今日は仕事を終え船をいつもの場所に係留すると、岸壁や隣の船の下に見慣れない幼魚の群れを発見。よく見るとメバル属の幼魚のようである。メバル類は鹿児島の北部が南限でここは生息域には入っていない。だが、今までに何度か夜間採集で幼魚を採集したり、今月は定置網で2回幼魚を見つけている(ブログ2020 4.3)(ブログ2020 4.17)。そして港内にこの群れである。よく観察すると尾鰭が黄色い模様でアカメバルの幼魚だろうか。今年は例年よりも海水温が低く、これだけの数が港に居残っているのだろうか。車にタモ網を積んでいるので採集を試みるが、昼間だからか動きが素早く採集できず。この場所は外灯があり水深もあるので、夜はいつも釣り人がいて採集できない場所である。こうなれば魚は小さいが釣るしかないかな。
先週の金曜日(4月24日)に市場でカガヤキミゾイサキを発見し、その日のうちに鹿大へ運び標本登録をしてもらう。6年前に同じ市場で得られたカガヤキミゾイサキ以来国内では見つかっておらず、標本に基づく国内2例目とわかる。その後、日曜日に魚ボラの学生から早くもカガヤキミゾイサキ2例目の報告書の確認のメールが来る。それによるとカガヤキミゾイサキの他に薩摩半島西岸から新種・日本初記録として報告された魚類についても一緒に報告書に記載されている。今回、Nature of Kagoshimaに投稿するのだが、その締め切りが月曜日と言われていた。金曜日に標本登録し、この2日間で論文を執筆したとは本当に仕事が速く驚く。そして今日、Nature of Kagoshimaのオンラインで出版された(鹿児島県薩摩半島西岸から得られた国内 2 例目のカガヤキミゾイサキ)。カガヤキミゾイサキを市場で発見してから早くも5日後に論文の出版である。魚ボラの先生も論文の執筆がとても速いが、魚ボラの学生もなかなかやるものである。
今日の海上は時化模様で定置網漁は操業できない。今日の仕事は陸作業のみなので時間が遅く、家でゆっくりしていた。すると漁協から電話があり、見たことのない魚が揚がったとの情報。風の影響のない場所の定置網が水揚げに来たらしい。何でもコイの顔をしたニベという事である。漁協の職員も毎日のように魚を見ており、魚には非常に詳しい。ここで揚がるニベの仲間も当然よく知っている訳で、その漁協職員が見たことないというので、これは初物だろうと思う。仕事にはまだ早いが重い検索図鑑も準備し市場へと向かう。行く途中、色々な魚が頭に浮かぶが、ニベの仲間で一番に思うのが以前に逃したホンニベ(ブログ2014 8.23)である。結局ホンニベもあれ以来出会う事がなかったのでワクワクしながら向かう。市場に到着し魚を見に行くと、何とカガヤキミゾイサキである。カガヤキミゾイサキは6年前に漁協の定置網で獲れ、日本初記録種として標準和名を提唱した魚である(ブログ 2015 11.30)。カガヤキミゾイサキは頭にも浮かばなく、予想外なうえ驚く。勿論魚ボラの標本用に確保する。最近のコロナウイルスの影響で大学側が標本を受け入れてくれるだろうかと思い、魚ボラの先生に連絡する。すると最少人数の学生がいて受け入れてくれるという事なので、仕事が終わり次第、大学へと走る。カガヤキミゾイサキは当時からそのうち日本でも見つかる可能性のある魚とされていただけに、報告後に日本各地で見つかるだろうと思っていたが、魚ボラの先生に確認するとまだ標本はなく、この個体が国内2個体目となるそうである。今年初の大学訪問なだけに先生や学生達とお魚談義もしたいところではあるが、このご時世なので、標本を渡して直ぐに帰る。
