今日は市場で水揚げ作業をしていると、お隣の漁協の定置網に大きなクロマグロが2本入り、水揚げに来るという知らせが入る。定置網船が入港し水揚げ作業が始まると直ぐに人集り。大きなクロマグロが水揚げされる。計測されると鰓、ハラワタを除いた状態で1本は驚きの250キロ。もう1本も143キロである。ここの市場に今まで揚がったクロマグロは最大級でも150キロである。今回はそれを更に100キロも上回る250キロである。当然記録更新である。私もこれだけ大きな生のクロマグロを見るのは初めてである。定置網なので100キロ級のマグロでさえ取り上げるのに大変なのに、これだけ大きいと網を破かれ逃げられてしまわないかと不安になってしまうサイズであり、よく捕らえることが出来たなと感心してしまう。しかも2本も。この2本のクロマグロは鹿児島中央市場を経て築地に出荷される予定。
東京の葛西臨海水族園よりアカシュモクザメの依頼があり、ゴールデンウィーク明けから定置網に入網した個体を確保していた。今日は集めたアカシュモクザメを水族園へと搬出する。この搬出作業をうちの定置網従業員で手伝う。今回サメを各定置網から集めたのが、私が葛西臨海水族園でアルバイトをしていた時の上司とアルバイト仲間であり、更にサメを水族園まで運ぶ活魚車の運転手もアルバイト仲間である。うちの従業員以外は昔の水族園の仲間であり、搬出作業をしていると昔を思い出し、とても懐かしい。今回ばかりはサメがどうのこうのではなく、唯々懐かしさに酔いしれる。
今日は家族で鹿児島市内にお出掛け。ショッピングモール内を散策していると店頭に気になるものを発見。ブラックバス?を模ったサンダルである。漁師などが履いている漁業用?のサンダルをギョサンと呼ぶが、これは魚の形であるのでこれこそ魚サンダルでギョサンである。直ぐに欲しくなったが悩み、衝動買いを抑え諦める。一応、写真にだけ収める。その場を離れるがやっぱり気になってしまう。自分用にはやめておくが、魚ボラに行った時にいつもサンダルを借りている。魚ボラ用に大学に置いておくのもいいかもとも思う。だが、大学へ持って行くなら数足分は持って行かないと思い、一足では気が引ける。だが、サンダルにしては結構いい値段である。一応、ブラックバスと思われるので特定外来魚種という事で学生に駆除されてしまう恐れがあるので今回は諦める。
今日はいつものように夜間採集へと港へ向かう。港に着くと全くの無風であるにも関わらず、何故か波があり水中を探ることが出来ない。仕方なく水面に浮いている魚のみを探す。すると船の係留ロープに寄り添っている魚を発見。タモ網で掬うとオニカマスの幼魚である。その後もあまり期待できず諦めて帰ろうとした矢先、水面をニョロニョロとこちらに向かって泳いでくるものがいる。思わず直ぐにタモ網で掬う。見るとホタテウミヘビである。ホタテウミヘビはこの夜間採集時に何度か潮が下げている時に、海底から顔を出している所を目撃している。だが、直ぐに砂に潜ってしまい採集はできていない。また、定置網でも以前は普通に獲れていたが、最近は滅多に獲れることが無くなっている。魚ボラの標本も調べたところまだ未登録であり、探していた魚である。今日は波があり水中が覗けない状態で期待できないと思っていたが、海底にいる魚をこの状況でしかも水面で採集できるとは本当に思わぬ収穫であった。
オニカマス幼魚
ホタテウミヘビ
今までに定置網や市場、採集、貰い物等で手にしてきた魚類を鹿児島大学総合研究博物館へ標本登録をしてきた。今までは標本登録魚種を増やそうと思い、特にいつでも手に入りそうな普通種は幼魚や若魚を中心に手頃なサイズの標本ばかり集めていた。その為、最近になって意外と普通種の成魚が無いことがわかる。そこで今日は魚ボラの日という事もあり、今朝うちの定置網や市場に水揚げされている普通種を片っ端から確保し、鹿大へと標本登録に行く。数多く持ち込んだものの、魚ボラの日なので来ていた学生も多く、無事に標本登録を終了。最近は学生の作業が丁寧なうえ素早く素晴らしい。とてもじゃないけど私は手を出せない状況である。
先日から海は濁りっぱなしで更に前日は雨だった事もあり、どのくらい濁っているだろうかと海を見に行く。すると予想に反して透明度があり潜れる感じである。と言う事で今日は素潜りで貝採りに行く。海水温が低くまだ南方系の面白い魚は期待できないので、魚の採集道具は持って行かないものの、折角だから水中カメラだけは持って行き、魚ウオッチングも行う。海に入ると透明度は思った以上に良い。だが、魚はやはり魚種が少なく普通種ばかりである。目的の貝を採りつつ写真撮影も行う。案の定採集したいと思う魚には出会わなかったものの、いつもは単独で見るニラミギンポが群れているのを発見。このような光景は初めて見た。同じ場所に4個体もいる。普段単独でいると言う事は縄張りを持っているのかと思っていたが、このような光景を見れただけでも今回の収穫である。
群れているニラミギンポ
今朝、地元紙を見ると「奄美にチンアナゴの新種」と題して新種ニゲミズチンアナゴの記事が載っている。更に鹿児島大学の特任教授の写真入りである。いつもならまた鹿児島で新種が発表されたかと思うところではあるが、今回はこの特任教授に興味が行く。同じ鹿大の教授だが、私はこの人を知らない。奄美は魚ボラ先生の魚類分類学研究室で何度も調査を行っている場所であるが、この研究室からではない所から新種を発表されてしまった感が襲う。記事を読むと奄美島嶼教育研究センター奄美分室となっている。同じ鹿大であるのがまだ救いだが、やっぱりちょっと悔しい感じである。この事をFBで問うと次第に状況がわかってきて、この方は第一著者ではない事がわかる。確かに新聞記事をよく読むと研究者の一人となっている。更に調べるとこの論文の第一著者はこの前まで魚ボラ先生の研究室に所属していたポスドクの方であり、自分の早とちりであった。これで事なきを得た感じとなる。