今朝、中国中央TV(CCTV)のニュースを見ていたら、韓国の国会で核武装論が採り上げられたと報道していた。言うまでもなく、北朝鮮の核実験に対応する議論だ。日本のTV局もこのニュースを採り上げるのかと思っていたら、NHKニュースは全く触れずじまい。「みのもんた」のワイドショーでは、「隕石の落下からどう身を守るか」と言っていたので、そのピンぼけぶりに言葉も出ないほどだった。共産党一党独裁の中国でさえ採り上げたニュースなのに、日本のTV局は完全スルー。この違いは何なのか?
先日、石原慎太郎・日本維新の会共同代表が、衆院予算委員会で憲法改正問題を採り上げ、「絶対平和という共同幻想」(吉本隆明)に取り憑かれた日本人の深層心理を描き出した。その共同幻想に一番どっぷりと浸かっているのが、日本のマスメディアではないだろうか?
東海・南海大地震、首都圏直下地震、福島原発の収束問題、北の核、対中韓領土問題など、日本国の存立自体を脅かしかねない重大問題が立ちはだかっているのに、肝心のそれらの問題はスルーし、震災復興報道で「向き合う」「寄り添う」を連発するばかり。こんなのがまともな報道だと言うのなら、国益に関わる問題についてはきっちりと報道する中国中央TVの方がずっとマシではないか!?
ロシアの隕石落下の映像を見て、「これが北朝鮮のミサイルだったら…」と思う人が何人いたのだろうか。韓国国会で核武装議論が出ても、全く報道しないTV局ばかりだから、暢気に「隕石の落下」を心配する人ばかりになってしまったのではないか。
「国際社会」が一致して反対していると言い続け、「大丈夫」「心配することはない」と国民を騙し続けるマスメディア。北の核の標的は日本だという厳然たる事実をなぜ報道しないのか。我が国を取り巻く国際環境や大震災・原発災害を冷静に見つめるならば、日本人は必然的に日本社会の在り様、現在過去未来に思い至るはず。だが、日本のマスメディアは、こうした方向に日本人が向かうことを許さない。「ナショナリズム」の復活は危険というドグマ(教条)に自縄自縛されているからだ。
「韓国の核武装論」は、日本のマスメディアにとっては「不都合な真実」。大々的に報道すれば、日本の核武装論に直結する。安倍政権に有利に働く。そんな思惑がバレバレに見えている。
「核武装論は間違っていない」李大統領…「だが時期尚早」
2013.2.15 23:17
韓国の李明博大統領
【ソウル=黒田勝弘】韓国の李明博大統領は15日、退任を前に東亜日報とのインタビューで韓国の核武装論について「愛国的な考えという点で高く評価し、そうした発言が北朝鮮や中国に対する警告にもなるので間違っているとは思わない。われわれの社会にそう考える者もいなければならない」と述べ支持を表明した。
しかし一方で「国際協調を通じた核放棄が最終目的なので政府が核保有を語るのは時期尚早でよくない」と述べ、現時点での核武装論議には消極的な立場を明らかにした。
李大統領は24日で退任するが、韓国の現職大統領が核武装論自体を支持し高く評価するのはきわめて異例だ。北朝鮮の核実験強行を機に国内で台頭している「核武装を交渉カードに北に核を放棄させよう」などといった独自核武装論を勢い付ける発言だ。
また日韓関係で竹島上陸を強行したことについては「(当時)野田首相をはじめ日本の政治が右傾化競争をしており、独島(竹島)問題や歴史問題、慰安婦問題が深刻になるようだった。誰かがブレーキをかけなければならないと思った。日本の歴史の流れを見て先制的措置を取ったものだ」と説明し強気の姿勢を変えなかった。
「天皇謝罪要求」発言については「日王は(自分の発言以後)『謝る用意もあり韓国を訪問したい』と明らかにしたという。実際より少し誇張されて自分の発言が伝えられた面がある」と語った。