お魚三昧生活

鹿児島の定置網で獲れる魚や市場の魚、鹿児島大学総合研究博物館魚類ボランティア(魚ボラ)の事などを紹介します!

早くもトビウオ幼魚

2021年03月23日 | 定置網
 今日は定置網漁の操業中、網を絞って行くと水面にトビウオ類の幼魚が群れで泳いでいる。見た目では2種確認でき、両種とも確保する。トビウオの幼魚は例年だと7月頃に各種定置網に入網するのだが、今回はあまりにも早い。まだ流れ藻すら流れて来てなく、トビウオ類の幼魚と一緒に入網するモジャコやシイラの幼魚の姿もまだ見ていない。これも記録を残すという事で2種共持ち帰り撮影する。トビウオ類幼魚の撮影はサイズが小さいので展鰭作業から大変である。最初は背鰭・臀鰭を広げ、魚体を横から撮影。その後、胸鰭・腹鰭を広げ、魚体の真上から再び撮影している。今回は2種だったのでまだいいが、これが時期になると一度に何種も確保し、撮影する。酷い時は撮影に半日近くも掛かる事もあり、一度に何種も確保出来るのは嬉しいが、後が大変である。これからまたトビウオ幼魚の時期が来るが、嬉しい反面大変な時期の到来でもある。





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久し振りのメバル属幼魚

2021年03月20日 | 採集
 今日は土曜日なのでいつもの港へ恒例の夜間採集に行く。港に着くとプランクトンが密集しておりいい感じ。だが、期待するも何も現れず。最近は定置網でフリソデウオの入網が続いている。夜の港にもフリソデウオが出没するのではと気になっていた。と言う事でいつもの港はあっさりと諦め、フリソデウオが出そうな大きな港へと向かう。この港はいつも定置網漁の漁獲物を水揚げしている港である。釣り人にも人気があり、土曜日の夜にはあちこちに釣り人がいる。だが、今日は先程まで雨が降っており、更に今後大荒れな天気予報の為か、釣り人の姿は全く見当たらない。誰もいないのであれば堂々とタモ網を手に取り、フリソデウオを探す。海中にはサルパがあちこちに浮遊しており、いい感じである。だが、フリソデウオの姿は無く、やはりそう簡単ではない。ところが岸壁に見覚えのある魚影を見つけ、とっさに掬い採る。見るとメバル属の幼魚である。メバル属の幼魚は夜の港では久し振りのご対面である。時期的にはまだ早く、サイズも若干大きな感じであり、ひょっとして2才魚かなと思ってしまう程。これでフリソデウオから一気にメバル属幼魚を探し出す。だが、結局はこの1個体だけであった。家に帰り調べると胸鰭軟乗数が16本と言う事でクロメバルであろうか。今日はフリソデウオは見つからなかったものの、このクロメバルの幼魚だけで大満足である。



クロメバル幼魚



オヤビッチャ




クロメバル幼魚
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終わったと思ったらまたフリソデウオ

2021年03月18日 | 定置網
 先週は毎日のようにフリソデウオと出会う。だが、今週に入り姿は確認できず終わったかなと思っていた。ところが今朝の定置網漁でまたフリソデウオが入網。今回も綺麗に泳いでいる状態で確保出来そうであったが、もう水族館からは断られているので、傷付けずに標本用に確保する。帰港するとお隣の定置網にもフリソデウオが入り、こちらも標本用に頂く。今回のフリソデウオは両個体ともヒラヒラした綺麗な腹鰭は無く、成長に伴って無くなったのか、それとも欠落してしまったのか。うちの定置網に入ったフリソデウオの方が大きく、吻背縁の傾斜が滑らかになっており、今までの個体に比べて少し成長した感じである。今後もいつまで続くだろうか。

