今朝の地元紙から。
今日は定置網漁で網を起こすと大きなフグが浮かんでくる。見るとモヨウフグのようである。モヨウフグは定置網で幼魚から成魚まで獲れ、珍しくはない。昨年、しものせき水族館から大きなモヨウフグを頼まれ、11月に2個体搬出している。だが、今回の個体は非常に大きく、ここまで大きな個体はうちの定置網ではちょっと珍しく、今までで一番の大きさと思われる。水族館ヘは搬出したばかりで、標本用としては大き過ぎるので今回の個体は再放流することとなる。
今日、2月11日は毎年行われる伝統的で大事な集落行事があり、私はその責任者という事で一年で一番忙しい日である。私が漁業関係者という事もあり、この集落行事での神事にお供えするマダイをいつも準備している。毎年定置網で獲れるマダイを確保しているのだが、先週の土曜日から時化続きとなり、昨日も時化で前日までにマダイを確保することが出来ないでいた。養殖のマダイを選ぶ選択もできたが、やはり天然ものをお供えしたい思いがあり、今日に賭けていた。ところが時化続きで期待できたのだが、今朝の定置網漁ではマダイの入網は無く、残すは他の定置網頼みとなる。帰港すると自分の船の水揚げよりも、まずは市場に水揚げされたマダイを探す。ところがマダイはあったもののサイズが小さ過ぎる。そのような中、お隣の定置網の方にチダイの中に変わったものがいたと見せてくれる。見ると背鰭第3・4棘が著しく長くヒレコダイのようである。ヒレコダイは今までに何度か見ているのだが、魚ボラ用に確保した標本を調べた時にまだ未登録とわかり探していた。だが、今はヒレコダイを確保する余裕がなく、とにかくマダイを探さなければと、とりあえず写真にだけ収める。結局入札ギリギリに水揚げに来た定置網の中でマダイは見つかりホッとする。そこでもうヒレコダイの存在は忘れてしまい、水揚げ後、マダイを持って行事へと向かってしまった為、ヒレコダイを標本用に確保することが出来なかった。行事の途中でヒレコダイの事を思い出したが後の祭りである。行事は無事に終わったものの、家に帰ってから撮ったヒレコダイの写真を見ると、傷もなく伸長した棘や体高が高く、ヒレコダイの特徴がよく出ており、確保できなかった後悔に更に追い打ちをかけるような素晴らしい個体であった。
今日も土曜日という事でいつものように港へと夜間採集に行く。現場に着くと透明度も良く、プランクトンも集まっており条件としてはいい感じである。だが魚を探すがいつものメンバーしか見つからない。ようやく水面にゴミのような小さな塊が動いているのを見つけ採集。見るとカエルアンコウの仲間のようであるが、小さ過ぎてよくわからない。先月の夜間採集でハナオコゼを採集しているのでまたそうだろうと思う。その後も全く魚は見つからず終了。家に帰りカエルアンコウの仲間の写真を撮り、拡大して見てみる。するとハナオコゼではなく、カエルアンコウ属のようである。だが、まだこの段階では種まではわからない。このまま飼育して種を突き止めたいところではあるが、現在は海水の水槽を準備していないので飼育は諦め、明日にでも海に再放流することにする。