今日は定置網でスジハナビラウオが捕れる。スジハナビラウオは流れ藻が漂う今の時期に良く捕れる。この魚が属するエボシダイ科魚類はみんな鱗が無いように見え透明感があるのだが、スジハナビラウオだけは体側が鱗に覆われているのが見てよく分かる。また、幼魚と成魚では別種ではと思わせる程、姿・体色がまったく異なるのだが、スジハナビオウオだけは幼魚・成魚と殆ど変わらない。何だかこの魚だけまったく普通なところが科の中では特殊である。鱗が非常に剥れやすく、なかなか綺麗な個体を確保するのが難しい。また、捕れた当初は体色が濃い緑色なのだが死ぬと体色が直ぐに変わってしまう。そのため本来の姿を残すのが非常に困難な魚である。今回のこの個体は鱗も剥がれず、体色もあまり変わらずうまく確保できた方である。魚ボラの標本用に冷凍保存する。
今日は定置網でスジハナビラウオが捕れる。スジハナビラウオは流れ藻が漂う今の時期に良く捕れる。この魚が属するエボシダイ科魚類はみんな鱗が無いように見え透明感があるのだが、スジハナビラウオだけは体側が鱗に覆われているのが見てよく分かる。また、幼魚と成魚では別種ではと思わせる程、姿・体色がまったく異なるのだが、スジハナビオウオだけは幼魚・成魚と殆ど変わらない。何だかこの魚だけまったく普通なところが科の中では特殊である。鱗が非常に剥れやすく、なかなか綺麗な個体を確保するのが難しい。また、捕れた当初は体色が濃い緑色なのだが死ぬと体色が直ぐに変わってしまう。そのため本来の姿を残すのが非常に困難な魚である。今回のこの個体は鱗も剥がれず、体色もあまり変わらずうまく確保できた方である。魚ボラの標本用に冷凍保存する。
今日は定置網で選別作業中にイボオコゼを見つける。見た目はゴツゴツしているうえ棘があり危険な魚のように見えるが、素手で触っても平気である。だが刺される事があるのか毒があるのかは分からない。また、大きくならないうえこの姿にこの体色。良く見ないと目がある事にも気付かず、たくさんの雑魚に混ざっている状態ではゴミのように見えてしまう。その為か漁師さんがこの魚に気付くと珍しい魚がいたと持ってきてくれる。あまり捕れる魚ではないが沖で生きている状態で見つけたこともなく目立たない魚である。黒バックの写真を撮っていなかったので撮影するが、やはりこの魚に黒バックでは良く分からない写真になってしまった。白バックの写真を撮ろうとするも、この個体は魚ボラの標本用に既に冷凍済み。再び解凍して撮影してもいいが、また捕れた時に写真は撮ることにする。
今日は定置網でもう1種。またヒメジ属の魚が捕れる。この個体で3個体目となる。今回は生きた状態で捕る事ができた。泳いでいる姿はU.pori(ブログ 2006 11.23)に良く似ている。だが顎ヒゲは黄色い。このまま生かしておいても傷付くだけなので魚ボラの標本用に丁寧に確保する。鰭膜も破けず綺麗な状態で捕る事ができた。U.poriのように今後増えてくるのだろうか。
*2012年に日本初記録種とわかり、標準和名アカネヒメジと提唱されました。
最近定置網内に小さなクラゲ類が増えてきている。そのような時にはイボダイ科やエボシダイ科魚類が捕れる。今日は最近良く捕れているシマハナビラウオの他にハナビラウオの幼魚を見つける。ハナビラウオなどエボシダイ科魚類の幼魚はクラゲ類につくことで知られており、さらに成長につれ深海へと生息域を変える。ここでも稀に若魚と思われる真っ黒になった個体が定置網で捕れることがある。だが、幼魚から成魚への体の移り変わりがよく分からず、また、資料があっても当てにならない感じがして同定できない。さらに体が非常に柔らかく弱い。そのため捕れる個体の鰭が傷んでいる場合が多く、正確な計数形質が分からない場合が多い。成長過程が分かる資料がほしいところである。