今週、会社の人が市内の港で夜釣りをしていたら、目の前にリュウグウノツカイが現れ写真に収めた、と知人が写真を持って訪ねてきた。リュウグウノツカイは体が長いイメージだが、この写真は違うので本当にリュウグウノツカイだろうかと疑問に思い、聞きに来たそうである。写真を見せてもらうとリュウグウノツカイではなくフリソデウオの幼魚であった。だが、フリソデウオでも十分に貴重である。私が港での夜間採集を始めたのは、夜外灯に集まる魚の定点観測がメインであるが、もうひとつはフリソデウオなど稀種を見つけるという思いもある。今回フリソデウオが見つかった港は外洋に面した港であり、出現の可能性が高い。私がいつも夜間採集を行っている港は遠浅の砂地に面しているが、この近辺の定置網では今までにリュウグウノツカイやフリソデウオなどが入網しているので、遠浅と言えども見つかる可能性も秘めている。だが、外洋はとても魅力的であり、羨ましい。今、コロナウイルスの影響で明日の日曜日はどこへも出掛けないので、今日の夜間採集は久し振りに遠征することにする。定点観測なので一応、いつもの港もさっと探る。その後、車で30分ちょっと掛け、フリソデウオが見つかった港へ行く。ハッキリとどの港か聞かなかったので、この近辺の港を全て探る。いつもの港では岸壁を覗き込むと普通のカサゴばかりであるが、こちらの港ではイソカサゴばかりである。しかもカサゴは夜でも動きが素早いが、イソカサゴは隠れていないうえ、寝ている感じでゆったりとしていて簡単に採集できてしまう。結局フリソデウオは見つからなかったものの、普通に見れる魚がカサゴではなくイソカサゴというだけでもこちらの港が羨ましくなる。毎週通いたくなるが、やはり夜中の往復1時間は厳しい。やはり家から車で5分のいつもの港で行うほかなく、たまには遠征も考えてみよう。
いつもの港
オオシロアナゴ?が砂地から顔を出している
トカゲゴチ
遠征
イソカサゴ
今日は定置網漁を終え、市場で雑魚の選別作業をしていると、また小さなメバル属の幼魚を発見。メバル属の幼魚は今月初めにも定置網で見つけ、ブログで紹介している(ブログ2020 4月3日)。前回はアカメバルの幼魚であった。今回も家に帰り撮影して同定を試みる。だが、この個体は前回よりも更に小さい。撮影用に鰭を立てるが、老眼鏡を使ってもこのサイズはもう限界であり、前回も苦労したが、今回はもうお手上げ状態。ほぼ感で展鰭するが撮影した写真を見て落ち込むことになる。更に自分の同定も自信を持つことが出来ず。
後日、FBで今度はクロメバルと同定してもらいました。ありがとうございました。
後日、FBで今度はクロメバルと同定してもらいました。ありがとうございました。
今日は定置網漁で小さなマトウダイを2個体発見し生きた状態で確保する。昨日も1個体獲れ全部で3個体となる。マトウダイは背鰭が大きく、泳いでいる姿は見栄えがする。水族館でも人気が出そうであるが、大きな個体は定置網や釣り採集では腹部にエアーが入り、水面に浮いてしまい、生かすことが出来ない。だが、今の時期に獲れる小さな個体はそのようなことは無く、綺麗に泳いでくれる。その為、毎年この小さなマトウダイを水族館に搬出してきた。だが、今年はコロナウイルスの影響で水族館は休館に追い込まれ、それどころではない。折角のマトウダイであるが、今回は放流となる。
今日の市場でツケアゲエソを魚ボラの標本用に確保する。自分でもまだはっきりとこの個体がツケアゲエソであるという確証はない。折角手元に標本があるので、論文片手に同定してみる。今までは尾鰭上縁に顕著な黒色点列があるエソはクロエソと思っていた。だが、元々クロエソの生息深度は100m以深となっており、深場に生息するエソというイメージである。ここの海域でエソがよく獲れる定置網の水深はどこも浅く、今まで得られたクロエソの標本はツケアゲエソとなる。
背鰭前長が背鰭起部と脂鰭起部の間の距離より長い
胸鰭後端が背鰭起部と腹鰭起部を結んだ線に達しない。胸鰭後端が腹鰭起部を越える。
尾柄部の側線鱗が隆起する(写真ではわかり難い)
側線上に暗色斑が並ぶ(クロエソでは側線下方に暗色斑が並ぶ)
