火曜日(14日)の昼、リニア新幹線工事が進む駅の近くにあるシネコンに出かけ、「ゴジラ-1.0」を見てきた。一時半に上映開始、観客は十数人だった。
この映画については、ネタバレが禁じられているようなので、詳しくは書かないが、私の感想では、星三つ★★★だろうか。まず、ストーリーが杜撰で稚拙。最後の結末を見ると、それまでの展開が何だったのかという感じ。さらに、主演男優の凡庸な演技、ひどい滑舌の悪声(鼻声)が全体の印象を悪くしている。
とはいえ、特撮の部分は素晴らしい。ゴジラの都市破壊、戦艦との交戦画面などは、ファンにとっては大歓迎の出来だろう。私的には、米軍の爆撃により廃墟となった「帝都」東京の光景や、「戦災」にもめげず自力で復興に歩む庶民の姿は、よく描かれていると思った。「戦災」の被害者に対して、敗戦国となった日本政府はほぼ何もしなかった。財政的にも、東日本大震災時の「復興住宅」のような支援は無理だった。
主人公が自力で建てたバラック住宅には、電気製品と言えば、裸電球とラジオがあるだけ。TV、冷蔵庫、洗濯機などが普及するのは、ずっと後になってから。私自身も、その変化のプロセスを体験しているから、実証的な映像には感心した。
ゴジラが来襲するのを知りながら、政府はそのことを公表しない。「この国は、重要なことを国民に知らせない。誰かが責任をとることを避けるためだ!」というセリフは、東日本大震災やコロナ禍を身近に経験した我々の思いを代弁している。というか、ゴジラの存在そのものが大震災や戦争を象徴しているのだという見解ももっともだと思えてくる。
同調圧力、無限無責任体制、事なかれ主義‥‥その根源にあるものは?それを糺(ただ)さないと、いつでも「特攻」の繰り返しだ!この国は‥。
【予告】映画『ゴジラ-1.0』《2023年11月3日劇場公開》