お魚三昧生活

鹿児島の定置網で獲れる魚や市場の魚、鹿児島大学総合研究博物館魚類ボランティア(魚ボラ)の事などを紹介します!

セイテンビラメ

2022年03月28日 | 定置網
今日は定置網漁を終え、市場で選別作業をしているとセイテンビラメを発見。魚ボラの標本用に確保する。更に自分用にも撮影しようと考えていた。以前にセイテンビラメが採れて標本写真を撮ったのだが、鰭立て時に肝心な背鰭第一軟条を立て忘れ、失敗していた(ブログ2010、3.11)。セイテンビラメはこの背鰭第一軟条をルアーの様に動かし、小エビなど甲殻類などを捕食するのである。その特徴と言うべき軟条が確認出来ない写真となってしまい、改めて撮影しようと考えていた。だが、今では大学のカメラの性能も上がり、綺麗な写真を撮ってもらいたい思いもある。と言う事でうちではホルマリンを使わず簡単に撮影するだけにする。その後、標本用に冷凍するが、冷凍すれば眼は白濁したりしそうでやっぱりうちでも標本写真を撮れば良かったかなとちょっと後悔する。次こそは自分用にも撮影しようかな。
セイテンビラメ



背鰭第一軟条
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昨日の標本でカマストガリザメ確保

2022年03月24日 | 定置網
 今日は所用があり鹿児島へ行く日。鹿児島まで出るので序に鹿大に寄り、昨日頂いたシマヒメヤマノカミも綺麗な写真を撮ってもらう為、冷凍せずに持ち込む予定である。今朝の定置網漁で小さなメジロザメ科のサメが入網。いつも入るスミツキザメやハナザメではなく、種は不明。サメ類としてはお手頃サイズではあるがうちの冷凍庫に入るサイズではない。鹿大へ行くので冷凍出来ない魚を持って行くチャンスなので確保する。後で同定出来ればと市場で写真に撮り、持ち帰る。ところがサメを確保した事で予定がちょっと狂う。鹿児島へ行き、所用を済ませてから大学へ行こうと考えていたが、サメはクーラーには入らず常温で持って行かなければならない。今日は天気も良く気温も高い。となると、一刻でも早く大学へ持ち込みたい。所用を済ませてからだと2~3時間掛かってしまい、炎天下の中、車に放置すれば大変な事になりそうである。と言う事で大学へ先に行く事になる。学生には悪いが突然大学へ行き、標本を渡し直ぐに立ち去る事となる。所用も済み無事に帰宅。帰宅後、撮った写真からサメの同定を試みる。背中線隆起が無く、鰭の位置などからカマストガリザメとなる。カマストガリザメはこの前刊行した薩摩半島沿岸の魚類図鑑(ブログ2022 2.25)で、メジロザメ科の中で唯一標本が無く、標本写真を掲載出来なかった種である。今日大学へ行く予定が無かったら、恐らくカマストガリザメの標本は確保していなかったと思われる。昨日シマヒメヤマノカミを頂かなかったら、更にそのシマヒメヤマノカミが今まで確保した体色よりも鮮やかで無かったら冷凍保存していたので、鹿児島へ行っても所用を済ませ大学へは寄らず帰って来たと思われる。昨日のシマヒメヤマノカミがこのカマストガリザメの標本確保に大いに貢献した事になる。本当に運の良い標本確保となる。でも、運だけでなく自分が現場でサメ類の同定が出来れば一番いいのだが。

カマストガリザメ



鰭の先端が全て黒い





背中線隆起がない



昨日頂いた鮮やかなシマヒメヤマノカミ




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鮮やかなシマヒメヤマノカミ

2022年03月23日 | 定置網
 今日は定置網漁を終え市場で水揚げ作業をしていると、お隣の定置網の人に綺麗な魚を活かしているとの事。船の活け間を覗くとお腹を上に向けたミノカサゴの様な魚が目に付く。タモ網で掬うとシマヒメヤマノカミである。シマヒメヤマノカミは今までに定置網で数個体獲れた事があるが、もっと黒っぽいイメージでこれほど鮮やかではなかった。ひょっとしてヒメヤマノカミではと思う。標本用に頂けるという事で遠慮なく頂き、魚ボラの標本用に確保する。家に帰り検索図鑑で調べると胸鰭、腹鰭の横帯の中に黒点列が確認できるので、残念であるがシマヒメヤマノカミとなる。だが、シマヒメヤマノカミでこれほど鮮やかな個体は見た事がない。とても綺麗なので自分用に標本写真を撮ろうと考える。だが、明日所用があり鹿児島へ行く予定である。うちで撮るよりも大学でより綺麗に撮ってもらった方がいいのではと思い、ホルマリンを使っての展鰭は諦め、冷凍せずに冷蔵保存する。明日鹿児島へ行った時に大学にも寄り、標本登録してもらおう。




