまで、日本国首相、天才能科学者、パイロットなどを演じ、今回は天才物理学者でなんと「東京帝國大学教授」だという。番組紹介では次のように書かれている。


沫嶋黎士
東京帝國大学次元物理学部物理学科・宇宙理論学部教授。
ワームホール理論の最先端の研究者で、ノーベル賞有力候補と言われている。
※ワームホール(wormhole)とは、時空構造の位相幾何学として考えうる構造の一つで、時空のある一点から別の離れた一点へと直結する空間領域でトンネルのような抜け道(時空のトンネル)である。
物理学の話に夢中になると、楽しさのあまり笑ってしまうことがある。


 中年のホストにしか見えなくなったキムタクが、大学教授でノーベル賞候補という役回りとは…。誰かがキムタクに恥をかかせようとして、わざわざ仕組んだ脚本ではないかとさえ思えてくる。

 それにしても、「東京帝國大学」という歴史的呼称を平然と使用する脚本家のバカさ加減にはあきれ果てる。「帝国」ではなく、わざわざ「帝國」という表示するからには、旧制の東京帝國大学(現・東京大学)の名称を無断借用したという自覚はあるのだろうか。
 
 キムタクのファンはご存じないだろうから書いておく。東京帝国大学を始めとする北海道東北名古屋大阪京都九州、それに京城(現・ソウル大学)、台北(現・国立台湾大学)の九帝國大学は、日本の近代化を推し進める優秀な官僚・技術者、指導者を育成するために作られ、今もなお、高度な学問・研究水準を保っている。言うまでもなく、台湾・朝鮮は、当時大日本帝国の一部であった。台湾でも韓国でも最も優秀な大学は「国立台湾大学」「ソウル大学」なのだ。
 早慶等の私立大学は、同じ「大学」という名前が付いていても、八つの帝國大学に遠く及ばなかった。「私学は名前は”大学”であっても、専門学校と同じ扱いだった」と記した専門書もある。こうしたことから、帝大教授という肩書きには、特別な響き、意味合いがあったことが分かる。

 1960年代後半の学園紛争の中で「帝国主義大学解体」が叫ばれたことがある。団塊の世代あたりなら皆知っている事実だが、このスローガンも文字通りの最高学府・東京大学をターゲットにしていた。
 
 つまるところこの番組の脚本家は、「帝國大学」が日本の近現代史に深く関わっている事実に無頓着すぎる。「東京帝國大学」が持つ言葉の重みを少しは考えるべきだった。これでは歴史音痴か単なるバカと思われても仕方がないだろう。

 キムタクの番組なんだから、そんなつまらないことを言うなよ…と言われそうな気もするが、こういう無神経な番組づくりが、かえってキムタクさんを貶めることになるんだよ…と忠告しておく。