今日は定置網で雰囲気の違う魚が目に付き、思わず掬った。見てみると長い下顎が折れたナンヨウサヨリと最初は思った。しかし胸鰭が少し長い。頭の中でサヨリトビウオが浮かんだが下顎を見ると折れているようにも見える。とりあえず確保する。帰港し選別作業をしていると全く同じ魚をあと2個体見つける。これでサヨリトビウオと確信する。家に帰り図鑑で確認するとサヨリトビウオ属には2種いた。どちらにしても初入網である。検索図鑑で同定すると腹鰭の色の事が載っていて淡色ならサヨリトビウオ、黒色ならクロビレサヨリトビウオとなっている。今回獲れた3個体とも腹鰭は半分黒くもう半分が白い。これでは分からない。あとは解剖して鰾を調べなければならない。3個体あるので1個体を解剖し調べ、サヨリトビウオと同定。同定のために標本1個体がダメになってしまう。残りの2個体を鹿大用の標本に保存する。この魚、家の検索図鑑ではサヨリ科のサヨリトビウオとなっている。しかし、ネットで調べるとWEB魚図鑑や他のサイトなどではトビウオ科となっている。家の検索図鑑は第1版なので古い為、その後変わったのだろうか?確かにこの標準和名からすれば○○○トビウオなのでトビウオ科のようである。サヨリ科であればトビウオサヨリとなるのではないか。このサヨリ科とトビウオ科の違いとなれば胸鰭の大きさである。トビウオ科の胸鰭は著しく大きいとなっている。このサヨリトビウオの胸鰭は長いが著しいという程大きくは無い。はたして真相は?今度大学に行った時に最新の情報を調べてハッキリさせなければ!
今日は定置網で雰囲気の違う魚が目に付き、思わず掬った。見てみると長い下顎が折れたナンヨウサヨリと最初は思った。しかし胸鰭が少し長い。頭の中でサヨリトビウオが浮かんだが下顎を見ると折れているようにも見える。とりあえず確保する。帰港し選別作業をしていると全く同じ魚をあと2個体見つける。これでサヨリトビウオと確信する。家に帰り図鑑で確認するとサヨリトビウオ属には2種いた。どちらにしても初入網である。検索図鑑で同定すると腹鰭の色の事が載っていて淡色ならサヨリトビウオ、黒色ならクロビレサヨリトビウオとなっている。今回獲れた3個体とも腹鰭は半分黒くもう半分が白い。これでは分からない。あとは解剖して鰾を調べなければならない。3個体あるので1個体を解剖し調べ、サヨリトビウオと同定。同定のために標本1個体がダメになってしまう。残りの2個体を鹿大用の標本に保存する。この魚、家の検索図鑑ではサヨリ科のサヨリトビウオとなっている。しかし、ネットで調べるとWEB魚図鑑や他のサイトなどではトビウオ科となっている。家の検索図鑑は第1版なので古い為、その後変わったのだろうか?確かにこの標準和名からすれば○○○トビウオなのでトビウオ科のようである。サヨリ科であればトビウオサヨリとなるのではないか。このサヨリ科とトビウオ科の違いとなれば胸鰭の大きさである。トビウオ科の胸鰭は著しく大きいとなっている。このサヨリトビウオの胸鰭は長いが著しいという程大きくは無い。はたして真相は?今度大学に行った時に最新の情報を調べてハッキリさせなければ!