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遂に確保ウシエイ

2022年03月21日 | 定置網
 以前から気になるエイの仲間がいる。たまに定置網に入網するのだが、船のクレーンを使わないと扱えない程いつも巨大である。これだけ大きいエイといえばウシエイかなと思うが吻端は尖っていて検索図鑑を見ると当てはまらない。尾部は全体を棘に覆われ、素手では触れない位である。このエイの仲間は現場で捨てられてしまうので調べられていない可能性があるのではと思っていた。先週大学へ行った時に魚ボラの先生とその話をして、大学までは持ち込めないが港までなら持って来ることが出来るので、獲れたら連絡をして逆に学生が港まで来てその場で計測し、標本用にバラシて大学に運ぼうという計画を立てる。そして、今日の定置網漁で今までは獲れた事がないそのエイの小型の個体が入網する。決して小さくはないがこのサイズなら車で大学へ運ぶことが出来そうなので確保する。大型の個体と比べると尾部を覆う細かい棘が少ない感じである。確保したものの今日は祭日である。魚ボラの先生に連絡すると電話は繋がったが家族サービス中。少ない人数かもしれないが大学に学生がいるとの事で学生と連絡を取り大学へ持ち込むことになる。今期で旅立つ学生と連絡を取り、大まかなサイズを連絡していたので大学に着くと既に撮影の準備がされており感心する。撮影し標本登録してもらう。やはりウシエイと同定された。旅立つ学生に話を伺うと明日旅立つという事で忙しいところ本当に申し訳なく思う。彼には日本初記録種などいくつも論文を執筆してもらい本当にお世話になったので寂しくなるが、今後も魚類の研究を続けてくれるので、これからの活躍、飛躍を楽しみにしている。先週会ったのが最後と思っていたが、このウシエイがもう一度彼と逢わせてくれて、このウシエイにも感謝。毎年この時期はお世話になった学生達が旅立つので、この歳になっても3月は別れの月であり寂しくなる。
















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ダルマオコゼ

2022年03月16日 | 日記
 今日は仕事を終え車に戻ると電話の着信が入っており、電話するとオコゼを確保しているとの事。頂けるとの事で貰いに別の港へ行く。行くとバケツの中に生きた状態でダルマオコゼが入っていた。聞くと潮が引いた港内の階段で動けなくなっている所を発見したらしい。夜間採集でも潮が引いて逃げ遅れた魚を何度か確保しており、最近は苦労せずに標本を確保する事が続いている感じである。今日は水曜日で魚ボラの日であるが、別件でカミさんと鹿児島へ行く為、大学へは行かない予定であった。だが、このダルマオコゼは生きており、今月研究室を旅立つ学生が生きているのを見てみたいと言っていたので、ちょっと大学に寄ることにする。大学へ行くといつも出入りしていた門は無くなり、別の場所に変わっていた。いつもの場所から入れば正面に南国らしい背の高いワシントンヤシが並んでおり、鹿大へ来た感満載でブログでもよく写真を使わせてもらっていた。今度の門は裏口から入った感じで特徴も無く、残念に思う。ダルマオコゼを学生に渡し、見てもらう。ダルマオコゼは見た目に威圧感があるが、体表は触ってみると柔らかい布で覆われている感じで、この触り心地は気持ちよく、他の魚には無いダルマオコゼ特有の体表である。時間がないのが残念だが、お世話になった旅立つ学生に会うことが出来て良かった。

