お魚三昧生活

鹿児島の定置網で獲れる魚や市場の魚、鹿児島大学総合研究博物館魚類ボランティア(魚ボラ)の事などを紹介します!

イッテンサクラダイ

2012年06月25日 | 市場



 今日は漁港にいるといつも標本を提供してくれる漁師さんが声を掛けて来る。以前に頂いたイズハナダイがまた釣れて標本用に取ってあるとの事。早速受け取りに行くとイズハナダイともう1種、私は初めて見る魚もある。イズハナダイは以前に頂いた個体よりもかなり小さなサイズで有り難い。そして見たこと無い種であるが、この漁師さん曰く、この魚の方がよく釣れる普通種らしい。それならば自分が知らないだけで調べれば種名は直ぐに分かりそうである。帰って調べるとイッテンサクラダイのようである。今回は鮮度があまり良くなく、鰓は真っ白で色彩も薄い感じがする。でもこのようにお金にならない魚を確保してきてくれるのは本当に有り難い。写真にこの魚の色彩が表現できるか不安ではあったが、黒バックで撮影すれば自然と色が浮き上がってくる感じで問題無かった。綺麗に撮れたが鮮度が更に良ければもっと綺麗なのかなとも思うが贅沢は言えない。この魚もイズハナダイと同じ水深180メートルで釣れたそうだが、眼が飛び出て無く、それだけでも良かった。イッテンサクラダイのイッテンとはこの背鰭第3棘先端が黒い(黒バックの写真で分かりにくいが)事だろうか。属は違うが本家サクラダイの雌個体の方が大きなイッテンを持っているような。

ここに掲載されているイズハナダイは2017年7月にPlectranthias sheniキオビイズハナダイ(新称)と提唱されました。
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何?イソハゼ

2012年06月23日 | 定置網

 今月は新規定置網の導入の準備を日々行っている。今日は漁場の海底にある錨の回収作業を行う。この錨は今まで漁をしていた定置網には関係が無く、かなり昔の物で大きな尖った石を網状にした袋に入れて沈めてある。今までこの錨が定置網の下にあった為、網やロープが引っ掛かり、網を破いた事もある。水中カメラで海底調査を行い、錨がたくさん沈んでいるのが分かる。これを回収しないとまた網を破く恐れがある為、ダイバーが潜って回収する。漁場は砂地であるが、この錨が小さな漁礁のような役目をしていたようで、船に揚げられた錨にはイソカサゴやカサゴの幼魚、ウニやタコなども一緒に揚がってくる。そんな中、小さなハゼを見つける。取り上げると石で潰されたのか肛門から内臓などが出ている。捕った事の無いハゼで種も分からない。状態は悪いが魚の原型があるので持ち帰る。展鰭すると臀鰭も崩れている。写真を撮ってから種の同定を試みる。見た感じでイソハゼの仲間かなと思い、眼の後方の明瞭な黒色斑を頼りに検索図鑑で調べる。するとイソハゼにアカ・クロホシイソハゼなどが見つかる。胸鰭基底に2つの暗色斑が確認できないのでアカ・クロホシイソハゼとなる。だが、ネットでその2種の画像を見るが似ていない感じもする。いろいろ見ていると別種の方が似ていたりと何だか分からなくなる。結局いつもの魚ボラ任せとなる。
*後日、魚ボラでアカホシイソハゼと同定されました。
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夜間採集

2012年06月09日 | 採集

 今日は土曜日なので明日は休み。明日は夕方に会議があるだけなので朝は久しぶりにゆっくりできる。という事で久しぶりに近くの港に夜間採集に行く。現場に着くと少し風があり、水中の様子が分かりずらい。だが、時より風が止むタイミングを見計り魚を探す。すると見覚えのある色に姿。カエルアンコウである。とりあえず採集し、海水の張ったバケツに入れて頭部にあるエスカを確認する。カエルアンコウに非常によく似た、ちょっと珍しいボンボリカエルアンコウがいる。ボンボリカエルアンコウはエスカが羽毛状の塊であるが、この個体は数本に分岐しているので普通のカエルアンコウのようである。色彩に変異があるのだが、一番普通の色彩なので標本用には必要ない。だが、今家の海水用の水槽には小さなクロメジナが1尾のみ。ちょっと寂しいので持ち帰り、水槽で飼育する事にする。だが、カエルアンコウは大変な暴食で、以前にも生き餌を確保するのに苦労した。今度は何とか餌付けて切り身でも食べるようにせねば。
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鹿児島県自然愛護協会誌

2012年06月04日 | 魚ボラ

 今日は仕事から帰るとポストに大きな封筒が入っている。先日のカチドキダルマガレイが記載され、標準和名が提唱された鹿児島県自然愛護協会誌「Nature of Kagoshima」である。魚ボラのM先生が編集を担当するようになってから会誌も年々豪華になって来ており、県外の会員が増えているようである。その県外の会員も魚類関係者が多いようで、その原因として今回も魚類の報告が半分近くを占め、魚類学雑誌に近づいているからかも知れない。昨年はみんなの協力を得てゴマアイゴの報告を投稿できたが、今回の38巻では第二著者として二報告載ったに過ぎない。忙しくてなかなか時間が取れないが一年一報告を目指したい。今回は魚ボラのメンバーの他に高知大からも投稿があり、所蔵標本から鹿児島県産のロケットカエルアンコウが発見され、報告されている。このように今後も他県の魚類学者からの投稿が増えて行けば、さらに理想とする会誌へと進んでいく感じである。だが、そうなれば自分の出番が無くなるかな。
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