障害者団体を装った郵便料金不正事件に関わったとして起訴されていた、村木厚子・元厚生労働省局長に無罪が言い渡された。
マスメディアは手のひらを返したように、検察の違法捜査で罪もない村木局長が起訴されたかのような報道を繰り返しているが、まさに噴飯ものだ。逮捕当時、マスメディアは、高級官僚の犯罪だとして、村木さんを叩きに叩いたことを忘れたのだろうか。
ラジオのパーソナリティ・荒川強啓という男のコメントには思わず吹き出した。村木さんの逮捕当時、荒川は「また役人が悪いことをした」「われわれはきっちりと監視の目を光らせなければならない」とか言っていたのに、きょうは「検察の捜査に問題がありますね」「村木さんの主張が認められてよかった」という趣旨の発言を繰り返していた。この無節操!羞恥心というものがないのかと思った。アホバカ司会者と罵っておこう。
TVの記者会見を見ていると、村木さんという人は、誠実に仕事をやってきた典型的な官僚だと思う。優秀で、仕事に打ち込み、ここまできたキャリア・ウーマンの鑑のような人だ。有象無象の政治家、コネ採用ばかりのくせに「報道の使命」などとこじゃれたことを言うマスコミ関係者とも全く異なる、高級官僚の誠実さをそこに見た。
マスメディアによる公務員叩きで、国家公務員上級職に優秀な学生が集まらなくなっているという。国家公務員試験ほど、門戸にこだわらない、公明正大な試験はない。それなのに、公務員になることがあたかも後ろめたいことのように思われる風潮は、ゆゆしき問題ではないか。
私は、この村木さんの問題について、次のように書いたことがある。
http://blog.goo.ne.jp/torumonty_2007/e/6272e5893b6ef08e96dadd5040fbf14e
「…多忙を極める厚生労働省の本庁課長が、所管事務のすべてを掌握できるはずはない。公印が無断で使用され、公文書偽造が行われたとしても、それにいちいち目を光らせているのは不可能だ。とりわけ政治家の紹介があって、前例踏襲で処理されてきた今回のような案件では、係長クラスが実務的に処理するというのが通例ではなかったか。
村木・元局長については、女性キャリアの期待の星だったようだ。高知大学卒というハンディを背負いながら、局長まで登り詰めたのは、本人の能力、努力によるものだったのだろう。たまたま”事件”が起きた所管課の課長になってしまった…本人としては、管理責任は負わなければならないとしても、率直なところ運が悪かったという気持ちだろう。
考えてみれば、こんなことは身近にいくらでもある。問題職員が起こした不祥事でも、マスコミ沙汰になれば、管理監督者は、本来の責任以上の”罪科”を負わされる。さんざんマスコミに叩かれた村木・元局長が、もし無罪となったなら、マスコミは彼女の名誉回復をしなければならないのだが、今の腐りきったマスメディアにはそんな気はさらさらないだろう。村木さんは運が悪かったのだ……。」
国内障害者郵便悪用事件
障害者団体向けの割引郵便制度を企業が悪用しDMを送付。証明書偽造に関わったとされた厚労省元局長は1審無罪。[関連情報]
「もうこれ以上、私の時間を奪わないで欲しい」
郵便不正をめぐる厚生労働省の偽証明書発行事件で、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた厚労省元局長・村木厚子被告(54)(起訴休職中)が10日、大阪地裁で無罪の判決を言い渡されたことを受けて公判後に記者会見を開いた。(読売新聞)[記事全文]
◇かつての上司と部下もコメント
・ 村木元局長の元部下「取り調べに屈してしまった