ダルマオコゼ





鹿児島大学の新しい入口



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厄介なサギフエ科魚類

2022年03月11日 | 定置網
 今日は堤防で網の作業をしていると、通りかかったお隣の定置網の方から標本用の魚を確保してあると言われる。仕事終了後、市場の冷蔵庫へ行き確保してもらった魚を見る。するとサギフエである。サギフエは夜間採集で稚魚を採集している(ブログ2015 3.27)(ブログ2016 5.1)(ブログ2018 3.10)。また、定置網でも魚ボラが始まる前に幼魚が獲れた事があるが17年も前で、今回で2度目である。更に成魚が深海エビ漁でも得られている(魚ボラではダイコクサギフエと同定)。日本に生息するサギフエ科は現在2種となっており、今まで夜間採集で得られた稚魚はどちらかわからない。今回頂いた個体も自分で検索するも違いがよく分からない。検索図鑑では背鰭第2棘長や鋸歯の有無などの違いで2種に分けられている。だが、背鰭棘長の違いは体長120mm以上でないと該当しないとの事で、この個体では適用されない。となると、鋸歯の有無だけであるが、あっても痕跡的となっており、この個体も微妙な感じに確認できるのでどちらとも言えない。日本産のサギフエ科だが、昔は今と同じく体高が低く背鰭第2棘が短いダイコクサギフエと体高が高く背鰭第2棘が長いサギフエの2種とされていた。だが、検索図鑑第1・2版ではそれまでの日本産2種と海外産の1種をまとめ、サギフエとしていた。ところが検索図鑑第3版では再び2種に分かれており、和名と学名の対応は再検討としている。結局は未だに混乱している感じである。成魚ならともかく、このサイズとなると自分では同定は出来ず、あとはいつものように魚ボラ任せとするしかない。




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夜間採集でホシヨウジ

2022年03月05日 | 採集
 今日は夜間採集の日。昼間は春の様な兆しで暖かかったものの、夕方から風が強くなり時化となってしまう。夜間採集に行くかどうか悩む。だが、3月は以前にその日だけであったが面白い魚を沢山採集したこと(ブログ2007 3.17)があり、何があるかわからない月なので決行する。港に着くと影になっているのか港内はあまり風が当たっていない。これなら通常通りの採集が出来そうである。採集を始めた早々、ネコが近寄って来る。人に慣れたネコで付きまとわれながらの採集となる。すると小さなヨウジウオを発見。先週も同じように同じサイズ位のヨウジウオを採集している(ブログ2022 2.26)ので先週の再現のようである。今回も暗いし小さいので種まではわからないが、先週と同じ種だろうと思う。結局その後は何も見つからず終了。ネコにも帰る事を伝えお別れ。家に帰り先週と同じように写真を撮り、パソコンで拡大して見る。すると躯幹部に眼状斑があり、ホシヨウジではないか。ホシヨウジは以前にもこの港での夜間採集で2度採集しており(ブログ2016 2.12)(ブログ2018 1.6)、今回が3度目である。深場で確認されているらしいが、小さな時は浅場でプランクトンを漁っているのだろうか。ここでのホシヨウジは既に報告されているが、今回も魚ボラの標本用に確保する。





ヨウジウオの仲間を採集







ホシヨウジ



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サケガシラ降臨

2022年03月01日 | 市場
 今日は作業を終え倉庫にいると市場職員から電話が来る。隣の漁協の定置網でリュウグウノツカイの様な魚が獲れ、市場に持ってくるとの事である。見に行くと既に大きな個体が水揚げされ市場内に横たわっている。見るとサケガシラである。サケガシラは日本各地の定置網でよく揚がり珍しい感じではない。だが、ここではよく似るテンガイハタは小さな個体が何度か揚がったものの、サケガシラはこの個体がまだ2個体目と非常に珍しく、リュウグウノツカイよりも稀である。この個体は1.5m位であるが、前回揚がったのは15年も前で今回の個体よりも遥かに大きく魚ボラの標本として確保することが出来ていない(ブログ2007 6.23)。その為、今回刊行された薩摩半島沿岸の魚類図鑑(ブログ2022 2.25)には掲載されていないのである。その為、標本用に確保したいところではあるが、この個体を確保するとなると今日中に大学へ持ち込まなければならないが、今日は行く事が出来ない。更に最近はこのような大きく珍しい魚の需要があり、仲買が欲しがり売れるのである。今回も仲買が既に目を付け、電話でやり取りをしている。この個体は10数キロあり、金額が高くなるのは必至であり確保するのは諦める。入札結果はキロ単価が破格の千円を超え、漁獲した定置網の方としても捨てずに市場に持ち込んだ甲斐があり大変に良い結果となり、改めて手を出さなくて本当に良かったと思う次第である。サケガシラはリュウグウノツカイなどと同様にプランクトン食と思っていたが、この個体を見ると下顎に大きな犬歯が密集しているではないか。家に帰りネットで調べると、小魚やイカを食べると推測されているみたいで胃の中からイカのクチバシが多数見つかっているらしい。口が伸びる構造となっているので、小魚やイカを一瞬にして素早く捕食するものと思われる。これだけ大きな個体であるが、まだまだ謎が多い魚である。





口が伸びた状態



下顎内に犬歯が密集している



尾鰭は確認出来ない


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