お断り:簡単にと思いましたが、長文になりました。
ヨーロッパ・アメリカと中東の争いは「政治的な要素、侵略」という性格が強いです。そこに宗教が絡んできているので、我々には理解しがたい状況が生まれています。
それでもその二つの勢力の「精神的支柱」は「宗教」によって説明でき、それは「西洋のキリスト教と中東のイスラムのぶつかり合い」とされます。
ここでは欧米に流布している宗教としての「キリスト教」と中東に流布している「イスラム」と、さらにその「二つの宗教の母胎でありパレスチナ戦争の主原因」とされている「ユダヤ教」の三つの宗教について考えてみたいと思います。
■三つの宗教の基本的関係
ユダヤ教、キリスト教、イスラムの関係ですがこの三つは「姉妹宗教」と呼ばれ、その「奉ずる神は同一」です。
ユダヤ教ではしばしばこの神の名前を「ヤハウエ(ヤーヴェ)」といった発音で呼ぶとされますが、ユダヤ教以降は戒律に「神の名前をみだりに呼ぶなかれ」というものがあるため信者はこの名前を口にしません。「ヘブライ神話」の段階の話しとして出てくるのが普通です。
イスラムでの「アッラー」というのは神の名前ではなく、日本語で言えば普通名詞で「神」というだけのことです。もちろん戒律通りに神の名前を口にしないからです。しかも、偶像崇拝も禁じられています。ですから、仏の週刊新聞に風刺画にアッラーが描かれていること自体が問題なのです
■「神は同一」なのにどうして三つになってしまったのでしょう。
元々はこの「ヤハウエ神」はヘブライ民族(イスラエル民族、ユダヤ民族といっても同じ)の民間信仰の神の名前です。
このヘブライの民間宗教が後に組織的な宗教となって「ユダヤ教」と呼ばれるようになって、この「ユダヤ教」から「キリスト教」が出てきて、さらにまたこのキリスト教から「イスラム」がでてくるのです。ですから「キリスト教」も「イスラム」も「ユダヤ教」も「神は同一」ということになるのでした。
ユダヤ教 |
ユダヤ教 |
ユダヤ教 (約1500万人) |
キリスト教 |
キリスト教 (約21億人) |
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イスラム教 (約13億人) |
■ユダヤ教の起源
そのユダヤ教以前の「ヤハウエ」を神とするヘブライの民間宗教というのは紀元前の1000年以上前からのものです。そこからユダヤ教が成立する経緯はつぎのようになります。
すなわち、このヘブライ人が紀元前1000年頃「サウル、ダビデ、ソロモン王」によって始めて独立した国を持つことができました。
しかし、その後まもなく内部分裂を起こして、「北のイスラエル」と「南のユダ」のそれぞれの王国に分裂してしまいます。
それがさらに外敵に攻められて北のイスラエルは早々と、やがて南のユダ王国も程なく滅亡してしまいます。
そしてユダ王国にあったヘブライ人の多くが征服者であった「バビロンに連行」されてしまいます。
その後まもなくペルシャによって解放されて元の国のあったパレスチナ地方に戻ります。紀元前500年頃のことです。そして「神殿」を再建して新たな出発を誓ってこれまでの民間信仰を自覚的に宗教として組織的化したのでした。
この、バビロン捕囚以降にパレスチナに戻ってきて形成した「自覚的・組織的なヘブライ人の宗教」を「ユダヤ教」と呼んでいるのです。
■キリスト教の誕生
そしてさらに500年経った頃つまり紀元0年頃ということですが、この「ユダヤ教」の中に「イエス」が生まれて「ユダヤ教の刷新運動」を起こします。
しかし、紀元後30年頃に彼はユダヤ教徒に憎まれて「十字架刑」によって殺されてしまいます。
その後、残された弟子達が「イエスの復活」という事件に再結集してイエスの教えを伝えるようになり、そうした宗教運動がギリシャ人に伝えられてここで「キリスと教(「キリスト」というのはヘブライ語での「救世主メシア」のギリシャ語訳です」と呼ばれるようになったのです。
こうして「キリスト教」はユダヤ人のもとから「ギリシャ・ローマの人々」、そしてやがて「西欧に入ってきたゲルマン民族(現在の西欧人)」に伝えられていったのでした。