今日は定置網でもう1種、ムスメウシノシタが捕れる。ムスメウシノシタは以前から捕れていて、写真にもいくつか収めていた。だがここ近年捕れなくなっていた。久しぶりに今週の初め、1個体捕れたので標本用に魚ボラに持ち込んだ。同定は直ぐにできたものの、図鑑には分布域が限られた地域のみが載っている。ひょっとして珍しい種ではないだろうかとなった。気になっていたところ、今日再び捕れたので自分用に写真を撮る。本当に珍しいのかどうかをネットで調べてみる。するとダイバーが撮影したムスメウシノシタの画像が出てくる出てくる。これを考えると分布しているが報告されていないだけのように思える。そういえばこの魚、成魚でも体長は10センチにも満たない。ということは市場に出回らない利用価値のない魚であり、目立たないだけのようである。
今日は魚ボラの日。夕方から参加する。教室へ行くと屋久島からの魚が届いている。その中でニライカサゴが目に付く。ニライカサゴは今まで写真でしか見たことがなく、標本を見るのは今回が初めてである。サツマカサゴに類似するため胸鰭内側の斑紋で見分けるそうなので、いつも定置網で捕れた時に確認しているがいまだに見つかっていない。ところが今回初めて個体を見ると、姿だけを見るだけでサツマカサゴとの違いは明らかで識別できる。これならわざわざ危険を冒してまでサツマカサゴの胸鰭を捲って確認する必要もない。怪我することも無かったがもっと早く出会っていれば良かったのだが。それにしても厳つい顔つきのサツマカサゴであるが、ニライカサゴはそれ以上である。だが何だかかっこいい感じがする。うちの定置網でも早く出会ってみたい。
今日はテレビ取材で我が定置網にさかなクンが来た!さかなクンは今、一番会ってみたいタレントさんであり、取材の話を頂いてから今日の日をとても楽しみにしていた。ちなみにさかなクンの年齢は成魚。ということで最近は幼魚続きであったが久しぶりに成魚の紹介である。最近騒いでいる地球温暖化による海・魚の変化を知らせる番組のようである。ここ鹿児島で近年、南方系の魚が捕れているのでそれを温暖化と結び付けようとしているのだが、ほとんどが黒潮による影響のように思える。番組スタッフの方にここで捕れた南方系の魚の写真を準備するよう頼まれ、ピックアップしたのだが珍しすぎる魚ばかりになってしまった。前日にスタッフとの打ち合わせで、魚に詳しいさかなクンとはいえ、この写真を見せても殆ど名前を答えられないだろうと選んだ魚が番組的に失敗だったかなと後悔する。ところが本番でさかなクンは殆ど間違えずに答えてしまい私もスタッフも驚かされた。恐るべしさかなクン。ますますファンになってしまった。いったいどれ程の魚の知識を持っているのだろうか?ゆっくりとお話したかったのだがそのような時間はまったくなく、サインすら貰うことができずに撮影後、東京へ帰ってしまった。だが、帰り際に夢だったツーショット写真だけは何とか撮ることができた。またいつの日か会えるだろうか?
今日は水揚げをしていると漁協定置網の人から標本用にカガミダイの幼魚を頂いた。また、幼魚続きとなったしまう。カガミダイは深海に生息するが幼魚が稀に定置網で捕れることがある。500円玉くらいのサイズの個体が捕れた時は生かして水族館に搬出している。カガミダイは成魚を生きた状態で捕るのは不可能な為、水族館で飼育展示するには定置網で捕れた幼魚を育てて展示するしか方法はない。だが、今回のこの個体は小さすぎてか、沖で見つけることができなかったようで選別作業中に発見されたようである。恐らく生きていれば頂けなかったと思うので良かった。魚ボラの標本用に冷凍保存する。
今日は定置網で選別作業中にウスバハギの幼魚を見つける。ウスバハギの幼魚は毎年今の時期に捕れるのだが、背鰭棘が細長く成魚でさえも簡単に折れてしまう。幼魚ではなおさら折れやすいと思うのだが、実際に幼魚の背鰭棘がどのくらいの長さなのかを知らない。泳いでいるところを丁寧に捕獲したのなら背鰭棘が折れることなくどのくらいの長さなのかが分かると思う。だが、今までに捕れたウスバハギの幼魚は全て水揚げ時に選別作業台上で雑魚に混ざっているところを見つけたものであり、たくさんの魚の中で揉まれた後の個体ばかりなので背鰭棘が折れている可能性が大きい。また、ウスバハギは幼魚期では写真のようにソウシハギの幼魚のように尾鰭が長い。ソウシハギはそのままの状態で成長するのに対し、ウスバハギは成長に伴い短くなって行き、成魚では尾鰭が長かったという面影も残らない。生息域や生態の違いでそのようになるのだろうか?