今日は仕事が早く終わったので素潜り採集に行く。段々と水温が下がってくればチョウチョウウオ類が減ってくると思い、地元の港でチョウチョウウオ類を主に狙い、採集を行なう。ウエットスーツに着替え、現場へ行くと風が吹いてきていて波がある。採集に影響はないと考え、採集決行。潜ると今までは見たことの無いチョウチョウウオ類が目に付く。2尾で泳いでいたのだが1尾のみ採集できた。図鑑では見覚えがあるがその場で名前が出てこない。家に帰り調べるとミスジチョウチョウウオであった。少しは珍しいのかと思って調べたものの、名前も普通で分布も普通。しかし、チョウチョウウオ類は見つけたからといって捕れるものではないので良しとする。今回はこの種も含め、新たに4種のチョウチョウウオ類を捕る事ができた。生かして持ち帰るがしばらく魚ボラに参加できないので家の水槽に入れておいても体に傷を付けるだけな為、冷凍保存する。それにしてもチョウチョウウオ類がたくさんいるととてもカラフルである。魚は綺麗であったが、今回の採集で気になったのがサンゴの白化現象。白いサンゴばかりが目に付き、色の付いたサンゴを見ることが無かった。おまけにタコクラゲまで白い個体がちらほらと。
今日は定置網でエソ科の魚が獲れる。アカエソっぽいのだが分からないので持ち帰る。検索図鑑で同定するとアカエソかミナミアカエソとなった。だがここからである。背鰭は13軟条であった。通常13本となっているのはミナミアカエソである。だがこれは通常?でアカエソは通常14本となっているが13本では共に重なっている。となるとあとは側線有孔鱗数と前鼻孔の皮弁の形状で判断となる。だがこれは家で調べるには大変なので大学に持ち込んで顕微鏡で調べようと思い、その時点で同定は終了。ところがネットで調べてみたらWEB魚図鑑にアカエソ、ミナミアカエソの見分け方が載っている。それによると側線上方の青色縦帯の事が出ていて、それが明瞭であればミナミアカエソ、不明瞭かないとなるとアカエソとなっている。この個体は写真では分かりにくくなってしまったが青色縦帯が明瞭である。となるとミナミアカエソとなる。ミナミアカエソとなるとうちの定置網では初入網となる。一応、大学で側線鱗数を数えてみよう。でも重なる数値もある・・・。
今日は定置網で小さいのだが黄色くよく目立つ魚が目に付いた。掬ってみると今まで捕れたことは無いが見たことあるような幼魚。図鑑だったかネットだったかで見覚えのあるキハッソクの幼魚ではないだろうか?改めてネットで調べてみると、キハッソクの幼魚は背鰭の第2・3棘が非常に長く伸びるとなっている。しかも大きさが違うのか黒色横帯が既に現れている。この個体も背鰭の第3棘が少しだが伸びている。たくさんの大きな魚の中で揉まれて短くなってしまったのだろうか?さらに横帯が無い。しかしよく見ると横帯の現れる場所に黒色の色素がポツポツと確認できる。これから横帯が現れてくるのか、それとも薄いのだろうか?いろいろと疑問があるので別種の可能性もある。だがこのような魚はキハッソクしかいないような・・・。
今日は定置網でヨスジヒメジと思われる魚が獲れた。尾鰭が完全で無いので分かり難いのだが、恐らく間違いないだろう。ヨスジヒメジは15年程前に1個体獲れ写真に収めていたのだが、それから出会うことが無かった。久し振りの対面であったのだが、体はスレており同定に重要な尾鰭が不完全であった。捨てるか確保するか悩んだのだが、まだデジカメで撮っていなかったのでとりあえず持ち帰る。他所ではたくさん獲れるのかなと思い、ネットで調べてみると海外産の画像は見つかったものの国内産の画像が見つからない。ひょっとして珍しい種なのだろうか?図鑑で調べてみると昔の日本産魚類大図鑑では新称となっている。確かに検索図鑑でも分布域が高知・沖縄となっている。やはり国内ではあまり確認されていないようである。という事で写真を撮ったら捨てようと思っていたのだが、標本用に確保する事に!
今日は定置網でテングハコフグが獲れる。うちの定置網では実に10年以上振りの入網だろうか。昔2個体獲れ、それ以降獲れないでいた。昔獲った2個体は共に水族館に搬出してしまい写真が無かった。唯一水族館に送る間際に船の上で撮った写真が1枚残っているのみであった。今回も綺麗に泳いでいたので標本にするか水族館に連絡するか迷い、港までは生かしてくる。大学には既に1個体標本があるのだがそれは水族館で斃死した個体であった。新鮮な標本が無いと思い、また自分でも写真に収めておきたかったので標本用にする。家に帰り、以前に水族館に搬出した時に撮った写真を見ると体側に小黒点がたくさんあり、体色も水色で綺麗であった。今回のこの個体は何か物足りない気がする。しかし、次を待っていたらいつになるか分からない。