■イスラム教の誕生
さらにまた600年くらい経った頃、アラビア半島で「ムハンマド」がキリスト教の天使「ガブリエル」から啓示を受けて新たに宗教運動を起こします。
それはヨーロッパ化してしまったキリスト教を再び中東の性格にもどしたような性格を持ち、それを「イスラム」と呼んでいるわけでした。「イスラム」とは「平安であれ」とか「絶対的に神に服する」という意味です。そういう理由で、最近では「イスラム教」とは呼ばずに「イスラム」とだけ呼んでいるのでした。
■三つの宗教のお互いの位置づけ
信仰者というのはその宗教が正しいとして信じているわけですから、誰かが「それは違う」と言ってきても反発するだけでその言葉に耳を傾けようとはしません。
ですから「ユダヤ教」を信じる人々はイエスが「違う」と言ってきた時反発して怒って彼を十字架にかけて殺してしまったわけです。
耳を傾けて納得した「ユダヤ教信者」は結局「キリスト教信者」ということになりました。ですから「ユダヤ教はユダヤ教である限りキリスト教を認めるわけにはいかない」のです。
他方、その「キリスト教」の信者もムハンマドがキリスト教信者はイエスを誤解していると言ってもその言葉に耳を傾けることはしません。
もし傾けて納得してしまったらその人はキリスト教信者ではなくなり「イスラム」になってしまいます。ですから「キリスト教はキリスト教である限りイスラムを認めることはあり得ない」のです。
ここで、「ユダヤ教」の側が「キリスト教」は自分たちに反抗的・敵対的だと思ったら「キリスト教への激しい迫害」に移ります。そして実際歴史的にそうなりました。
他方「キリスト教」の方は母胎である「ユダヤ教」を「ユダヤ教だから」という理由で弾圧・迫害するわけにはいきません。「母胎」なのですから。
おなじように、「キリスト教徒」はイスラムが自分たちに反抗的だと思ったらやはり「イスラムに対して戦闘態勢」をとります。これも歴史的に生じてしまいました。
他方、イスラムは母胎であるキリスト教をキリスト教だからという理由で排撃するわけにはいきません。「母胎」だからです。実際『クルアーン(イスラム教の聖典/コーラン)』では「ユダヤ・キリスト教徒は同じ経典の民」とされているのですからなおさらです。
つまり「後発の宗教」は「母胎」である先行の宗教を認めざるを得ないけれど、「先行の宗教」は「後発の宗教」を認めるわけにはいかず、むしろ「迫害」に移るのです。
つまり、「ユダヤ教」は「キリスト教」を迫害するが、「キリスト教徒」の方は「ユダヤ教」を攻撃することはできず、同じように「キリスト教徒」は「イスラム信徒」を迫害するけれど、イスラム信徒はキリスト教を攻撃することはできないのです。
■ユダヤ教
ということになるとこの三つの宗教の場面でのいわゆる「宗教戦争」とは何かというと、それは「先行宗教の後発宗教への迫害」か、あるいはそれに伴う「後発の側の反撃」か、あるいは宗教が原因というよりむしろ「政治的・社会的要因による衝突」ということに気付くわけです。
歴史的には「ユダヤ対キリスト者の相克」がありました。
また「キリスト教と「イスラム」との関係で言えば何より両者の関係を決定的に破壊した「十字軍」の事件がありました。
じゅうじ‐ぐん〔ジフジ‐〕【十字軍】 11世紀末から13世紀にかけて、聖地エルサレムをイスラム教徒から奪回するため、前後8回にわたり行われた西欧キリスト教徒による遠征。信仰上の動機や教皇権拡大の意図などのほか、やがて東方貿易の利益など種々の動機が絡むようになった。結局、目的は達成されなかったが、イスラム文化との接触は西欧人の視野を拡大したほか、都市の成長や貨幣経済の発展などは、中世封建社会崩壊のきっかけとなった。 デジタル大辞泉 |
これは十字軍に虐殺されたアラブ・イスラムの人々にとっては怨念となっています。ついで西洋の被害としては「オスマン・トルコのヨーロッパ侵略」がとりわけ西洋人には「恐怖」として残り、現在にまでそれは尾を引いています。ただしこれは「宗教的攻撃」ではなく「政治的侵略」でした。
■三宗教の聖地はすべてエルサレム?