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またフリソデウオ

2021年03月12日 | 定置網
 今日もやっぱりフリソデウオとご対面。今日はまたお隣の定置網に入網し、活かした状態で帰港。今回も綺麗な状態で泳いでいるので一応水族館に連絡する。すると、前回の2回共ダメだったので受け入れ態勢を整えてからでないと難しいのでと断られる。と言う事で標本確定。と思ったら、この魚を見ていた仲買人の方に深海魚だよねと聞かれ、それなら深海魚の先生が欲しがるかもと言われ閃く。今、鹿児島の水産振興で「鹿児島のうんまか深海魚」と謳って深海エビ漁で混獲される深海魚を使い、未利用魚・低利用魚の活用・魚食普及を行っている。かごしま深海魚研究会を発足し、我が町もそのメンバーである。この研究会を発足したのが鹿児島大学水産学部のO先生である。O先生はこれまでに1200種類を超える魚を食べており、食べる地魚図鑑などを出版している。以前にリュウグウノヒメを渡した時(ブログ2020 1.16)も食べたそうで、その後マスメディアにも紹介されていた。先生に電話するとフリソデウオはまだ食べた事がないので欲しいと言われる。と言う事で鹿大水産学部へと走り、先生に渡す。あとは先生がこのフリソデウオをマスメディアなどを通してどのように調理してくれるかが楽しみである。


今回は鹿大水産学部へ(鹿大水産学部はいつも標本を納めている博物館のある鹿大とは別の場所)
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水族館へ フリソデウオ

2021年03月11日 | 定置網
 このところ続いているフリソデウオ。月曜日(ブログ 2021 3.8)にお隣の定置網に入網したフリソデウオ2個体を受け取り、その翌日にも入網。そして更に翌日は時化で今日はうちの定置網に入網。今回も綺麗な生きた状態で確保する。水族館に電話するが忙しいらしく連絡が取れない。前回水族館が受け取りに来た時(ブログ 2021 3.6)は、漁協に到着した時点でフリソデウオが横になってしまい、飼育用としては失敗に終わる。水族館からうちの漁協まで車で1時間ちょっとは掛かる。往復で3時間近く掛かる事になる。一刻も早く適した水槽に入れたいという願望から、自分で水族館に持ち込む事を考える。水族館も鹿児島大学も同じ方向である。もしも途中で横になってしまえば行き先を大学に変え、綺麗な状態で標本登録すればいいと考え、ダメ元で自分で走る事にする。魚の事を考え、角のある容器はそこで魚体が引っ掛かったり、頭を突っ込んでしまう恐れがあるので、大きなビニール袋に入れ、丸い容器を探す。丁度入れていたバケツが丸いのでそれを使う。更に水がチャプチャプ揺れるとストレスになるのでビニール袋一杯に海水を入れる。問題は海水温の上昇と酸欠である。氷を使う事も考えたが今日はそこまで暑くはないので良しとし、この2点のみ不安を抱きながら走る。山道はカーブが多く、教習者並みに気を使いながら走り、街に出てからは信号に止まる度、魚の様子をチェックする。街中では出発時よりも魚が落ち着いているように見えるので、行き先は水族館に決め、途中から連絡を入れる。水族館に到着し、魚の状態を見ると良好。水族館が準備した大きな容器に移し、様子を見る。この魚を直ぐに展示するか裏で状態を安定させるかと職員の方達が話し合っていると、急に魚が横になってしまう。回復するのを見守るが再び泳ぐことは無く、水槽に泳がせて展示する事は諦める事に。今回もフリソデウオの飼育展示は叶わなかったが、泳いでいる状態で水族館に着いたので、自分としては一歩前進した感じに捉え満足である。実際にネット上にはフリソデウオではないが、アカマンボウ目の魚が水族館に持ち込まれ、摂餌までしている水族館の動画がアップされている。出来ない事は無いのである。と言う事で、水族館でフリソデウオの泳ぐ姿を見るまではまでまだまだ続くのである。




車の助手席に置き、チェックしながら走る



水族館まであと少し


かごしま水族館に到着




鰭を靡かせ、まだ泳いでいる
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今日もフリソデウオ

2021年03月08日 | 定置網
 先週の土曜日は久し振りにフリソデウオに出会え気分上々。そして日曜日を挟んでの今日も期待しながら港へ向かう。だが、風が強く定置網漁の操業を断念。お隣の定置網のみ出漁する。すると、そのお隣の定置網の方からフリソデウオがいたと電話が入る。急いで再び港へ向かう。今回は2個体見つけたそうで標本用に頂く。このフリソデウオは漁獲物の選別中に見つかったらしく、他の魚の中で揉まれ、体表はスレており模様はわからない状態。でも、貴重なので魚ボラの標本用に確保する。今、港の中も有櫛動物の方の刺さないクラゲ類が多く見られ、浮遊性の生物を沢山含む潮の流れが来ている感じである。となれば、今後もフリソデウオやその他のアカマンボウ目の魚が期待できそうである。今後も目を凝らして探さなければならない。

