NHKスペシャル「アジアの”一等国”」(4月5日放送)で一躍有名になった「日台戦争」という言葉だが、ネット上で検索すると、これは檜山幸夫・中京大学法学部教授の著書から引用したものらしいことが分かる。
ネット右翼(?)とされる人々からは、「三流大学のアカ学者」呼ばわりされている檜山氏だが、実際はどういう人なのか? 中京大学のHPを見ると次のように記されている。
檜山 幸夫(ひやま ゆきお)職名 教授 専門分野 日本近代史、日本外交史 研究テーマ 日本近代国家論、戦争の紀念碑と戦歿者慰霊、台湾史、近代史科学 所属学会 東アジア近代史学会、史学会、日本政治学会、国際政治学会 担当科目 政治史A・B、演習Ⅱ(2年生)、演習Ⅲ(3年生)、演習Ⅳ(4年生)社会科教育法、教育実習Ⅰ・Ⅱ
不思議なのは、他の教授陣が、すべて経歴・学歴が記されているのに、この人だけは無標記だということ。他のウェブサイトを見ても、ついにこの人の経歴は分からなかった。こういう場合、①自分の信条に基づいて、経歴は載せない、②人には見せられない恥ずかしい経歴である、という二つのケースが考えられる。
上記の中京大学情報では、檜山教授は、史学会、日本政治学会というように、ふたつの異なった分野に属している。このことで、彼の出身学部は文学部史学科だと推測できる。法学部で「政治史」を教える教員の多くは、法学部(政治学科)出身者だが、彼らが史学会に所属するケースは稀である。
檜山教授の研究履歴はある程度検索できる。台湾研究の中心的存在である東京大学の若林正丈、川島真両氏とも交流があるようなので、それなりの実績、信頼のある人なのだろう。少なくとも、ネット右翼が書き込むような「トンデモ研究者」というわけではないことが分かる。
さらに「桜チャンネル」が檜山教授に電話インタビューをした記事を見ると、本人もNHKが「日台戦争」という言葉をあのように使ったことに対して違和感があるようだ。
それでは、何故、NHKが自信満々にこの言葉を使ったのか。謎は一向に解けない。
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