今日は定置網漁で久し振りにモヨウフグの幼魚を発見。魚ボラの標本用及び撮影用に確保する。モヨウフグの幼魚は今までにも何度か定置網で獲れ、標本用に確保しているが、自分で標本写真を撮影していなかった。いつもはち切れんばかりに体が膨らみ、これを水槽に沈めて撮影なんて至難の業であり、撮影は魚ボラの学生に任せ、自分では今まで標本写真を撮る事を躊躇して来た。ところがモヨウフグも幼魚から若魚、成魚へと成長の過程で体側の模様が急激に変化するので、その変化の様子を作ってみようと考え、写真を探すと幼魚の写真が無い事がわかる。それからモヨウフグの幼魚を探していた。やっと幼魚の標本を手にしたものの、やはり体はパンパンに膨らんでいる。だが、やるしかないので悪戦苦闘しながらようやく水槽に沈め、撮影することが出来た。そして変化の様子を並べてみる。だが、並べてみたものの、この幼魚よりも更に小さな幼魚や途中もまだまだ欲しいところである。これより小さな幼魚は定置網では獲れた事がなく、夜間採集に期待するしかない。だが、夜間採集でも見た事がない。
今日は市場で水揚げ作業を終え、他の定置網の水揚げを見に行くと、お隣の定置網でバショウカジキの幼魚が獲れたそうで見せてもらう。バショウカジキは若魚を採集に昨年も東京の葛西臨海水族園が来たが、昨年は全く獲れず終わってしまった。今から見つかるとは幸先良い感じではあるが、新型コロナウイルスの影響で今年は恐らく採集には来ないと思われる。コロナ禍はこんなところまで影響してきて本当に辛い。今回のこの個体は水揚げするようなサイズではないので魚ボラの標本用として頂く。
今日の定置網漁は久し振りの晴天でベタ凪。トビウオ類の幼魚が入網するには絶好の日和である。網を絞って行くと思った通り水面にトビウオ類の幼魚が群れているのが目に付く。操業中なのでタモ網でひと掬いだけして採集。3種のトビウオ類の幼魚を確保することが出来た。今回も持ち帰り撮影。今回はツマリトビウオの幼魚で、今まで採集した個体より少し成長した個体がおり、ちょっと嬉しい収穫。魚ボラの標本用に冷凍保存する。
今日は定置網漁でトビウオ類の幼魚を採集後、網の中を覗くと小さなハリセンボンの幼魚が目に飛び込んでくる。急いで再び採集。ハリセンボンは港内で普通に見られ、定置網にもよく入り、時にはたくさん入っては棘を立てて膨らみ、他の魚を傷付けたり、取り除くのに手に刺さったりと厄介者である。ところがその殆どが成魚であり、意外と幼魚は珍しく、滅多にお目に掛れない。今回のこの幼魚も数年振りではないだろうか。ちょっとは珍しく需要がありそうなので一応船の中に活かしておく。でも、このサイズのハリセンボンの標本は確保していただろうかとも思うが、活かしておいても傷付く事なく生きているだろうと思うので、そのまま船の中に泳がせておく事にする。
今日は定置網漁で網を絞って行くと、水面を小さな稚魚が群れて泳いでおり、たまに飛ぶ個体もいる。トビウオ類の幼魚である。今からの時期、海面が穏やかな時にトビウオ類の幼魚が定置網に入網する。今年の3月にウルメイワシの稚魚が入網し、生シラスを食べる為にみんなで掬い取っていた。その時のシラスを採る目の細かいタモ網がまだ船に積んであり、それを使ってトビウオ類の幼魚を採集する。今までも何度かトビウオの幼魚を採集してきたが(ブログ2008 5.30)(ブログ2016 5.28)、普通のタモ網で採集していたので網目から抜けてしまう事が良くあったが、今年はこの最強のタモ網があるので、今後もトビウオ類の幼魚採集にチャレンジして行こうと思う。今日はその他、一緒にアミモンガラの幼魚も採れる。
トビウオ類幼魚
アミモンガラ幼魚
今日の定置網漁で選別作業をしているとアカメバルの幼魚を発見。最終的に5個体も見つける。ちょっと嫌な予感。今朝、海水温が先週よりも一気に2℃以上上がっていた。更に先週の土曜日は海上は時化となり操業できていない。時化たうえ海水温が上がり、港内にいたアカメバルの幼魚達が港から離れてしまったのではないかと気になる。仕事が終わってからアカメバルの幼魚を確認していた2カ所の港を見に行くが、その姿を見つける事が出来ない。もう全て港から離れてしまったのだろうか。ひょっとしたら定着するのではと少しは期待していたが、やはり無理なのだろうか。標本が手に入ったものの、せめてもう少し成長した姿を見たかった思いである。
最後に標本写真を撮りたかったが、今日は仕事で疲れたので全て冷凍し、あとは魚ボラの学生に任せる。
最後に標本写真を撮りたかったが、今日は仕事で疲れたので全て冷凍し、あとは魚ボラの学生に任せる。
今日は仕事終了後、海の様子を見に港へと行く。この港は毎年よく素潜りに来る場所である。海を覗くと透明度が非常に良く、港の底まで良く見えている。折角なので岸壁にいる魚を見てみると、足元にメバル属の幼魚が群れている。見た感じではこれもアカメバルの幼魚のように見える。この港は漁協の定置網から近い場所である。先月漁協定置網でもアカメバルの幼魚が入り、標本用に頂いたばかりである(ブログ2020 5.23)。いつも夜間採集をしている港ではまだ確認していないものの、やはり広い範囲にアカメバルの幼魚がいる事が伺える。車にタモ網は積んでいるものの、既に標本はあるので今回は写真にのみ収め、成長の様子を探ることにする。
昨日の魚類調査で鹿児島大学を訪れた時に最新版のNature of Kagoshima vol.46を魚ボラの先生より頂く。昨日発行したばかりでまだ発送前という事で、皆さんの手元に届く前に頂き、ちょっと得した気分。今回は自分が著者に入っている報告は4つもあり、これも標本を提供して頂いた方や執筆して頂いた学生達、先生のおかげである。今回の冊子への投稿は過去最多の105本という事で、とても分厚い冊子となっており、これでも紙を少し薄くして厚さを抑えたとの事。例年魚類の投稿がかなり占めていたが、今回は幅広い分野に関する研究成果が掲載されており、今後は更に投稿数が増えるのではないだろうか。これだけ内容満載な冊子となっているが、それでも年会費は千円と変わらず、運営的に大丈夫なのだろうかと今後を心配してしまう位である。今期は報告書を投稿出来るような魚にどのくらい巡り逢えるのだろうか。