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タカノハダイ幼魚

2021年03月06日 | 定置網
 今日の定置網漁ではフリソデウオを見つけ、しかもまだ綺麗に泳いでいるので気分は興奮気味。フリソデウオを気にしつつ、漁獲物の選別作業を行う。すると、タカノハダイの幼魚を発見。その後も数個体見つける。サイズ的にはどれも同じであるが、体側の模様が様々である。背面のみ斑紋がある個体、その斑紋が横帯状に腹部まで伸びた個体。更にその横帯の色が親魚と同じ褐色な個体。サイズ的にはほぼ同じであるが、成長過程が伺えとても面白い。珍しくはないが魚ボラの標本用に確保する。



*一番上の個体は誤同定でミギマキの幼魚とFBで教えて頂きました。ありがとうございました。
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結果オーライ?フリソデウオ

2021年03月06日 | 定置網
 今日の定置網漁で網を絞ると水面にフリソデウオが泳いでおり、急いでバケツで水ごと掬う。フリソデウオは以前は毎年定置網で獲れており、珍しい魚ではない。だが、ここ数年姿を見ておらず、記録を見ると5年振りの入網である。定置網漁を終え、帰港するとバケツの中のフリソデウオは綺麗な状態で立ち泳ぎをしており、とても状態が良い。綺麗だったので標本用にも欲しかったのだが、これほど良い状態ではなかなか確保できず、水族館に連絡することになる。水族館が来るまでの間、漁協の活魚水槽に蓋つきの籠に入れておき、自分は別の場所で仕事をする。その後、水族館職員がフリソデウオを引き取りに漁協に到着。カゴの蓋を恐る恐る開けると、生きているものの底で横になっている。これでは恐らく飼育は難しいと思われるが、一応水族館へと運ばれて行く。フリソデウオを入れた籠に水族館用と貼った為、私がいない間に仲買人などが蓋を開け、写真撮ったりしてストレスを与えたのではないかと疑ってしまう。夕方、魚ボラOBの水族館職員から電話があり、やはり飼育は無理らしく、フリソデウオを鹿大の標本用に大学へ持ち込んでくれたそうである。更にまだ大学に着いた時も生きていたらしく、生きた状態でも標本撮影が出来、綺麗な標本写真が撮れたそうである。もしも自分が最初から標本用に確保していたら、生きた状態で大学へ持ち込む事は無理であり、更に大学へ行くまで時間も掛かってしまい、良い状態での標本写真を残す事は出来なかったと思われる。水族館での飼育展示は出来なかったものの、大学の標本登録としては完璧な状態であったので結果オーライとなる。でも、フリソデウオは標本もそこそこ登録してあるので、やはり水槽で泳ぐ姿を見てみたかったかな。



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別種と判明、スミクイアカカサゴ・アズキカサゴ

2021年03月05日 | 魚ボラ
 日本魚類学会が発行する国際誌の電子版にスミクイアカカサゴとアズキカサゴの論文が掲載された。これは執筆した魚ボラの学生の研究で判明。この2種は約100年前まではそれぞれアカカサゴと別種と見なされていたが、学術的な根拠が乏しく、外見が似ていることから、その後は同種とされていた。それを世界の博物館に所蔵されている1000個体を超える標本を調べ、この2種が鱗数、口腔内の色彩、遺伝子などの違いを突き止め、アカカサゴとは別種であることが判明。アカカサゴと同種であるという定説を覆したのである。この2種は今までに何度もお世話になり乗船している深海エビ漁でも採集されており、この著者の学生とも一度一緒に乗船している。この事は地元紙に掲載されたうえ、Yahoo!ニュースにまで取り上げられ、その事を乗船した船の方にも伝えたところ、大変に喜ばれ、こちらとしても嬉し限りである。このスミクイアカカサゴとアズキカサゴは深海エビ漁で標本を確保済みであるが、スミクイアカカサゴは当時沢山確保したアカカサゴの中から後日見つかり、運が悪い事に生鮮時の標本撮影をしなかった中の1個体であったそうで、鹿大には生鮮時の写真が無いとの事。その為、論文には京都大学の写真が掲載されている。今年も深海エビ漁が始まったらまた乗船させてもらい、スミクイアカカサゴの生鮮時の写真を鹿大のデータベースに登録しなければならない。それには現場でアカカサゴとスミクイアカカサゴを見分けられる様に自分もスキルアップせねばならぬ。


アズキカサゴ
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