チベットにおける人権、宗教弾圧をテーマにした映画「ルンタ」が上映中。
私がこの映画の存在を知ったのは、昨晩のNHK・BSニュース。NHKの媚中報道はつとに有名だから、たとえBS放送でもこの種の映画を紹介するのは異例のことだ。今朝4時、NHKラジオ第一放送のニュースでも同様にこの映画を紹介したのには、またまた驚かされた。
この映画をあるブログは次のように紹介している。
ドキュメンタリー映画作家、池谷薫による最新作「ルンタ」の公開が決定した。チベット語で“風の馬”を意味する言葉をタイトルに持つ本作は、中国政府の弾圧を受けるチベット人の肉声や日常生活をカメラに収めたドキュメンタリー映画。インド北部の町ダラムサラに住み、チベット人たちの“焼身抗議”をブログから発信し続けているNGO代表の建築家、中原一博が案内役を務める。
監督の池谷薫は、「延安の娘」では紅衛兵の親に捨てられた中国人女性、「蟻の兵隊」では終戦後中国に残留して内戦を戦った日本兵、「先祖になる」では東日本大震災で流された家を同じ場所に建て直そうとする老人を描くなど、常に弱者の視点に寄り添う作品を撮り続けている。
「ルンタ」は、東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムほかで7月から全国順次公開。
この映画が本当に「チベット人の心に寄り添う作品」ならいいのだが…
NHKの中国関連報道は、今や中国政府の影響下にある。「ワールドニュース・アジア」の枠内では、北京・上海、香港のニュースを放送しながら、台湾のニュースは絶対に採り上げない。「中国はひとつ」であり「台湾は中国の一部」という、中国の主張に服従しているので、台湾立法院を学生が占拠した「ひまわり革命」についても、ほぼ無視を決め込んだ。
そのNHKがこの映画を採りあげる意図とは?
この映画を見ていないので、軽々には言えないのだが、「常に弱者の視点に寄り添う作品」という製作者の姿勢を免罪符としているのかもしれない。つまり、チベット仏教僧(=ラマ僧)の「非暴力」抗議を支持する限りでは、中国政府はお目こぼしをしてくれると判断したのだろう。
映画の紹介では「現地で活動するNGO代表の建築家、中原一博が案内役を務める」とあるが、まさかチベットに日本人の反政府活動家が居住を許されるのだろうかと訝った。案の定、中原一博という人物はインド側のチベット人居住区に在住する人だった。
中共当局の過酷なチベット支配を考えると、焼身自殺などの「衝撃映像」は、池谷薫自身が取材、撮影したものではありえない。だとすると、どこまで中共(=中国共産党)=漢族のチベット支配の実相に迫っているのか、早々には判断できない。
「NHKニュースが取り上げた素晴らしい作品」なのか、「あのNHKニュースが誉めるのだから、おそらく駄作」…評価はこのどちらなのか?