最近はカンパチの若魚が毎日定置網で漁獲されている。今日もカンパチの若魚を水揚げしているとその中に背が緑色の個体がいる(写真上)。普通のカンパチの背の色は茶色である(写真下)。体形などはカンパチそのものなのだが背が緑色の個体が毎年混ざる。市場ではその個体を「青カン」と呼び、カンパチとは別けて水揚げされる。この青カン、背の色が緑なのでブリにも見えるがブリの若魚と並べてみると全然違う。この背の色の違いは非常に分かりにくく、特に天気によっては選別する漁師さんも気付かない事がある。この青カンはカンパチとブリとの交雑種なのか?それともカンパチの色彩異常個体なのだろうか?仮に標本として確保しても形態に違いが無ければ、固定すれば色の違いが分からなくなり、普通のカンパチとなってしまうだろう。これとは逆の背が茶色いブリは見たことがない。
ここ最近、定置網でヒメコトヒキの幼魚がたくさん獲れる。網の中だけでなく外側でも群れを成して泳いでいる。他の魚のように回遊してきて定置網に入るわけではないようで、網を漁礁のように見立ててそこに群れを成している。実はこの光景は毎年見られるわけではなく、今年初めて観察された。ヒメコトヒキの幼魚は毎年獲れるのだが、数は少なくしっかりと探さないと見つからないほど。ところが今年はこの量。これだから海は毎年表情が違い、何があるか分からないので面白い。このままいけば来年あたりヒメコトヒキは大漁であろうが成魚にまで成長しても非常に安い魚でありありがたくはない。ヒメコトヒキによく似たコトヒキは河口や港内で幼魚が群れを成して泳いでいるのをよく見かけるが、ヒメコトヒキの幼魚は同じような場所では確認していない。成魚になればよく似るが成長過程は違うようである。
今日は自分の所の定置網の水揚げを終え、隣の定置網の水揚げ作業を見ているとクロアジモドキを見つける。近年獲れる数が減ってきている魚で、うちの定置網ではもうここ数年獲れていない。ここで逃すとまた数年見つからない恐れがあり、しかも今日は魚ボラの日で参加する予定だったので標本登録には都合が良い。迷わずに購入。しかし無償で頂いてしまった。この魚、初めて獲れた時この体形からマナガツオの仲間と思って図鑑で調べたが見つからず、結局は図鑑の最初から写真を見て行きアジ科のところでようやく見つけ驚いた次第。たしかにアジ科の中には体形が似ている?マルコバンもいるし、さらには稜鱗も確認できる。だが、この魚を初めて見てこれがアジの仲間と分かる人が何人いるだろうか?また、標準和名にモドキと付いているのだが、元の種に似ていてモドキとなるのだろうが、いったいどの種に似ているのだろうか?この後予定通りに魚ボラに持ち込み、標本登録する。
今日は市場でもう一種見つける。活魚用の水槽内にオニカサゴが数個体水揚げされていて、その中の1個体だけ体色が黒ずんでいる。取り上げ涙骨隆起を確認すると先端が尖り皮膚から露出している。イヌカサゴである。ここの市場に水揚げされるオニカサゴ属の魚は以前から数種いるとは思っていたが同定できなかった。写真には収めていたのだがオニカサゴ属の写真同定は難しい。魚ボラの先生はオニカサゴ属魚類の分類学者であり、実際に標本などを使い詳しく教えて頂き少しは分かるようになった。それからは市場にオニカサゴ属の魚が揚がっていれば必ず確認している。今回のイヌカサゴは私が確認できた2個体目である。昨年は1個体しか確認できなかった。そのほか昨年はヒュウガカサゴを見つけることもでき、こちらはたくさん確認できた。しかし、このブログで紹介しようと考えているのだが今年はまだ1個体も見ていない。今回のイヌカサゴは生かしてあったので、そのまま生きた状態で魚ボラに持ち込み標本登録する。同定結果はやはりイヌカサゴであったので内心ほっとする。
今日は定置網でウミテングが捕れる。ここではウミテングは定置網で2~3年に1個体捕れるかどうかで、標本を集めるうえでは大変に貴重である。パッと見て魚というより昆虫を思い浮かべてしまうこの体形。そのため変わった形の魚ということで水族館でも人気があるのか注文があり、標本を集める前までは全て水族館に搬出していた。だが、体が小さいうえ泳ぎ回らないので、たくさんの魚が泳ぐ定置網の中からこのウミテングを探すのは至難の業である。今まで水族館に搬出した個体も運良く見つけた個体ばかりで、大体は水揚げ時の選別作業中に死んだ状態で見つかる方が多い。このウミテング、捕れる数が非常に少ないのだがダイバーがよく写真に収めているところをみれば生息数が少ないわけではないと思われる。ただ、ダイバーにしてみればこの体形は被写体としてはもってこいの魚であり、おまけに逃げ回らずに撮りやすいのだろうと思われるので写真もたくさん存在するのではないだろうか?
