今日は定置網でヒシヨロイアジが捕れる。ここで捕れるヒラアジ類の中では稀種であり、1日に1個体以上水揚げされているところを見たことがない。今までは水揚げされている個体を市場内で写真に収めた事しかなかった。同定も写真での見た目で判断していただけであった為、標本を手にして同定し、展鰭した写真を撮りたいと思っていた。今回、たまたま他所へ魚を送る用があったので自分のクーラーを市場に持ち込んでいた。その送る魚と一緒に購入し確保する。持ち帰り同定するとやはりヒシヨロイアジとなった。検索図鑑では計数形質の違いも記載されているが、そのほか吻端が鈍いとなっている。他種の同定ではこのような分類形質文では分かり難いのだが、ヒシヨロイアジでは正に吻端が違い納得する。この吻端が違うことで顔つきが他種と大きく違って見え、見た目だけでヒシヨロイアジと判断が付く。写真撮影後魚ボラの標本用に冷凍保存する。
今日は定置網でヒシヨロイアジが捕れる。ここで捕れるヒラアジ類の中では稀種であり、1日に1個体以上水揚げされているところを見たことがない。今までは水揚げされている個体を市場内で写真に収めた事しかなかった。同定も写真での見た目で判断していただけであった為、標本を手にして同定し、展鰭した写真を撮りたいと思っていた。今回、たまたま他所へ魚を送る用があったので自分のクーラーを市場に持ち込んでいた。その送る魚と一緒に購入し確保する。持ち帰り同定するとやはりヒシヨロイアジとなった。検索図鑑では計数形質の違いも記載されているが、そのほか吻端が鈍いとなっている。他種の同定ではこのような分類形質文では分かり難いのだが、ヒシヨロイアジでは正に吻端が違い納得する。この吻端が違うことで顔つきが他種と大きく違って見え、見た目だけでヒシヨロイアジと判断が付く。写真撮影後魚ボラの標本用に冷凍保存する。
今日は朝から強い風が吹き、時化模様。仕事は一応午前中は自宅待機であった。今日は魚ボラの日。午後から解除となり魚ボラに参加する。今日は魚ボラのメンバーがいつもお世話になっている鹿児島湾内の定置網に行ったようだが、やはり時化で出漁できなかったようだ。だが、冷凍保存してもらっていた標本を持ち帰ってきていた。大きなクーラーの中を覗くとフリソデウオ科と思われる大きな標本が丸まって入っていた。標本登録するため解凍し、同定。背鰭軟条数が180を超えるのでサケガシラとなった。私のところの定置網でも幼魚が捕れるのだが、いつもサケガシラかテンガイハタかと同定に悩む。検索図鑑によるとサケガシラの幼魚は不明となっている。さらに成魚では両者の形質も被るところがあり、頭部の傾斜が急であるか、ゆるやかであるかとハッキリとした同定の根拠がない。今回のこの個体は頭部の傾斜からみれば急なのでテンガイハタのように思える。もしこれで背鰭軟条数が両者の被っている数値であればテンガイハタとなってしまっただろう。そもそもこの両種、本当に別種なのであろうか?サケガシラの幼魚が不明というのも気になる。そのうちシノニムという事になるのではないだろうか。だが、元々はサケガシラと同定されていた標本類を再検討してそこからテンガイハタが再同定されたらしい。今後両種の再検討が必要ではあるが、世界中を探してもそれを証明する為に必要な標本の数が足りないのではと思うところでもある。
今日は潮が速く定置網を起こす事ができなかった。昼のおかずにする魚が無いので水揚げ作業中の漁協定置網へ貰いに行く。序に標本用の魚がないか探す。すると捨てられる雑魚の中にユウダチタカノハの幼魚を見つける。今の時期、タカノハダイの幼魚が毎日捕れるのだがたまにユウダチタカノハの幼魚が混ざっている。タカノハダイやミギマキは幼魚から成魚まで捕れるのだが、ユウダチタカノハは幼魚のみは毎年確認できるものの若魚・成魚が捕れた事がなく、水揚げされているのも見たことがない。ユウダチタカノハの分布域は琉球列島を除く東京以南の南日本である。日本各地で確認されていて普通種のイメージがあり当然鹿児島も分布域内である。だが注目はこの分布域の「琉球列島を除く」である。最近は分布域が琉球列島となっている魚種が普通に捕れている。ということは分布域が琉球列島を除くとなっている魚種はここでは捕れないのだろうか?鹿児島ではあるがこの場所が琉球列島の仲間入りする日もそう遠くはない・・・。
