お魚三昧生活

鹿児島の定置網で獲れる魚や市場の魚、鹿児島大学総合研究博物館魚類ボランティア(魚ボラ)の事などを紹介します!

魚類調査に参加

2020年05月31日 | 魚ボラ
 今日は魚類ボランティアをしている鹿児島大学総合研究博物館の魚類分類学研究室で、鹿児島県出水市高尾野川河口の生物相調査をするという事で参加する。この出水市は日本最大のツルの渡来地であり、毎年1万羽を超えるツルが越冬のためシベリアから渡来し、その渡来数と種類の多さは日本一と言われており、「鹿児島県のツル及びその渡来地」として国の特別天然記念物にも指定されている。出水市では来年度のラムサール条約登録を目指しており、今回はその一環としての調査である。国の天然記念物に指定されている地なので、普段は魚を採集する事すら怪しまれそうな場所であるが、今回は行政からの依頼なので堂々と調査する事が出来る。大学に集合だったのだが、大学へ向かう道中は雨。実は昨日、鹿児島はタイミング悪く梅雨入りしてしまう。今日一日雨予報な為、一応雨対策は準備して来た。ところが大学から現地へ向かうに従い、雨も止み、現地に着くと晴れ間まで出て最高な調査日和となる。既に前日から地元の漁師さんが河口に刺網を仕掛けて頂いているという事で、船に乗せてもらい刺網漁へ同行。前日からの雨の影響で川は濁り、刺網には木の枝や落ち葉など大量のゴミが掛かってくる。そのような状況の中、クロダイやワタリガニなども次々と揚がってくる。今回は生物相調査な為、魚だけでなくエビやカニなど甲殻類の標本も確保する。この刺網は2通りの網目が使用されており、最初は大型魚が掛かってきたが、後半は網目が細かく、シロギスやヒイラギなどが揚がって来た。ここ出水は同じ県内でうちから80キロ程の場所であり、海域も非常に良く似ている。だが、今回うちの海域では非常に稀種のヒイラギがたくさん採集できた。メバル属と同じく、うちの海域との間で何か越えられない壁があるのだろう。刺網漁を終えると田んぼ周りの用水路で調査し、現地調査は終了。それから大学へ戻り、早速本日採集した標本の登録作業が始まり、夜更けまで続く。疲れも見せずに頼もしい学生達である。







うちの海域では非常に稀なヒイラギが次々と



刺網での成果






学生がナマズを採集






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寄生虫付きのニザダイ搬出

2020年05月27日 | 水族館
 年明けだったか定かではないが、かごしま水族館から寄生虫が付いている魚の依頼を受けていた。「海の生きものの共生寄生展」という特別企画展で飼育展示するそうで、そのような魚を探していた。ところが4月に入り、新型コロナウイルス緊急事態宣言が発令され、鹿児島市でも初めて感染が確認されたことに伴って、4月11日から5月の連休後までかごしま水族館も臨時休館となってしまう。休館となると依頼の寄生虫付きの魚だけでなく、毎年5月の連休前にはイカなどの依頼も来るのだが、その全てが無くなり完全に自粛ムードとなってしまう。そして、ようやく5月18日より開館となる。だが、この企画展は最初に聞いた話では既に終了。ところがこの開館のニュースをテレビで見た時に、休館していたことによりこの企画展の開催期間が延長されていた。そして先日の定置網漁で遂に頭部に寄生虫が付いたニザダイを発見し確保する。水族館に連絡するとまだ欲しいという事で、本日引取りに来られ、搬出となる。

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夜間採集でソウシハギ幼魚

2020年05月23日 | 採集
 今日も毎週恒例の夜間採集へと誰もいない港に向かう。最近はメバル属幼魚があちこちで確認されているので、この港にもいるだろうと思い探す。だが、結局見つけることが出来ないうえ、他の魚も見つからず、今週も惨敗かと思われた。帰ろうとしたその時、船の係留ロープに沿うように漂っている魚を発見。ソウシハギの幼魚である。ソウシハギの幼魚は定置網にも入るものの、定置網では他の魚に揉まれてしまい、背鰭棘が折れてしまう事が殆どであり、状態が良くない。背鰭棘が折れないように気を付けながらタモ網で丁寧に掬い採集。綺麗な状態で採集することが出来た。そのほか同じく係留ロープに付いているハナオコゼの幼魚も採集。こちらはその場で写真だけ撮り放流。ソウシハギの幼魚は持ち帰り、無事に標本写真も撮影することが出来た。


