お魚三昧生活

鹿児島の定置網で獲れる魚や市場の魚、鹿児島大学総合研究博物館魚類ボランティア(魚ボラ)の事などを紹介します!

また幼魚

2010年05月29日 | 定置網

 今日は仕事も終わり漁協定置の人と話をしていると、今日の魚貰った?と聞かれる。聞き返すと珍しい魚が獲れて確保してもらったらしい。まだ頂いて無かったのでそのように伝えると、渡すのを忘れているのではと言われる。その魚を置いたとされる所を見に行くと、まだそのまま置いてあった。水に浸けていなかったので乾燥し掛かってはいたが、鳥に食べられていなかったのがラッキーである。直ぐに海水に浸け、標本用に確保する。幸い各鰭も完全に乾燥はせず無事であった。この個体、全長5センチ程でまだ幼魚と思われるが、今月ブログにも載せたクルマダイの幼魚と思われる個体を見たばかりだからか、この個体も見た目ではクルマダイの幼魚に見える。だが、持ち帰り、検索図鑑で調べると各鰭の棘数は一致するものの、軟条数が合わない。さらにクルマダイの幼魚をいろいろと調べたばかりであったが、背・臀鰭軟条、尾鰭に見られる小黒点も確認できない。これでこの個体も迷宮入りとなる。

後日、チカメキントキの幼魚と同定されました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シマヒメヤマノカミ

2010年05月29日 | 定置網

今日は定置網の漁獲物を水揚げしていると、他の定置網の人が、「この魚珍しくないの」と持ってきてくれる。見ると体表はスレていて状態はあまり良くはなかったが、シマヒメヤマノカミであることがわかった。シマヒメヤマノカミは普通に獲れていそうな感じに思っているが、案外と獲れていなく、実に3年振りのご対面となる。前回はうちの定置網で獲れ(ブログ 2007 4.9)、ブログで紹介している。今回の個体は状態は悪いものの、まだ水槽に入れての撮影をしていなかったので確保し撮影する。見た目に派手っぽい魚ではあるが、思ったほど皮弁も少なく、水槽に入れて撮影しても想像していたような写真にはならなかった。とは言ってもやはりミノカサゴの仲間。あの長い背鰭棘に赤い魚は黒バックの写真は良く映えて綺麗である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

初入網 サクラテンジクダイ

2010年05月21日 | 定置網

今日は定置網で魚を本船に積み込んでいるとオレンジ色の綺麗な魚を見つけ、直ぐに確保する。見るとテンジクダイ科の魚である。以前に1個体だけ獲った事のあるサビクダリボウズギスモドキかなと思い、探していた魚なので大事に扱う。でも、体は透けており、内臓や脊椎骨が見えていて、そのような魚だったかと疑問に思う。だが、このタイプの魚は数種いたと記憶していたので別種の可能性も疑う。家に帰り図鑑を広げると、サビクダリではないが他種も全て尾鰭の感じが違う。となるとそこで思い出したのが検索図鑑でテンジクダイ科の一番最初に出てくるサクラテンジクダイである。以前に魚ボラで種の同定に同じく迷ったことがあり、検索図鑑を使って調べた事を思い出す。となると初入網であり、喜ぶ。だがネットで調べると、いる所にはいてそれほど珍しい種でもないようである。となれば初入網にはならなくてもやっぱりサビクダリの方が良かったかな。採集時は体が透けていたが、時間が経ったからか、または標本を冷やしたからか白く濁ってしまう。同じテンジクダイ科のスカシテンジクダイとまったく一緒である。せめてもと展鰭は集中して丁寧に行ない写真撮影する。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヒカリイシモチ

2010年05月18日 | 定置網

 今日は定置網の漁獲物の選別作業中、選別台上で真っ黒いテンジクダイ科の魚を見つける。ヒカリイシモチである。ヒカリイシモチは定置網で捕れることは珍しく、これまでにも数個体捕れ、ブログでも紹介している(ブログ、2008 5.1)(ブログ、2009 4.24)。しかし、今回の個体は今までのとは違い大きく、体長は5センチ程ある。図鑑を見るとヒカリイシモチの体長は4センチとなっている。だが、その値は標準体長であるのでこちらは最大体長であろうか。このヒカリイシモチのように全体が真っ黒い魚は写真撮影が厄介である。黒バックでは当然魚体が映えない。かと言って真っ黒い魚の白バックは撮影が難しい。あまり撮影機会の少ない珍しい魚ではあるが、写真撮影だけみれば自分としてはあまり歓迎ではない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サイウオ