今日は定置網でシマキンチャクフグが捕れる。うちの定置網では初入網であり、ほかの定置網の漁獲物でも見たことが無い。16年目にして初めて捕れたのではあるが、珍しいというよりはやっと捕れたという思いである。実は昔から素潜りしている時に見かけてはいたので生息している事は知っていた。しかし定置網では今まで捕れたことが無かったのである。だがシマキンチャクフグに大変によく似たハナキンチャクフグは毎年定置網で捕れている。この両者はよく似てはいるが習性が違うのであろうか。それとも個体数の違い?見た目にはハナキンチャクフグの方が色彩が派手で南方系のように思っていたが、分布域を見るとどうやらシマキンチャクフグの方が南寄りのようである。この個体を手に取るまではハナキンチャクフグの方が派手で綺麗だと思っていたが、シマキンチャクフグの方が色彩がハッキリとしていて綺麗に見える。だが、シマキンチャクフグは初物でハナキンチャクフグの方は見慣れているのでそう感じるのかもしれない。
今日は午後に時間が空いたので素潜り採集に行く。時間があまり無いので町内の海に行く。以前にヘビギンポの仲間で尾柄部にオレンジ色のバンドが2本ある個体を見たことがあり、それを狙いに簡単な装備で行なう。海に入るとすぐにヘビギンポ類が見つかる。目的の種ではないがやはり見つけてしまうと採集してしまう。すると眼の下に青いラインの入った個体を見つける。以前にネットか何かで見たことのある顔つき。何度かチャレンジし採集に成功(写真の個体)。取り上げてみると眼の下の青いラインが薄れてしまう。恐らく死ぬとこのラインは消えてしまうと思うので生かしておく。その後も大きな岩の裏側に見た目に違う個体を見つけ採集を試みる。潜っては逃げられる繰り返しなのだが何度失敗してもまた潜ると同じ場所にいるのである。この1個体の採集に30分以上は掛けてしまっただろうか。結局は採集できずに疲れただけであった。結局今回は4個体しか採集できなかったうえ、目的の個体は見掛ける事もなかった。前回もだったが今回もこの採集した4個体は見た目に全て違う。なんかヘビギンポは奥が深いというか面白そう。だが、一から勉強するとなると大変そうである。
今日は定置網でトンガリサカタザメが捕れる。珍しくはないがうちの定置網では年に数個体程しか捕れなく殆どが全長1メートル以上ある。言わずと知れたサメという名のエイではある。だがエイとなるとエイ鰭など大きな鰭が珍重されるがサメという名のエイ類は鰭よりも胴体の割合が断然大きいので練り製品くらいにしかならない。そのため漁師からみればやっぱりエイというよりはサメである。以前から思っていたのだがここで捕れるトンガリサカタザメはこの写真のように鰭に模様はなく胸に黒斑がある個体のみである。当然ここの定置網で捕れた個体を搬出したかごしま水族館・マリンワールド海の中道の水槽に泳いでいる個体も同じである。しかし、それ以外の水族館にいる個体やダイバーが撮影した写真などを見ると胸鰭には白い斑点が散りばめられていて黒斑がハッキリとは確認できない。大きさの違いやここで捕れる個体と南方系の個体とで色彩が多少違うのか分からない。ネットで画像を検索するもダイバーの写真くらいしか見つからずハッキリした写真がない。比較するにも個体が大きすぎるのでこちらも標本は幼魚しかないのだが。
*2020年9月にモノノケトンガリサカタザメRhynchobatus mononoke Koeda, Itou, Yamada & Motomura, 2020と新種記載されました。
今日は漁協の定置網でカツオの幼魚が獲れ、捨てられていたので写真用に頂く。この時期、カツオの他にクロマグロ・キハダなどカツオ・マグロ類の幼魚が定置網に入る事がある。しかし、この魚達、ちょっと訳ありで天然物には間違いないのだが自ら沖合いから泳いできて定置網に入ったものではない。実はここ笠沙は毎年今の時期に水族館用のマグロ・カツオ類の種苗を集める基地となる。今年は地元かごしま水族館のほかに東京の葛西臨海水族園の職員が常駐して水族館用の種苗を集めている。種苗の収集は地元の漁師さんが沖合いで曳き縄により捕獲し、活かして持ち帰り、水族館用の生簀に移される。この生簀に移す時、水族館の職員により体の傷等、厳重にチェックされる。そこで傷などがあり不合格となるとそのまま海に逃がす(捨てられる)のである。そしてその逃がした種苗が近くの定置網に入るという訳である。この種苗、定置網に入っても小さい為水揚げされずに結局は捨てられる運命である。