地元の深海エビ漁が7月から始まっている。今年もなんだかんだで深海エビ漁に乗船できず既に3ヶ月が経ってしまう。そして本日ようやく乗船。今回最大の目的は鹿大に標本はあるが標本写真の無いスミクイアカカサゴの確保である。スミクイアカカサゴは昔アカカサゴと別種と見なされていたが、学術的な根拠が乏しく、外見が似ていることから、その後は同種とされていた。それを当時の魚ボラの学生が世界の博物館に所蔵されている標本を調べ、アカカサゴとは別種であることが判明し論文で発表した(
ブログ2021 3.5)。そのスミクイアカカサゴは論文著者の魚ボラの学生と一緒にエビ船に乗船し沢山確保したアカカサゴの中から後日見つかり、運が悪い事に生鮮時の標本撮影をしなかった中の1個体であったそうで、鹿大には生鮮時の写真が無く、論文には京都大学の写真が掲載されている。自分としてはまだアカカサゴとの判別が出来ないので今回はとにかくアカカサゴを全て確保する事である。辺りが明るくなって来てから漁が始まる。網が水面まで上がると網の口を開け、まずは浮いた魚を外に出し、後でエビを選別しやすいようにする。アカカサゴは全て浮くのでここで殆どが水面に放り出される。ここで掬い採らなければならず、必死にアカカサゴを掬い採る。4回操業して10個体程確保できた。確保したアカカサゴの口腔内を見ると1個体だけ黒い範囲が広い個体を発見。自分ではやはり判別出来ないのであとは著者の元魚ボラの学生に委ねる事にする。今、その元学生が鹿大に来ているので明日大学に持ち込み同定してもらう事にする。今回はそのほか今まで確保したホウネンエソの仲間とは別種と思われる個体も確保出来き、今回も沢山の深海魚の標本を頂いた。今年はあと何回乗船出来るだろうか。
アカカサゴ
右の個体の方が口腔内の黒い部分が広くスミクイアカカサゴだろうか
*後日スミクイアカカサゴの著者の元学生に同定してもらうと全てアカカサゴと同定され、スミクイアカカサゴはいませんでした
今回初確保のホウネンエソの仲間
*後日、魚ボラでホシホウネンエソと同定されました
トウヨウカマス
マルカワカジカ
ソコホウボウ
ギス
アンコウ
ミドリフサアンコウ
ヒレタカフジクジラ
まだヨークサックを付けているヒレタカフジクジラの幼魚
ボウズカジカ
ウロコガレイ
ヤリダラ?
ハダカイワシの仲間
ヨリトフグ
ボウズコンニャク
マルヒウチダイ
ニホンヤモリザメ
アオメエソ
フウリュウウオ
ソコマトウダイ
サンゴイワシ