昨日から漁協の青壮年部の研修で鹿児島市内に来ている。今日は研修2日目でかごしま水族館を見学する。水族館に着くとタイミング良くジンベエザメの給餌の時間。バックヤードから見学させて頂く。今、飼育展示されているジンベエザメはうちの漁協内の定置網で捕獲された個体で日本ではもっとも最小であった(採集時の全長136cm)。その当時ならまだ液浸標本として保存できるサイズではあったが、もう既に成長してしまった。だが、こんな事言えばお世話になっているのに水族館の方に怒られてしまいそうである。かごしま水族館の目玉はやはりジンベエザメである。しかし今回、部員みんなが見たがっていたのは黄金ヒラメ(私のブログ:2008.1.11)であった。その後どうなっただろうと気になっていた。会いに行くと上部と横から観察できる特殊な水槽で展示してあった。この水槽はそのほか普通のヒラメとコチが展示されていて、砂に隠れているところを見学者が探すような展示方法が取られている。普通のヒラメとコチは見事に隠れていたが、やはり黄金ヒラメは砂の上でも目立っていた。この展示水槽には黄金ヒラメの解説が水槽のガラス面上部に張られていたが館内は暗く水槽内が明るかった為、この解説が逆光になってしまい分かり難くい。当初は新聞報道もありお客さんは気付いたかも知れないが、今は珍しい黄金ヒラメだと認識してくれているだろうか?しかし、採集された時からすると体の黒の色素がかなり増えている。今後徐々にこの黒の色素が増えて行くのだろうか?体色の変化が気になり今後も目が離せない。
今日は時化で沖へは出れないので定置網を起こすことができなかった。今日が時化となる事は前日に分かっていたので、昨日定置網で漁獲した魚を今日の水揚げ用に少しではあるが生簀に活かしていた。うちだけでなく漁協の定置網でも前日の魚を生簀に活かしていたので、今日は一緒に生簀の魚を揚げに行く。漁協の船に乗り込み生簀に向かう。漁協の船の活け間には水族館用のテングダイが泳いでいた。そこに一緒にツキチョウチョウウオが泳いでいた。ツキチョウチョウウオは稀種とされているが、チョウチョウウオ属の中では普通のチョウチョウウオの次に数捕れるチョウチョウウオである。ツキチョウチョウウオを普通のチョウチョウウオと見比べてみると違いは明白であるが、体色の各色彩と位置が良く似ているので単独の場合気付かれていないのではないだろうか?良く捕れるとは言うもののここ数年、うちの定置網では捕れなかった。当然魚ボラの標本として確保していなかった。そのうち我が定置網でも捕れると思うのだが、一応その個体を頂き、標本用として確保する。
今日は定置網にハリセンボンがドッと押し寄せた。皆、大きく膨らみ、手で取り除こうとするも棘が手に刺さり痛い。ハリセンボンの除去作業をしていると1尾だけ少し大きな個体が目に付く。よく見るとネズミフグではないか。ネズミフグは魚ボラの標本としてまだ確保していない。ハリセンボンと間違われて捨てられないように急いで確保する。ネズミフグは珍しくはないが、ここ数年入網していなく久しぶりの対面である。また普段捕れるネズミフグは大きな個体ばかりで標本には向かないのだが、今回の個体は一見ハリセンボンと見間違えてしまうくらいの小さなサイズであり、魚ボラの標本として最適である。そういえば今年の干支はネズミである。毎年正月には各水族館で干支にちなんだ展示を行なう。恐らく今年の正月はネズミフグが各地の水族館で泳いだのではないだろうか?ちなみに今年は鹿児島がNHK大河ドラマ「篤姫」の舞台となっているので、地元かごしま水族館ではそのブームにあやかりネズミフグではなく姫(ヒメ)の付く名の魚を集めた展示であった。