2010年05月15日 | 日記

今日は市場で水揚げ作業をしていると、今までにたくさんの標本を提供して下さっている漁師さんが小さな魚を持ってきてくれる。見ると腹鰭が長くてサイウオと直ぐにわかる。話を聞くとこのサイウオ、刺し網で捕獲されたものだと言う。刺し網とはその名の通り、網目に魚が刺して捕獲する漁である。でもサイウオは小さい魚なうえ大変に体は細く、網目に刺さったなんてとてもじゃないけど考えられない。ところがサイウオの特徴ともいえるこの長い腹鰭の基部に網目が引っ掛かって揚がって来たそうだ。そのように説明を受ければ納得できる。だが、この個体を標本登録する時に採集方法を刺し網としても信用してもらえなかったり、記載ミスと捉えられてしまいそうである。この個体で体長が7センチ程ある。これだけサイズがあれば同定できそうであるが鰭立ては難しく失敗してしまう。一応、トヤマサイウオとなったが自信がないので魚ボラに任せる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

幼魚

2010年05月12日 | 定置網

 今日は定置網の水揚げ中、選別作業をしていると珍しい魚がいたと教えてくれる。手にとって見ると体長は2センチ程の真っ黒いコロコロした魚である。写真ではわかりにくいが体の幅が結構あり、鱗もガッチリとした感じ。パッと見た感じではエビスダイの幼魚ではと思う。だがエビスダイは体色が赤い。この個体は体色が黒いがまだ幼魚なので、成長につれて赤くなっていくのではと考える。体色が違っても形質が合えばと計数計測すると、背鰭棘数を数えた時点で既にアウト。となると、思いつく魚種は他にいない。この時点で同定を諦める。あとは恒例の魚ボラ任せとして、標本タグを取り付け、冷凍保存する。

後日、クルマダイの幼魚と同定されました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

稀種?ウミヤッコ

2010年05月10日 | 魚ボラ

 今日は所用で鹿児島に行ったので鹿大にも寄り、溜まっている冷凍標本を持ち込む。すると学生より鹿児島県自然愛護協会の会誌「Nature of Kagoshima」に投稿した報告書の別刷りを頂いた。その中の一つにウミヤッコの報告書がある。以前にこの報告書を作成した学生よりメールでチェック依頼を受けた。そのメールの題名「ウミヤッコ」を見て疑問を抱く。自分ではヤッコ類を採集した覚えはない。採集者を間違えているのではとその時は思った。ところが読んでみるとウミヤッコとはヨウジウオの仲間であることがわかる。今までウミヤッコという名を聞いたことも目にしたこともなく知らなかった。採集場所・採集日を見ると以前にブログにも載せた(ブログ、2007 3.17)夜間採集時の魚らしい。あの時は面白い幼魚がたくさん捕れ、他の魚ばかりに目が行ってしまい、ヨウジウオ類はそっちのけ状態だったと記憶している。ただ、写真だけは撮っていた。このウミヤッコ、学生の報告書を読む限りでは少々珍しいらしい。日本産のウミヤッコは長崎県産の標本が海外の博物館に2個体現存するだけで日本国内には無く、この個体は日本産の標本の3個体目となるらしい。となるとかなりの稀種のように思えるが、日本での分布域をみると駿河湾・長崎県・琉球列島とかなりの飛地となっている。という事は目立つ魚でもないので私のようにただ単に気付かれていないだけのように思える。分布域も駿河湾以南ではないだろうか(まだ北にも分布していそうではあるが)。このような報告書・標本の重要性が改めてよくわかる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大きな仔魚

2010年05月08日 | 定置網

 今日は定置網の水揚げ作業中に選別台上で見たことのないカレイ目の魚を見つける。よく見ると眼の移動がまだ完全でなく、体側の片側に1眼でまだ仔魚と思われる。でもこの個体、全長で10センチくらいはある。このサイズでまだ仔魚の形態を保っていてちょっと驚く。これは珍しい種だろうと思い、標本用に確保し、撮影する。問題は種の同定である。ここで久しぶりに持ち腐れ状態の稚魚図鑑で調べてみる。背鰭伸長条があり、黒色素胞が左体側全体に確認でき、3・4縦列の色素域が背鰭・臀鰭条に出現していることからダルマガレイ科ヤリガレイ属ではないかと思われる。変態体長も56~90ミリとなっているので該当する。細かいところは魚ボラでカレイ目の分類を専攻している学生がいるので彼に任せる事にする。ブログネタ用にと画像処理をしていてふと気付く。無眼側(眼はまだ残っているが)の撮影をするのを忘れていた。標本は既にタグを付けて冷凍中。成魚だったら直ぐに解凍して撮影すればよいのだが、仔魚では冷凍・解凍を繰り返せば固定前の標本なので状態が悪くなりそうなので諦める。
*後日、魚ボラでヤリガレイの仔魚と同定されました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする