お魚三昧生活

鹿児島の定置網で獲れる魚や市場の魚、鹿児島大学総合研究博物館魚類ボランティア(魚ボラ)の事などを紹介します!

オオヤマトカマス

2007年08月29日 | 定置網

 今日は定置網の漁獲物の選別作業中、ヤマトカマスの中にオオヤマトカマスを見つける(写真上オオヤマトカマス、写真下ヤマトカマス)。ヤマトカマスはたくさん獲れるのだがオオヤマトカマスは非常に数が少なく、年間で数個体、1日に2個体以上確認したことが無い。オオヤマトカマスは体色が銀白色でヤマトカマスと比べると輝きがあり、ヤマトカマスの中に混ざっていると見つけやすい。見つけて取り上げ腹鰭を見ると基底に暗色斑がある。また、背面にある黒斑が大きく、体側下部には1暗色縦帯があるのだが、これは薄く分かり難い場合が多い。また腹部から見るとヤマトカマスは鱗が無色なので真っ白に見えるが、オオヤマトカマスは腹部まで鱗に黒い部分があるので比べてみると黒ずんで見える。両者は漁協では区別せずに水揚げされるが、オオヤマトカマスの大きな個体は漁協の職員が気付き、別にされオニカマスとして水揚げされていることもある。
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思い込み

2007年08月28日 | 定置網

今日は定置網でサバ科の幼魚を見つける。口が大きく顔つきからハガツオの幼魚が思い付く。毎年捕れるハガツオの幼魚はサイズがもう少し大きく、体側には横帯がある。この個体には横帯が体側上方部に少し確認できるだけなので、まだサイズが小さくハッキリと現れていないのだろうと思った。そのような個体の写真を撮っていないので確保し持ち帰る。写真を撮るため鰭を立てていく。そして背鰭を立てて驚く。ハガツオ幼魚の背鰭と形がまったく違う。さらに調べてみると口が大きいと思っていたが、今まで撮ったハガツオ幼魚の写真を見ると主上顎骨の後端が眼の後縁に達している。この個体は達していない。明らかに別種である事が分かった。となると・・・。マル・ヒラソウダ、スマ辺りの幼魚であろうか。確かにこの個体はその辺りの種の方がハガツオよりも体形が似ている。そしてその幼魚も見たことが無い。標本の再検討が必要となった。

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初入網

2007年08月27日 | 定置網

 今日、定置網を起こし、網を絞るとマスがいると声がする。サクラマスかなと思いながら探すと見慣れない魚が目に付く。掬ってみると背が緑で腹部にはまだらに小黒斑があり、体側にはオレンジ色の横帯のようなものが現れている。パッと見、熱帯魚のカラシンの仲間のようであった。だが、小離鰭があった。その場で観察する暇は無いのですぐに氷水に入れ、とりあえず確保する。あれかな?これかな?日本初記録は間違いないだろう?などと思いワクワクしながら帰港。港に着きすぐに魚を取り上げると「あれっニジョウサバ?」。既にオレンジ色の横帯は消えていて、沖で見た個体とはまるで別種のようであった。ただ、ニジョウサバの現物を見たことが無いので確信は無い。漁協の事務所で図鑑を借りて写真を見てみるとやはりニジョウサバのようであった。ただ、図鑑が検索図鑑ではないので見た目でしか分からない。さらに分布域が沖縄以南となっている。恒例の琉球列島ではない。国外産の類似種の可能性も考えられたので確保し持ち帰る。家で検索するとやはりニジョウサバである。ちょっとガッカリ。さらに図鑑「黒潮の魚」には高知で捕られた個体の写真が載っている。ここより北でも捕られていて、さらにガッカリ。しかし、初入網であるので、これでまた1種増えたので良しとする。
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キハッソク

2007年08月24日 | 定置網

 今日は漁協の定置網の選別作業を見に行くとキハッソクを見つける。水揚げしない魚なので頂く。キハッソクは定置網や釣りで捕れ、この前の素潜り採集時にも見つけたが採集はしなかった。綺麗な魚で以前は水族館にも搬出した事があるが、皮膚から粘液毒グラミスチンを出すらしいので、狭い混泳水槽には向かないようである。キハッソクは粘液毒があるうえ、この体色からして食べようとは考えないのだが「日本産魚類大図鑑」では食用になると記載されている。たしかにこの魚、ハタ科の魚である。ハタと聞くと高級魚のイメージが沸く。しかし、粘液毒が頭を過ぎるのだが、図鑑では粘液毒に苦味があるとなっている。この毒、苦味だけで済むのだろうか?そういえばハコフグも皮膚から毒を出すが食用となる。となれば食べてみる価値はある。ただ、刺身で食べられるとまでは書いていない。ハコフグを食べるのも生ではない。今度捕れたらとりあえず最初は火を通して食べてみよう。その後は・・・。
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ホシカイワリ?

2007年08月22日 | 市場

 今日、見慣れないヒラアジ類が水揚げされていた。近年、南方系のヒラアジ類が捕れるようになり、昨年は数種の日本初記録種も見つかっている。この個体もその場での同定ができない。初記録種の可能性もあり確保しようとするが、この種の魚は高値である。漁協の職員と交渉するが二千円はすると思われる。この場に検索図鑑があり、明らかに初記録と分かれば購入しても高いとは思わないが、ここで同定できない為手が出ない。今日は魚ボラの日なので冷凍せずにそのまま持ち込めるので都合は良いのだが、今回は写真だけ撮ることにする。家に帰り写真で検索するとどうやらホシカイワリのようである。少しホッとするようなそうでないような・・・。しかし、標本を手に取って調べないと本当にそうだったのかは不明である。船にカメラは積んでいるものの、今度は図鑑も積んで置かないとと思う。しかし、図鑑こそ魚とは比べ物にならないくらい高い。
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リベンジ!!

2007年08月19日 | 採集

 今日は予定が無いので素潜り採集に行く。というか今日を逃すとまた予定がギッシリと詰まっているので、潜りに行く事を今日の予定にしていた。ここで潜るのは2ヶ月振りである。家から車で30分ほど掛かるのだが、前回逃した魚がいて、とても気になっていた。その後何度か来たのだが、時化や豪雨で濁っていたりと海に入れずにいた。まずは前回見つけたのに捕れなかった小さなオレンジ色のハゼを探しに行く。大きな岩陰にいて場所は覚えていた。その場所に来て潜り、岩陰を覗き込むと今日も天井にオレンジのハゼが数個体付いている。小さなタモ網を入れるとすぐに小さな穴に入ってしまい捕れない。何度もチャレンジして何とか3個体確保する。これだけで既に体力を使い切ってしまった気がしてドッと疲れる。その後も別の場所を探るが見つけることが出来ない。前回もそこの岩陰でしか確認していないのでそこにしかいないのか?その後、これまた前回捕る事が出来なかったニラミギンポも採集できた。3個体採集したがそのうち1個体は尾鰭の数軟条が伸びている。雄であろうか?全て生かして持ち帰り、今度の魚ボラに持ち込む予定。オレンジ色のハゼであるが家でじっくりと観察。ハゼ類の同定は難しく、やる前から諦めてしまうのだが、生態図鑑で似たものを探す。見た目ではオキナワベニハゼに似ているがどうだろう?名前にオキナワと入っているが分布域を見ると鹿児島も入っている。さらに調べると伊豆などでも多く確認されているようである。とりあえず今回は目的のオレンジのハゼとニラミギンポを採集する事ができて満足であった。だが疲れた。


*オキナワベニハゼTrimma okinawae (Aoyagi,1949 ) と同定されました。
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夜間採集