先月、日本初記録種としてツケアゲエソの論文が出版となり、地元鹿児島では地元紙(ブログ2020 3月22日)やテレビの報道で取り上げられた。その当時、論文の著者の学生から電話があり、今度ツケアゲエソを使い、つけ揚げ(さつま揚げの鹿児島での呼び名)を作るというテレビの企画があるという事でツケアゲエソの確保依頼をされていた。それからは毎回定置網や市場をチェックするも、エソは何度か揚がっていたが確認するとツケアゲエソではなかった。それから1ヶ月が経とうとする今日、ようやく市場でツケアゲエソを2個体発見。依頼からかなり時間が経ってしまっているがとりあえず確保する。年度を越えてしまい、著者の学生ももう社会人となってしまったが一応電話する。すると時間が経過している事よりもコロナウイルスの影響でテレビの企画自体が延期というか無くなってしまったらしい。コロナウイルスが猛威を振るっているだけに、薄々そのような状態だろうとは察していた。結局魚ボラの標本用として確保となる。
ツケアゲエソ
ワニエソ
オキエソ
今日は定置網漁でシッポウフグ1個体にカイユウセンニンフグが4個体入網。シッポウフグは年末にも採れ、次を期待しながら生かしていたが、それから見かけることもなく数が集まる前に死んでしまう。年末は季節外であったが今回は例年採れる時期であり、今後近いうちにまた入網することが期待できる。ところが現在新型コロナウイルスが世間を騒がせている。感染拡大防止に向け、不要不急の外出を控えるよう要請が発令されている。更にそれに伴い街中でも店舗などでは休業や営業時間短縮など今までに例を見ない状況となっている。当然水族館でも休館処置を取らざるを得ない状態である。今後、稀にシッポウフグが数個体生きた状態で確保できたとしても、水族館から受け取りに来ることが出来ない状況である。今はウイルスが終息するのを祈るだけである。
シッポウフグ
カイユウセンニンフグ
今日は定置網漁でテングダイが1個体獲れる。テングダイは毎年ブリが獲れる今の時期に定置網で漁獲されるが数は少ない。黄色に黒のストライプで鰭も大きく、水族館の水槽内では目立つ存在である。テングダイはクモヒトデを食べ、体のスレ傷に弱く、飼育は難しいらしく、毎年水族館から注文があり、今までは定置網に入網するその殆どを水族館へと搬出していた。ところが今年は搬出してくれていた方が止めてしまい、注文もなくなってしまう。その為、今年は普通に市場に水揚げするのだが、美味しい魚であるにも拘らず鮮魚としては知名度は無いに等しく雑魚扱いである。その為水揚げするのが勿体なく、この前は自分で食した。今回も同じく雑魚となってしまったので食べようと思い確保する。ところが見た感じ、魚体も鰭も傷がなく、とても綺麗な個体である。今までは水族館に搬出していて標本用には幼魚のみ確保していた。また、今年に入り標本用に確保するような魚が殆どなく、家の冷凍庫は殆ど空っぽ状態でスペースが空いている。という事で魚ボラの標本用に確保することにする。テングダイは背鰭や臀鰭の棘が非常に大きく、ジッパーに海水を浸して冷凍しようとすると直ぐに棘がビニールに刺さり穴が開いてしまい厄介な魚である。その為、棘が刺さらないように体全体をラップで何度も巻きジッパーに入れ冷凍する。空の冷凍庫だから余裕で冷凍することが出来た。
前回食べたテングダイ
テングダイの身
今日は定置網漁を終え、市場で選別作業をしていると雑魚の中に見覚えのある小さな魚を発見。見るとメバル属の幼魚である。全体的に茶色っぽく、ウスメバルの幼魚だろうと思う。20年程前は今の時期に大量の流れ藻が流れて来て、そこに一緒にウスメバルの幼魚も沢山ついており、流れ藻と共に定置網に入網していた。ところが流れ藻は例年流れて来るものの、15年程前を最後にウスメバルの幼魚も姿を消してしまう。それからはメバル属の魚自体全く見なくなってしまう。その為、ちゃんとした標本写真もなく、魚ボラの標本用にもまだ確保していない。持ち帰りとりあえず標本写真を撮る。するとその撮った写真をパソコンで拡大して見るとウスメバルだろうかと疑問を抱く。昔、簡単に撮った写真と見比べてもどこか違う感じがする。やはりメバル属の幼魚の同定は難しく悩ましい。
後日、FBでアカメバルの幼魚と教えて頂きました。
後日、FBでアカメバルの幼魚と教えて頂きました。