最近は時化続きで今日は1週間振りの水揚げとなった。当然魚と出会う機会も無くブログネタも無く日々が過ぎた。今日は何としてでもブログネタを探すと意気込んで定置網を起こした。すると時化明けのうえ1週間振りということで魚種が豊富。量も多く水揚げが忙しくなってしまい魚を探し出さない。そんな中、漁協の定置網の人が面白い魚が捕れたと持って来てくれる。キヘリモンガラの成魚であった。この魚、幼魚はよく見かけるのだが、成魚は今までに何度か水族館用に水揚げされていたのを見かけただけである。モンガラカワハギの仲間は派手な色彩で綺麗なのだが狭い水槽に入れると他の魚の鰭などをかじったりとちょっかいを出し、水族館側からしてみれば厄介者である。水族館用に水揚げされていた個体も恐らく引取りに来なくて捨てられたのではないかと思う。標本用に欲しいと言えば頂けたと思うのだが皆サイズが大き過ぎたので今まではパスして来た。ところが今回はわざわざ標本用にと頂いたので確保する。大きいのでブログ用に簡単に写真を撮る。明後日が魚ボラの日なのでこのまま冷蔵しておいて持ち込めば楽なのだが、今回は所用があり参加できないので冷凍保存しなければならない。だが冷凍保存するには全体を海水に浸けて凍らせなければならない。どうやって冷凍するか未だに悩んでいるところである。
最近は毎日カタクチイワシが豊漁である。そんな時は雑魚などは非常に少なく、面白い魚に出会う機会が少ない。そんな中、今日は仲買の人から見てもらいたい魚があると電話が入った。急いで向かうと魚の入ったビニール袋を見せてくれる。中にはワラスボが1尾泳いでいた。話を聞くと近くの河口で捕ったとの事。この方はシラスウナギ漁をしている人で、ライトを水面に照らして行なっていたら泳いできたそうだ。よく見ると顎にヒゲがあり体も赤っぽく、有明海に生息しているワラスボとは違う事は分かったが種名は分からない。何より驚いたのがワラスボとは別種であれ、その仲間が近所で捕れた事である。魚ボラの標本用に提供して頂く。大発見ではないかとワクワクしながら帰り同定するとチワラスボのようである。ネットで調べると各地の河口での採集例が載っている。大発見というほどの珍しい魚ではないと分かるが、鹿児島での採集例は見つからない。また、この個体は生きているのでとりあえず魚ボラの先生に電話して大学へ持ち込む。大学で調べると県内での採集報告も見つかったが、魚ボラ用の標本としてまだ未登録であったので標本登録する。このチワラスボは採集を行なったところで恐らく見つける事のできない魚だと思うので、今回の標本提供は非常にありがたい。また最近、ブログがネタ切れ状態だったのでこちらとしてもありがたかった。
*コガネチワラスボ(新称)に再同定されました(2021年7月)
今週は火曜日から時化続き。今日は実に5日振りの網お越しとなった。定置網ではどこもサンマが大漁。カタクチイワシやサンマが大漁の時期に捕れるのがヌタウナギである。定置網内で掬い損ねた魚が死んで沈み、それを餌としてヌタウナギが網に入るのである。このヌタウナギ、5年以上前になるがここの海域で大量発生したことがある。その当時は定置網内の死んだ魚だけでなく、刺し網に掛かった魚も食べてしまい問題となった。掛かった魚の鰓などから体内に入り込み、内臓や肉を食い荒らす。被害に遭った魚はきれいに骨と皮だけが残り、ペラペラの無残な姿となっていた。だが、韓国でヌタウナギが高く売れることが分かり、ヌタウナギ漁が始まると1年で姿を消したのである。それからは定置網でポツポツと捕れる程度となった。死んだ魚だけを食べて掃除だけしてくれれば歓迎するが、この魚は粘液を出し、その粘液が網にへばり着き、それに魚が絡んでしまう。一度この粘液が着くと手では取り除くことができないくらい粘々していて厄介である。我々定置網漁業者としてはこの海域から姿を消してくれて本当に良かったと思うところである。