旅行三日目は、高雄・左営から高速バスで恒春半島への旅。
まず、高雄駅からMRTで左営へ十分ほど。地上に出ると、墾丁行きの高速バスが何台もスタンバイしている。その横に新幹線(高鐡)ホームが入るビルがあるので、エスカレータで二階へ。そこにある切符売り場でチケットを購入。
高雄の左営→恒春の高速バス切符。先の墾丁、鵝鑾鼻に行くには別途購入が必要。
左営から恒春までは、352元。インターネットの旅行記を見ると、「高速バス(墾丁快線)は、目的地まで往復で買うこと」というアドバイスが書かれていたが、往復切符は若干割引になるメリットがあるという意味で、「途中下車」はできない。バスの経路は、高雄(左営)→恒春→墾丁→鵝鑾鼻(がらんび)の順。そこに注意したい。
恒春には、清朝時代に築かれた恒春鎮の城壁が残っていて、観光名所になっている。また、近くには台湾映画「海角七号」のロケ地があり、見どころになっている。墾丁(こんてい)は台湾有数のリゾート地。TV映画「墾丁は今日も晴れ」で日本でも有名になった。さらに、鵝鑾鼻(がらんび)は、台湾本島最南端の岬で、日本統治時代に建てられた白く美しい灯台が、バシー海峡を臨んでたたずんでいる。
往復切符を買ってしまうと、途中で降りることはできない(前途無効)だから注意が必要だ。
恒春→墾丁→鵝鑾鼻への観光地図
左営から恒春までの所要時間は、およそ2時間。バスが南下するほど、檳榔樹(びんろうじゅ)の美しい林が続き、エキゾチックな雰囲気が漂う。ちなみに、台湾の気候は、台南、高雄などの南部が「亜熱帯」に区分されるが、恒春半島に限っては「熱帯」なのだという。
1 恒春
恒春に着いたとたん、空は真っ青、風もなく、日差しが強い。気温は28度くらいだったろうか。12月14日なのに、まさに夏景色。半袖シャツを持ってきてよかったと思う。ただし、バス(交通機関)の車内は冷房をガンガンと効かせているので、上着は持っていくべきだ。
話は逸れてしまうが、この季節、台湾人の多くは信じられないような冬の服装をしている。ダウンジャケットや冬のコートを着る一方、いたるところで冷房がガンガン。季節感がわからなくなってしまう。
城壁に囲まれた恒春の旧市街は、極めて小さい。清朝時代の鎮(町)が遺されているという点で、歴史的価値は高い。台湾海峡側(西台湾)が大陸からの移民によって次第に開拓されていき、行き着いた最南端の場所がこの町ではないだろうか。鵝鑾鼻の岬を超えると、海は太平洋に変わり、海岸線まで迫った中央山脈の偉容が目に入る。太平洋側の東台湾は、清朝の手に及ばない原住民の領域だったに違いない。
恒春の警察署前。ここがバス停。
清朝・光緒帝年間に建てられた恒春城市の南門
横から見た南門
恒春鎮の西門
西門から南門へ城壁を歩く
恒春城壁内の公園の椰子の木
恒春の公園に咲く花
城壁内にある公園の椰子の木
恒春鎮石碑公園
2 映画「海角七号」ロケ地
台湾映画史上最大ヒットを記録した「海角七号」(2008年)は、この恒春が舞台だった。日本と台湾の歴史的絆を描いたこの作品を見るまで、私はほとんど台湾を知らなかったのだから、ぜひとも訪れてみたい場所だった。
恒春の老街(旧市街)はとても狭いので、映画の主人公・阿嘉の家はすぐに見つかった。入場料は50元。
「阿嘉の家」の二階 ベッドには范逸臣のサインが…
映画を見ていない人は、「なんじゃこれ?」という感じだと思うので、映画の予告編を貼り付けておこう。この予告編には上の部屋のベッド座る阿嘉(アガ=范逸臣(ファン・イーチェン))が映る。私は同じポーズで写真を撮ろうと思い、「ベッドに腰かけていいか?」と訊いたら、しっかりと断られた。