2007年08月18日 | 採集

 恒例の夜間採集に行く。港に着くと全くの無風で久々のベタ凪。水中がよく見え期待する。ライトを照らすと足元から水面を飛ぶように逃げる魚がいてとっさに掬う。トビウオの幼魚かと思って網の中を覗くとボラの幼魚であった。普段ならガッカリするのだが今回はちょっと違う。色が付いている。胸鰭が黒く、尾鰭・第二背鰭・臀鰭が黄色。ボラの幼魚はよく群れているのでまだ探すが見つからず1個体のみであった。家に持ち帰り調べる。ボラの幼魚は同定が難しいのだが、その鰭の色に尾鰭の形からオニボラの幼魚と簡単に判明。今まで採集どころか見たことも無い。ネットで調べると幼魚は国内でも多いようであるが画像は少ない。写真を撮り、標本用に確保する。
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大漁ではなく大魚

2007年08月16日 | 定置網

盆の休みもあっという間に終わり、今日は4日振りの網起こしとなる。大漁を期待して網を起こす。すると何と巨大なジンベエザメが。網を破かれないように一度網を落としかごしま水族館に連絡する。今、かごしま水族館はここに常駐しているのですぐに船外機で見に来る。再び網を起こしその巨体をよく見ると背鰭に金具が付いている。この金具は発信機を付けた跡で、水族館の人に見覚えがあるとの事。以前に県内の定置網に入網したジンベエザメに発信機を付け、回遊調査をしていた事があった。そのジンベエザメが今回うちの定置網に入網したという訳である。個体を見ただけではどこの定置網に入網したものだか分からないが、DNAサンプルを採ったので後に判明するだろう。この個体、メジャーでざっと測ったら全長6.2メートル、雌であった。この後再び海へと戻って行った。
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テンジクダイ科

2007年08月12日 | 定置網

 明日から漁協がお盆の3連休に入るので、きょうは日曜日であるが市場が開くので網を起こす。漁獲物の選別作業中、テンジクダイ科の魚を見つける。この魚、先月も何個体か獲れたのだが、クロイシモチの幼魚で体色がまだ薄い個体だと思っていた。クロイシモチは定置網でよく獲れる種である。前回はクロイシモチの別バージョンという事で写真だけは撮っていた。だが今回の個体はそれより10ミリ程大きい。それでもこの体色である。さらにこのサイズになっても体形が変わっておらず、こうなるとクロイシモチとは体形で違和感があるので持ち帰り調べる。するとクロイシモチの腹鰭の先端は臀鰭基底部に達するとなっている。この個体は達しない。となると・・・。体側に2本の横帯が確認でき、尾柄部にも1本見える。ヨコスジイシモチが思いつき調べるが臀鰭軟条数が違う。慌ててインターネットで調べるが結局分からない。ただテンジクダイ科は難しい。スジイシモチのように普通種の可能性が十分にある。とりあえず標本は確保する。
*後日、マダラテンジクダイと同定されました。
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市場便り

2007年08月10日 | 市場

 今日は市場に大きめのヒラアジの仲間が2個体水揚げされているのが目に付いた。よく見るとリュウキュウヨロイアジの成魚である。さらに2個体のうち1個体の背鰭・臀鰭軟条部の一部が糸状に伸びている。検索図鑑で見るとリュウキュウヨロイアジの雄の成魚の背鰭・臀鰭軟条の中央部は糸状に伸びるとなっている。という事はもう1個体は雌であろう。リュウキュウヨロイアジの幼・若魚は定置網で良く獲れるのだが、今までに成魚が獲れた事が無く探していた魚であった。検索図鑑では軟条が糸状に伸びるとなっていて、その全形図が載っている。しかし、日本産のリュウキュウヨロイアジで図鑑やインターネットなどでもそのような写真を見たことが無い。アジ科の魚ではイトヒキアジを始め、特にヒラアジ類などでは幼魚期に軟条部の一部が糸状に伸びる種が多いが、成長に連れそれが徐々に短くなっていく場合が殆どである。だから本当に成長に連れ軟条が伸びるのだろうかと疑問を持っていた。そして今日この個体を確認して納得した。しかし、この個体も検索図鑑のようにそこまで長くは伸びていない。だが今後徐々に伸びていくのかもしれない。ただこの個体は体長が30センチ近くはある。これからまだまだ成長するのだろうか?
*この個体は標本は存在しませんが、尾鰭が黒色であることからヨロイアジと思われます。
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素潜り採集