ハナオコゼ幼魚




ソウシハギ幼魚
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アカメバル幼魚

2020年05月23日 | 定置網
 今日は定置網漁を終え、市場に帰港すると漁協の定置網の人が珍しい魚が獲れたと持って来てくれる。見るとメバル属の幼魚である。今年は既にうちの定置網や港内でメバル属の幼魚が確認されており、遂に他の定置網でも発見となる。やはり漁協の定置網の人でもメバル属の魚は珍しいという認識なのだろう。この個体もアカメバルの幼魚のようである。今年はやはりアカメバルの幼魚が広い範囲に存在しているみたいである。今日はそのほかマツバスズメダイも標本用に頂き、共に魚ボラの標本用に確保する。

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残念無念後悔 初入網テングノタチ

2020年05月21日 | 定置網
 今日の定置網漁で網を絞って行くと何と驚く事にテングノタチが目の前に浮いてくる。最初は横帯もあり体を丸めていたのでウナギギンポの様に見えたが、華麗な赤い鰭で直ぐにテングノタチであると確信。体を傷付つけないようにとっさに手が出て、テングの部分を指で掴み取り上げる。尾鰭まで全ての部分が存在し完璧な状態であり、しかもサイズが小さく標本には一番理想的な状態である。テングノタチはここでは以前に漁協の定置網に入り、水族館に引き取られ、その後魚ボラの方へ標本として登録された事がある。それだけでうちの定置網では久し振りの初入網である。ところがこんな日に限って同時に型の良いシマアジがたくさん入網している。シマアジは値段がよく、直ぐに丁寧に締めないといけなく、とりあえずテングノタチは活かしておく為、活け間に入れておく。全ての漁獲物を船に積み込み、テングノタチが気になるが私はブリッジに上がり舵を握り港へと向かう。途中で親方がテングノタチの様子を覗き込むと、活け間内にいたカサゴがテングノタチを食べているとの事。カサゴがテングノタチを尾の方からくわえ、口から頭部の方が出ていたそうで、直ぐに引き離してくれる。うちの従業員がプライベートでカサゴを釣り、活け間に活かしていたのである。体は前方半分しか残っておらず、無残な姿に変貌。その姿を見て物凄いショックを受ける。活け間に入れてしまった事を凄く後悔する。だが、テングノタチの体は特殊でリュウグウノツカイの様に簡単にポキポキと折れてしまう。体を丸めていた状態で氷水に着ければそのままの状態で死んでしまい、後で体を伸ばそうとすると折れてしまう恐れがあった。とりあえず活かしておいて後で丁寧に体を伸ばした状態にしようと考えていた。その考えが仇となってしまう。今日は漁協の仕事があり、それが終わってから夕方から大学へ走ろうか、それとも学生に連絡して取りに来てもらうかと悩んでいたが、こんな状態の標本では直ぐに大学へ持ち込む理由が無くなり、一応、魚ボラの標本用に冷凍保存する。今日は更に漁協の定置網の方からシマガツオ科の幼魚も頂く。



無残な姿の初入網テングノタチ



シマガツオ科幼魚

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無念 ボウズハゼ稚魚

2020年05月17日 | 日記
 2週間前の夜間採集で透明で謎な稚魚が見つかり、腹鰭で壁にへばり付く行動からハゼの仲間だろうとわかったものの、魚種までは見当もつかず飼育して経過を見ようと持ち帰り、簡単に空いていた水槽に海水を張り飼育にチャレンジした。このような透明な稚魚は着底すると早いうちに体色が出て来る可能性が高いので、ある程度体色や模様が現れれば魚種がわかるだろうと考えていた。でも、FBにアップしたところ、魚種はボウズハゼであることを教えて頂き、あっさりと回答が出てしまう。でも、折角だからその体色が現れる変化を観察しようと飼育を試みる。すると思った通り、直に横帯が現れて来る。ところがここで色々と疑問や問題が発生。一応、餌として港からプランクトンを採取して来て与えていたが、食べている行動が確認できない。採集した時は水面を泳いでいたので、まだ浮遊期でプランクトン食だったと思われるが、今はもう水槽の底におり、着底した模様。そうなると餌は親と同じく苔類を食べるようになる可能性がある。また、淡水魚のボウズハゼなので、着底すると川へ遡上すると思われ、水槽の水が海水のままで良いのだろうかと。今の水槽はまだ仮に立ち上げたばかりなので、苔などは生えておらず餌が無い状態である。更に淡水魚の水槽は以前から構えてあり、苔も生えているので、一番の理想はその淡水魚の水槽へ移すことである。という事でボウズハゼのみをバケツに移し、海水の中に真水を徐々に入れて行き、汽水、淡水へと移行を試みる。ところが時間をおいて見に行くと、バケツは蓋をしていたにもかかわらず少しの隙間からかボウズハゼの稚魚がバケツの外に出てしまっている。バケツの中に直ぐに戻すがもがいている感じなので水が合わないのかと思い、元の海水の水槽に入れる。すると徐々に弱って行き、死んでしまう。今回、真水を入れることにより苦しみバケツから出てしまったのか、ただ単に逃げようとして出たのかはわからない。やはり、海から川への遡上はそんな簡単な事ではないのだろう。結局体が白くなってしまう前に撮影は出来たものの、その撮影すら鰭は開かず、体は真横を向いておらず失敗に終わる。

