オーディオ歴ウン十年の私だが、最近、いちいちCDを取り替えて聴くのが面倒になってきた。昨年11月、車を買い替えて、USB付きのカーオーディオに慣れてしまうと、その便利さには到底抗えない。
そこで、USBを中心に聴けるラジカセ、ミニコンポの類を物色してみた。予算は1万円程度。このクラスの商品は、量販店に行ってもなかなか現物が置いていないので、ネット上でカタログを調べ、価格比較ドットコムを見て購入することにした。
ようやく見つけたのが、ケンウッドの「マイクロシステム M313」という商品。
CD(MP3CDを含む)、USBが聴けて、AUX端子付き。音質は、ポップス、クラシック、ジャズなどのモードが選べる。これで価格は、7,430円(アマゾン、税込み)。
早速、机の上に置いてみた。こんな感じ…。
実は、この写真の左側には、古いSONYのMDミニコンポが置かれている。そこで、両コンポを同じCDで聴き比べてみた。曲は「いい日旅立ち」、ビージー・アデールの演奏。
SONYのミニコンポは、当時5万円くらいしたはず。ケンウッドの安物コンポでは到底敵わないと思ったら、実はそうでもなかった。SONYがドンシャリ感のある音であるのに対し、ケンウッドはデジタル録音のピアノに相応しい、奥行きのある音を出す。ケンウッドのスピーカーは、安いベニヤ板を組み合わせた感じで、紙のように軽い。だが、ウラ面には穴が開いていて、どうやらバスレフ型の構造になっている。昔だったら、安かろう悪かろうの音しか出なかっただろうが、今どきのミニコンポは違う!と大いに感心した。
ネット上でこの商品の評判を検索すると、「CDの音が出ない」「すぐに音飛びがした」等々、かなりネガティブな書き込みを見つけた。私が試した限りでは、CDもMP3CDも問題なくかかるし、USBはファイルの選曲が容易でとても使いやすい。ただ、CDを「ランダム選曲」にすると、曲が切り替わるときのノイズが少々気になる。
大昔、実売価格で50万円ほどかけたステレオを持っているが、LPなどは操作が面倒くさくて、この数年聴いていない。大昔流行ったカートリッジのレコード針だけで、1万4千円もしたのを思い出した。このミニコンポは、その針先の半分の値段で買えるのだから、オーディオ・マニアなどという言葉が、死語になってしまった理由がよく分かる。
音楽も大量生産、大量消費の時代。このミニコンポはそれにピッタリ。価格も機能も音質も、十分に納得。いい買い物だったかも。