●ユダヤ教:信仰を集めていたエルサレム神殿が置かれていた聖地であり、ユダ王国の首都であった場所。
●キリスト教:イエス・キリストが教えを述べ、そして処刑され、埋葬され、復活したとされる場所。
●イスラム教:ムハンマドが一夜のうちに昇天する旅を体験した場所。
イエスがお生まれになった地イスラエル(パレスチナ)は、位置的に、ヨーロッパ・アジア・アフリカの三大大陸の、「接点」の地にあたります。
そこはまた、世界の三大人種である黄色・白色・黒色人種(または最近の分類にしたがってモンゴロイド・コーカソイド・ニグロイド)のそれぞれが住む地域の、「交点」でもあります。
イスラエルを中心として、東方には黄色人種が、北方と西方には白色人種が、南方には黒色人種が住んでいるのです。
イスラエルは、その意味では世界の中心に位置しています(エゼ5:5)。つまりイエス・キリストは、いわば「万国の中心」にお生まれになりました。
「神である主は、こう仰せられる。『これはエルサレムだ。わたしはこれを、諸国の民の真ん中に置き、そのまわりを、国々で取り囲ませた』」(エゼ5:5※) と聖書に書かれています。 ※エゼキエル エゼキエルは、旧約聖書に登場する紀元前6世紀頃のバビロン捕囚時代におけるユダヤ人の預言者である。 |
もともと同じ宗教であったがために、三者が三すくみの状態であるがゆえに状況を複雑化しているのではないでしょうか。
こんな状態の中に、もし日本が口を出すようなことになれば、三すくみ状態が壊れ、とんでもない事態が生まれそうです。戦争には参加しないことが一番です。
したっけ。
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それぞれの事情があるんだから。お互い様ですよ。
互いに非難しない事ですよ。
できるのは、避難してくる人を助けるくらい??
暴力反対~!戦争反対~!
みんな仲よく助け合いましょう!
明確に説明していたいて、とっても勉強になりました。
みんなが、平和で幸せに生きられますように、
願っています。
こんなことに日本が口出しどころか、乗り込んでいこうなんて考えてほしくありません。
平和のための話し合いに参加すべきです^^
したっけ。
宗教は本来人々の平和を願って出来上がったものだと思うのですが・・・^^
したっけ。
宗教を利用した政治絡みなのかもしれませんね。
宗教を超えて世界平和の日がいつか必ず訪れてほしいです。
納得するには、頭の運動してからにします
こんがらがって?
頭の一部が停止して(*゜o゜*)~゜ ボー
幸せのための宗教が争いのもとになるのは本末転倒ですね^^
したっけ。
また悪い癖が出たよ。
どんどん膨らんじゃう。
図や表までつくっちゃった^^
したっけ。
読んでるうちに だんだんこんがらがってしまいました^^;
憎しみからは憎しみしか生まれない。
争いのない世界 夢のまた夢なのでしょうか・・・・
元祖、本舗、本店の争いのようです。
こんがらかるようなものを読ませてしまってごめんなさい。
時々発作のように書くことがあります。ご了承ください。
無理なのかなあ、闘争本能って言いますから^^
したっけ。