今日は定置網での漁獲物を水揚げに帰港すると、漁協定置網の人に珍しい魚が捕れたとバケツの中を泳ぐ魚を見せてくれた。覗き込むと先日ブログで紹介したシマハナビラウオの幼魚と思っている種(ブログ 2008 4.14 幼魚ラッシュ3)が少し成長した個体と思われる。前回の個体よりも20ミリ近く大きい。体色も全体的に黒ずんできている感じがする。まだ生きているのでそのままの状態で頂く。家に持ち帰り水槽に入れる。観察すると胸鰭を使い泳いでいる。ただシマハナビラウオがそのように泳ぐのかを知らない。しばらく時間をあけてから再び見に行くと水槽の底で横になっている。生きてはいるのだが長くは生きないと判断し、傷付かないうちに取り上げ、写真を撮り魚ボラの標本用に冷凍保存する。
今日は定置網でテングダイの幼魚が捕れる。テングダイは毎年捕れるのだが成魚のみで水族館に搬出している。幼魚は今までに1個体しか捕れた事がなく、その個体も水族館に搬出してしまったので、幼魚の写真を撮ったことがなかった。今回は2個体捕れ、1個体は生きたまま綺麗な状態で捕れたので水族館に搬出となった。もう1個体は水揚げ時に魚の選別作業をしている時に雑魚に混ざっているところを見つけた。よってこちらは魚ボラの標本用に確保できた。もしも2個体共生きた状態で捕れたなら、共に水族館行きとなってしまっていただろう。そう考えれば鰭が多少摩れてしまってはいるが、選別中に見つけることができて良かったのではないだろうか。自分用に写真を撮り、魚ボラの標本用に冷凍保存する。ちなみに今日も選別作業でフリソデウオを1個体見つける。だが体はボロボロであった。
今日は定置網で見たことのない模様のフグを見つける。体の背面に暗色横帯があるのが大きな特徴となっている。また、体側には黒点が散在している。持ち帰り図鑑で調べるが良く分からない。体の背面に横帯があるのはクマサカフグのみ。また、体側に黒点が散在するのも当てはまる。この二つの特徴からクマサカフグの幼魚かなと思う。だが幼魚の為か胸鰭、尾鰭の特徴が出ていなく定かではない。クマサカフグはうちの定置網では昔、成魚を1個体捕ったことがあるだけで稀種である。細かい同定は魚ボラで行なうという事で魚ボラの標本用に冷凍保存する。
今日は定置網で幼魚2種目を見つける。これまた見たことのないカワハギ科の幼魚。だが、よく見ると眼のまわりが青く縁取られている。これだけでメガネウマヅラハギが思い付く。だが、体側には小黒点が散在している。この個体も眼が青く縁取られている以外は成魚の特徴と一致しない。ネットで調べると国立科学博物館のメガネウマヅラハギの幼魚の写真が見つかる。体色が少し違う感じもするが、多分間違いないだろう。メガネウマヅラハギはここでは稀種であるが、成魚を昨年の6月に魚ボラの標本用として確保している(ブログ 2007 6.5)。幼魚の情報が少ないと思われるので成魚を確保するよりも価値があるかなと思う。でも、幼魚は難しい。やはり魚ボラでしっかりと同定しないと別種の可能性も否定できない。この個体も魚ボラの標本用に冷凍保存する。
今日、定置網での3種目の幼魚。この魚は数年程前までは流れ藻の時期に毎年捕れ、普通種であり写真も数個体撮っていた。だが、自分では同定できないでいた。だが、魚ボラの先生と出会い、魚ボラの活動が始まってからは捕れなくなってしまった。自分ではとても気になっている種で、先生に出会って間もない頃写真で同定依頼したことがあるが、結局は標本がないということで未同定のままである。見た目にはシマハナビラウオかと思っているのだがそのシマハナビラウオは稀種。図鑑では尾鰭先端が尖っているが、この個体は丸いので違うかな。腹鰭が大きいのでエボシダイかなとも思うがエボシダイの尾鰭先端も尖っている。また、エボシダイ幼魚の写真は撮っていて、その写真を見る限りでは尾鰭がまったく違う。ちなみにエボシダイも近年捕れていない。残すはボウズコンニャクかな?いろいろと考えるもひょっとしてエボシダイ科魚類でなかったりして。
今日の定置網で4種目(最後)の幼魚。選別作業中、うちの従業員が見つける。これまた見たことのない幼魚であるが、この顔つきに大きな胸鰭、どこかで見たような気もする。持ち帰るが図鑑で調べても分からないだろうなと思い、同定は魚ボラに任せる。写真を撮るため背鰭を立てると長い棘が何本もある。このような背鰭とは展鰭するまで気付かなかった。こうなるとハオコゼ科が思いつく。魚ボラの先生が得意な分野かなと思うもフサカサゴ科ではないのでどうだろう。自分で調べるが幼魚ということもあり結局は同定できない。余計なことはせず、魚ボラの標本用に冷凍保存する。
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*Nature of Kagoshima Vol. 38, Mar. 2012でヤマヒメの幼魚として記載されましたが誤同定とわかり、ヒレナガハチオコゼの幼魚と再同定されました。