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ハリダシエビスの幼魚かぁ

2020年05月14日 | 定置網
 今日は定置網漁でヒウチダイ科の幼魚を発見。これは探していた魚であり、やっと出会える。まだカメラがデジカメでは無い頃に同じく定置網で獲れた事があり、写真に収めている。だが、その当時の写真からは魚種を同定することは出来ず、丸みを帯びた体型からヒウチダイ科でもハシキンメかヒウチダイの幼魚ではないかと思っていた。ところが定置網で獲れるヒウチダイ科は全てハリダシエビスばかりであり、ハシキンメやヒウチダイは一度も獲れた事がなく、ひょっとしてこの幼魚はハリダシエビスの幼魚ではと思うようになっていた。ハッキリさせたいのだが、その後は全く獲れる事がなく、今日に至る。ようやく手にするもサイズが小さく、現場ではやはり体型からハリダシエビスだろうかと悩む。家に帰り写真に収め、拡大してようやくハリダシエビスの幼魚であると突き止める。ハリダシエビスは以前は成魚が毎年定置網で獲れ、水族館にも搬出していた。ところがここ近年見なくなってしまっている。この幼魚を機に、また成魚も普通に見つかるようになってもらいたい。

*後日、ミナミハリダシエビスに同定されました。


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オニゴチ

2020年05月12日 | 定置網
 今日は定置網漁で選別作業中にオニゴチを見つける。オニゴチとは久し振りのご対面となる。以前からも少なかったものの、年に1~2個体程は定置網に入網していた。ところがいつの間に気付かずに消えていた。一応、魚ボラを始めた頃はまだ獲れていて、標本は数個体登録済みである。だが、その頃から見る事がなくなっていたと思われ、自分ではデジカメで撮影した写真が1枚も無く、その事に気付き、探していた魚である。これで標本写真が撮れると思ったものの、いざ手にしてみると縦扁しているコチ科の魚である。魚の横からの写真を撮るにはちょっと面倒であり、結局は手のひらに乗せた写真だけで済ます。

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異例の夜間採集

2020年05月02日 | 採集
 漁協も今日からゴールデンウィーク突入。という事で今夜の夜間採集は不安であった。と言うのも例年ゴールデンウィークにはこの近辺の港は夜中でも釣り人が溢れ、普段は釣り人がいないこの港でも釣り場を求めて釣り人がやって来る。今回も釣り人がいて夜間採集が出来ないかもと思いながら港へと向かう。ところが新型コロナウイルスの影響か釣り人は一人も見当たらない。ということで諦めかけていた夜間採集が通常通り出来る。干潮時で潮が引いていて海底まで良く見える。魚を探すとまた、トカゲゴチを見つける。今年は夜間採集でトカゲゴチをよく見る。採集はせずに写真だけ撮る。その後、小さなフグの稚魚を発見。この港に沢山いるキタマクラではないので採集してみる。だが、小さ過ぎて現場ではよくわからず。その後も見つけ、3個体採集。その後、水面を透明な稚魚が泳いでいて採集。イワシ類の稚魚かと思うがバケツに入れると壁に張り付く。腹鰭が吸盤になっているみたいなのでハゼ類の稚魚っぽい。家に持ち帰り水槽に入れて撮影し、拡大してみる。フグもハゼもこの港では初めて採集したが、フグの方は体色やこれだけ採集できたので普通種と思い、体色や背の模様からこの近辺に沢山いるクサフグの幼魚だろうか。そして透明な稚魚の方であるが、やはり腹鰭が吸盤状になっており、ハゼの仲間と思われる。だが、種までは全く見当もつかず。まだ稚魚で水面に居たので浮遊期と思われ、これから着底するのだろう。となると、この近辺には川も流れ込んでおり、アユの仔稚魚もこの港で確認しているので淡水のハゼの可能性もある。結局どちらもわからないので水槽に海水を張り、経過を見る事にする。


トカゲゴチ





クサフグ?稚魚




ハゼ類の稚魚


*後日、FBでハゼはボウズハゼの稚魚と教えて頂きました。ありがとうございました。
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