2007年08月09日 | 採集

 最近は忙しく、目の前に海があるにもかかわらず潜りに行けないでいた。今日はこれ以上はないというくらい綺麗な潮が入ってくる。海の方から潜りに来いと誘っているように感じる。幸い今日は仕事が終わればその後の予定が無い。時間は短いが素潜り採集を決行する。以前から採集したかったがなかなか確保出来ないでいたチョウチョウウオ類をターゲットに決め、行なう。海に入るとすぐに数種のチョウチョウウオ類が目に付く。この類を採集する為に作った採集道具を用いて行なう。すると早くもアケボノチョウチョウウオとツノダシが捕れる。その後もトゲチョウチョウウオにクロハギ属の魚(まだ未同定)などが捕れる。しかし、チョウチョウウオ類はもう何種か確認できるが、採集できないまま時間が過ぎていく。結局チョウチョウウオ類はこの2種のみで、そのほか数種類の魚を採集できた。時間があればまだ種類数を増やせたと思うが、今日のところはタイムアップ。帰り際にモンガラカワハギ科の幼魚が群れている場所を見つける。ほんの10分位で3種確保する。こちらももう何種か確認できるのだが、次回チャレンジということで今日のところはこれで止める。モンガラカワハギ科の幼魚も同定が困難なので、幼魚を飼育し成長過程を写真に収める事ができればいいのだが・・・。
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オキゴンベ

2007年08月06日 | 日記

 うちの定置網の乗子の中に釣りをする人が2人いる。そのうちの1人が珍しい魚が釣れたと教えてくれた。見に行くと船の活け間にオキゴンベが泳いでいる。標本用に取って置いてくれたので遠慮なく頂く。オキゴンベは定置網では捕れない。また素潜りでも見たことがない。しかし、5年以上も前であるが、一度お目に掛かった事がある。定置網付近に長い間沈んだままのロープの塊を引き揚げたことがあり、そのロープにオキゴンベが数個体着いて、一緒に船に揚がってきたのだ。その時は水族館用にと船の活け間に生かしたのだが、その後忙しく忘れてしまい、数日後に見たときには既に死んで腐っていた。それからは見ることがなく、今回久し振りのご対面となった。しかも標本がこんな身近なところから手に入るとは。さらに前回は腐ってしまい写真を撮っていなかったので、今回が初撮影となった。最近、魚の撮影は黒バックに凝っているのだが、このオキゴンベはこの黒バックによく映える。いつもこんな魚ばかりだと撮っていて気持ちが良いのだが・・・。
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またまた ひょっとして?

2007年08月04日 | 定置網

 台風5号が過ぎ、揚げていた定置網を今日再び入れる。漁獲は来週から。という事で本日も夜間採集に行く。港に着き海を覗くと外灯の下にはたくさんアンドンクラゲが集まっている。こんな状態では魚は期待できないと思うも、とりあえずは探してみる。すると岸壁にへばり付くように1尾魚がいる。掬ってみるとテンジクダイ科の魚であった。名前が出てこないので定置網では捕れた事が無い種と思われる。しかし体長が50ミリもないので普段捕れるテンジクダイ科の幼魚の恐れもある。家に帰り図鑑で調べるが同定できない。この仲間は体側に縦帯がある種が多いが、その場合尾柄部付近に黒円斑がある。しかしこの個体には無い。普段定置網で捕れるテッポウイシモチも黒円斑が無いので疑ったが、こちらは体側中央の縦帯が尾鰭の後端に達するとなっているので違う。定置網で捕れた事が無いがタスジイシモチも似ているが、こちらも縦帯が尾鰭後端に達するそうでやはり違う。となると・・・。ただテンジクダイ科は種が多いうえ難しい。さらにうちの図鑑は古い。とりあえずはまだ採集した事が無い種と思われるので久々の収穫となる。
*後日、魚ボラでミスジテンジクダイと同定されました。
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